J-REITは、投資家の資金を賃貸不動産に投資して、賃貸収入を原資として分配金が支払われる投資信託です。賃貸アパート経営などの不動産投資と似ている面があり、継続的なインカムゲインが狙えます。投資に対するインカムゲインの大きさを利回りといいます。利回りは投資銘柄選択において重要な参考情報になります。

☆J-REITの利回りはどのように決められる?

J-REITへの投資を考える場合は、各投資法人の利回りを比較して購入対象銘柄を選択するといいでしょう。

利回りは、1口当たりの年間分配金の額を投資口の価格で割って算出します。

投資した資金が何パーセントの利益を生み出すかを知ることができる指標です。

決算で確定する利益のほぼすべてが分配されることになります。

分配金の原資は賃貸事業からの利益ですので、金額が大きく変動するケースは少ないです。

利回りを決める大きな要素は、投資口の価格の変化です。

価格が上昇すると利回りは下がり、価格が下落すると利回りが上昇するという関係になっています。

☆J-REITの平均的な利回りとは

j-reitは、50銘柄程度が東京証券取引所に上場されています。

それらの各投資法人の平均利回りを確認することで、J-REIT市場の状態をある程度知ることができます。

2016年に入ってからは、3%前半で利回りは推移しています。

リーマンショックの直後には8%まで上昇したことがありますが、

平均的には、3%から5%の間で推移してきました。

そのため、平均的な利回りはその中間である4%と程度といわれています。

もちろん、J-REITの利回りは、その時代のインフレ率や金利水準、そして影響を与える金融政策や経済情勢など、多くの要因で変動するため、平均的な利回りだけを信じて投資判断をすることは避けるべきでしょう。

☆高利回りの銘柄の特徴

J-REITの銘柄の中には、平均利回りを大きく上回る実績を出しているものもあります。

投資家からすると、利回りが高い銘柄は効率的に利益が得られる期待が高く有利な銘柄に見える可能性もあります。

しかし、高利回り銘柄には2種類ありますので、注意深く特徴を見極める必要があります。

1つは、賃貸物件の質が良く、投資額に対して賃貸収入が効率よく入ってくる優良銘柄である場合です。

この場合は、利回りは高くなる可能性もありますが、

優良銘柄であることはすぐに市場に知れ渡るため、価格上昇によって高利回りの期間は限られてきます。

もう1つは、財務状況や物件構成に問題や大きなリスクがあり人気がない銘柄である場合です。

人気がなく、価格が下落して利回りが高く見えるだけということです。

☆いつ分配金を受け取れる?

J-REITの魅力は安定した分配金を長期間継続して受け取れる可能性があることですが、

その分配金はいつ受け取ることができるのでしょうか。

まず、分配金を受け取るサイクルですが、ほとんどの銘柄が半年決算をとっていますので、

分配金を受け取るタイミングも半年ごとになります。

一般の事業会社の多くは3月決算をとっていますが、J-REITの各投資法人の決算期はバラバラで、

3月決算とは限りません。また、実際に分配金が振り込まれるのは、決算終了直後ではなく、

決算期が終了し決算結果が投資主総会で承認された後になります。

そのため、決算月の3カ月後に分配金が振り込まれるパターンが多いです。

☆分配金利回りが高くなる時期と低くなる時期

分配金利回りに季節変動のようなサイクルはありませんが、短期的には各投資法人の借入金返済時期に利回りが上がる傾向があるといわれています。

借入資金返済するためには資金を確保する必要がありますが、

reitは通常ほとんどの資金を投資に回していますので、

賃貸収入で返済が足りなければ物件売却を行って資金を捻出する必要があります。

そのため、返済時期にはその銘柄の人気が落ち価格が下がりやすくなり、

結果として利回りが上がることになります。

また、長期的には、インフレが進む時期になると

資産価値の上昇や賃料アップへの期待からREITが買われ利回りは下がる傾向がみられます。

デフレ進行時期はその逆です。