マイホームを購入する際は、住宅ローンを上手に活用して完済まで無理なく返済ができる借入額、金利、月々の返済額などの資金プランをしっかりと練ることが重要です。住宅ローンの返済に役立つ情報をご紹介します。

住宅ローンの返済額の平均について

住宅ローンの返済額の平均について見て行きます。

1世帯当たり月平均92,945円

 

家計調査は、総務省統計局が実施する家計に関する統計調査です。学生の単身世帯等を除く、無作為に抽出された全国の世帯を対象に、家計の収入、支出、貯蓄などの調査を実施しています。

2016年の家計調査では、住宅ローンを組んだ世帯におけるローンの返済額は、1世帯当たりで1カ月平均92,945円となっています。前年と比較すると名目5.8%の減少となっています。

平均返済額を把握することで、住宅ローンを組む際の返済額の目安になるかと思います。

【出典】家計調査報告(家計収支編)平成28年(2016年)II 世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯):
http://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/nen/pdf/gk02.pdf

住宅ローン返済額割合は可処分所得の19%

 

収入から税金や社会保険料などを差し引いた金額を、可処分所得と呼びます。可処分所得は、食料や衣類などの生活品の購入、電気やガスなどの公共料金の支払い、養育費や遊興費などに用いられ、いわば個人が自由に使えるお金を指します。

2016年の家計調査においては、可処分所得に対する住宅ローン返済額の割合は、1世帯当たりで19%になっています。税金や社会保険料を差し引いた1カ月の手取り収入のうち、平均で約2割が住宅ローンに充てられているということです。

あくまで参考値ではありますが、平均返済額と合わせてローンを組む際の返済額決定の目安になるでしょう。

住宅ローン返済プランの基本的な立て方

住宅ローンの返済プランを考える際に、あらかじめ押さえておくべきポイントをご紹介します。

固定金利と変動金利の仕組みを理解する

 

 

住宅ローンを組む際、金利は気になるところです。金利が高いと最終的にローンの支払い負担が重くなり、金利が低ければ軽くなります。住宅ローンの金利の種類は、大きく分けて固定金利と変動金利があります。

固定金利は、住宅ローンの借入期間中の金利が固定され、完済まで金利が変動しません。例えば、住宅ローンを20年間1.6%の金利で借り入れた場合は、20年の間、金利が1.6%に固定され変化しません。

固定金利のメリットは、景気や社会情勢などの影響によって金利が変動しないため、当初の計画通りに堅実に返済を行えることです。

固定金利のデメリットは、景気対策などによってローンの金利が大幅に低下したとしても、固定金利は金利が変化しないため、その恩恵を受けられないことです。

一方、変動金利は、 住宅ローンの金利が半年ごとに見直しが行われます。変動金利のメリットは、市場が低金利の場合に、固定金利と比較して安い金利で利用できる可能性が高いことです。市場の低金利が続く場合は、見直しによって更に金利が下がる可能性もあります。

変動金利のデメリットは、住宅ローンを組み始めた当初の金利が低くても、半年ごとに金利は見直されるので、景気などの影響によって後に金利が大幅に上昇し、最終的な返済の負担が重くなる可能性があることです。

年収に合った返済プランを金融機関と相談する

 

住宅ローンを無理なく返済していくためには、年収にあった無理のない返済プランを立てることが重要です。そのためにも金融機関にしっかりと相談して返済額を決めましょう。年間の住宅ローンの返済額としては、一般的に年収の25%程度が目安と言われています。

しかし、同じ年収であっても家族の人数やライフスタイルなどによって、余裕のある返済額は異なってきます。ご自身の状況に合わせた具体的な返済プランを相談することで、堅実な返済を実現しやすくなります。

月々の返済額を楽にするために頭金を用意する

月々の返済額を減らす方法は、頭金をできるだけ多く用意することです。同じ返済期間や金利であっても、頭金を増やせばローンの借入額が減り、月々の返済額の負担も少なくなります。住宅ローンを組むために必要な頭金の目安は、住宅価格の20%程度と言われています。さらに、住宅購入時には登記費用や住宅ローン手続費用、引っ越し費用などの諸経費もかかりますので、頭金に加えて10%程度用意しておくといいとも言われています。住宅購入を目指した頭金づくりの目安にしてください。

住宅ローンの返済をお得に終わらせるには?

住宅ローンの返済をお得に終わらせるためのコツをご紹介します。

家計に無理のない範囲で月々の返済額を多めに設定する

 

住宅ローンを組む際に重要なことは、毎月の返済額が無理のない金額であるかどうかです。金利の相場が低くなっても、借入金額が大きすぎて、月々の返済額が返済可能な範囲を超えている場合は、ローンを組むことはリスクを抱えることになってしまいます。そのため、まずは現実的に返済可能な範囲の返済額を設定することが重要です。

しかし、逆に毎月の返済額を少なくしすぎてしまうと、今度はローンの返済期間が長くなり、最終的な金利負担も多くなってしまいます。効率よくローンの支払いを終わらせるコツは、現実的に支払える無理のない範囲の返済額を設定しつつ、出来るだけ月々の返済額を多めにして、住宅ローン返済を早く終わらせるよう設定することです。

ボーナス払いは選ばない

 

勤務先からボーナスが支給される場合は、住宅ローンの支払いにボーナスを併用することで、毎月のローン返済額負担を軽くすることができますが、最終的な金利負担を含めた総支払額はボーナス払い併用が多くなります。

また、ボーナスは実績評価の評価制度であったり、不支給のケースがあったりなど、必ずボーナスが支給され続けるとは限らない可能性もあるため、ボーナス払いに頼り切ることはリスクが伴います。

できればボーナスを当てにしない返済計画がおススメです。

計画的に繰り上げ返済をする

 

住宅ローンは月々決まった額を返済するだけでなく、余裕のあるときに、毎月の返済とは別にローンの一部を返済することも可能です。これを繰り上げ返済と呼びます。計画的に繰り上げ返済をしてローンの残額を減少させれば、本来支払うべき利息をカットすることができます。繰り上げ返済の方法は大きく分けて2つあります。毎月の返済額を変更せずに期間のみを短縮する期間短縮型と、期間を変えずに毎月の返済額を減らす返済軽減型です。

住宅ローン控除の手続きを年末に必ず行う

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んでマイホームの新築や購入をした場合に、条件を満たせば所得税の一部が控除されて戻ってくる制度です。住宅ローン控除の適用を受けるためには、確定申告の手続きを行う必要があります。給与所得者の場合は、初年度は確定申告が必要ですが、翌年以降は年末調整での簡易な手続きで適用可能になります。

【出典】国税庁:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

住宅ローンの返済が困難になることのないよう事前にできる事は2つ!

住宅ローンの月々の返済が困難になる可能性を踏まえた対策をご紹介します。

金利を再検討して金利が低いローンに借り換える

住宅ローンの金利を下げることができれば、ローンの返済の負担を軽減することにつながります。今の住宅ローンの金利が高すぎると感じる場合は、他の住宅ローンの金利を検討し、金利が低いローンに借り換えることも有効な選択肢になります。

住宅ローンの返済期間を最初からできるだけ長くしておく

 

住宅ローンの返済期間を短くしてローンを組むと、毎月のローン返済額は高くなりますが、支払わなければならない利息の総額が少なくて済みます。

しかし、それだけを重視してローンの返済期間を短くした場合、何らかの理由で月々の支払いが苦しくなった際に対応することが難しくなります。

収入や家計状況に応じて住宅ローンの返済期間を最初はできるだけ長くしておくことで、いざという時には支払いが困難なることを避けることができるでしょう。

住宅ローン返済シミュレーションのやり方

住宅ローンを組む前に、ローンの返済についてシミュレーションを行うことができます。

ネットの住宅ローン返済額シミュレーションサイトを活用する

 

インターネットには、住宅ローンの返済額のシミュレーションを行うことができるサイトがたくさんあります。「住宅ローン シミュレーション」などのキーワードで検索すると便利です。

月々の返済額が簡単に分かるだけでなく、ボーナス返済や繰り上げ返済などの条件を加えて算出する機能や、住宅ローンに関する諸経費の計算も行えるサイトもあります。実際にローンを組む前にネットでシミュレーションを行うことで、住宅ローンのイメージを掴みやすくなります。

金融機関で返済シミュレーションをお願いする

金融機関によってはホームページで住宅ローン返済のシミュレーションができるサイトを公開しています。シミュレーションの結果に基づいて金融機関に問い合わせれば、プロの経験や知識に基づいた効果的なアドバイスを得やすくなるでしょう。

住宅ローンの返済のまとめ

住宅ローン返済についてご紹介しました。住宅ローンを組む際のコツは、収入や家計状況に合わせた頭金準備、やローンの返済期間設定、収入に応じた無理のない返済額決定などがあります。

繰り上げ返済の活用、低金利のローンへの借り換え、シミュレーションサイトの活用なども効果的です。ご紹介した情報によって、住宅ローンを効果的に活用していただけますと幸いです。

監修者:寺野 裕子(ファイナンシャルプランナー)