注文住宅の良い点は、自分の希望が反映された、お好みの間取りや設備の家を作ることができる点です。自分の希望通りの住宅に住むことを考えると、夢が膨らむに違いありません。しかしオーダーメイドの住宅は現物を見ることはできませんので、住んでみて公開する例も多くあります。そこでこの記事では注文住宅に住んでみて、失敗したと思う例を挙げて解説をいたします。参考にしていただき、良い住宅を作る一助となれば幸いです。

間取り・部屋の広さも失敗ポイント


注文住宅の多い失敗例としては、家の間取りや部屋の広さがあります。建ててしまってから気がついては遅いので、あらかじめじっくりとプランニングするようにしましょう。

広さの失敗例

*収納スペースのボリュームや位置も大事

住宅という限られた広さの中で、収納スペースを広くとると部屋の中は整理できるかもしれませんが、居住スペースが狭くなってしまいます。かといって生活空間を広くとってしまっては、収納すべきものが部屋の中に放置され、まとまりのつかない部屋になってしまいます。
また一ヵ所に収納できるウォークインクローゼットは、大きなものも収納でき便利です。しかし毎日使うものも納めてしまうと、各部屋を何度も行き来することにになり疲れ切ってしまうでしょう。

*リビングが広すぎて冷暖房が非効率

広いリビングは誰もが憧れる空間ですが、あまり広く作りすぎると冷暖房が効きにくくなってしまいます。暑い部屋・寒い部屋では寛げず、冷暖房を効かせようとすると、光熱費がかかることになります。

*吹き抜けにしたら光熱費が高すぎる

吹き抜けのあるリビングは、開放感のあるおしゃれな空間となり希望する方も多くいます。しかし天井が高いため冷暖房の効率が悪く、冬は温まった空気は上に昇ってしまい、ソファに座っていると足元が寒くなります。また夏は開口部からの光が強く差し込み、冷房効率が悪くなり、光熱費が高くなってしまいます。

間取りの失敗例

*ドア・扉を開けると邪魔になる

ドアは引き戸に比べると気密性があり防音性にも優れていますので、子供部屋や寝室に向いています。しかし家族がよく行き来するところにドアを作ると、開けたときに家族にぶつかってしまう恐れがあります。特に階段の登り口にある場合などでは、危険でないか考慮しなければなりません。

*階段がL字型で急勾配

L字型のかね折れ階段は一般的には踊り場がありますので、足を踏みはずしても途中で止まるため、直線的な階段と比べると比較的安全と言えます。しかし踊り場を置かないL字型階段では、曲がり角の踏面が三角形になりスペースも狭いため足を踏み外す恐れがあります。一方で、居室スペースを十分とれない住宅では、階段に踊り場を設けるのは他のスペースを削ることなるため、もったいない空間と言えるでしょう。

*1階の匂いが2階に昇ってくる

匂いというものは平面図のプランだけでは、予測できないことがあります。吹き抜け階段やリビングを吹き抜けにしているような場合には、1階からの臭いが2階に充満してしまうことがあります。既に食事を終えた家族が、階下からしつこい油を使った料理臭が上がってくるのは堪えられないかもしれません。

*洗濯物を運ぶ動線と干す場所

洗濯機と干す場所が多少離れていても、図面上ではどのくらい負担になるのかわからないことがあります。洗い上がった洗濯物は重くなり、動線が長くなると大変です。さらに干したものをたたみ、各部屋にしまうとなると重労働になってしまうでしょう。

実は要らなかった!?設置不要なオプション例


注文住宅を作るとなると、便利そうな設備などあれこれ追加したくなります。しかし実際住んでみると、不要な設備であったということはよくあります。

キッチン編

*システムキッチンをマルチシンクにして失敗

天板をスライドすることができるマルチシンクは、ワークスペースにもシンクにも使えるので便利と考える方も多くいます。しかし天板を動かすには少し重く、食器を洗う時にはシンクが深いので疲れます。またプレートと天板の間にすき間がありますので、この部分に汚れが溜まり掃除が大変になります。

*キッチンのドアを閉めると閉塞感を感じる

キッチンをリビングと隔てた空間にすると、居室には匂いが広がらず汚れないで良いと考える方もいます。しかしキッチンのドアを閉めると料理中は孤独になり、圧迫感や閉塞感を覚えることもあるでしょう。

浴室編

*洗面所、浴室の窓が大きいので肌寒い

浴室や洗面所の窓が大きいと、開放感があり気持ち良いですよね。しかし窓を大きくとり断熱対策を十分施していないと、冷気がガラスから直接入り込みますので真冬は寒さを感じます。また浴室や洗面所が寒いと急激な温度の変化によるヒートショックの心配もありますので、大変に危険です。

*浴槽をステンレス、浴室の床をタイルにして失敗

ステンレス浴槽は耐久性があり衛生的であるメリットがあります。また浴槽も暖かくお湯も冷えにくいですが、ステンレス部分に接触すると冷たくヒヤッとする場合があります。また床をタイル張りにするとおしゃれですが、浴室に足を踏み入れた瞬間その冷たさを感じてしまうことがあります。

トイレ編

*トイレの数と位置

家族が多い家で一ヶ所しかトイレを作らなかったために、朝の忙しい時間帯にゆっくり入ることができないと後悔するケースもあります。二階建ての家を作ったのに一階にしかトイレがなく、夜中に眠たい目をこすり階段を下りていくのでは少々危険です。来客が多い家庭では、トイレが一つしかないと困ってしまう場合もありそうです。またトイレに入る姿を見られるというのは嫌ですし、トイレの音や臭いも気になりますので、設置場所も良く考える必要があります。

*トイレに手洗い専用の手洗い器を付けずに失敗

トイレのタンクと一体になった手洗いでは、よく洗うことができず再度洗面所で洗い直すことになります。その場合にはドアノブは汚れていますので、ドアノブを拭いたり除菌しなければなりません。トイレ内に手洗い専用の手洗い器があれば、二度手間もなくなります。

*2階のトイレが外配管

注文住宅を設計する際に、トイレの配管まで考える方はあまり多くはないと思います。しかし設計によっては外配管にせざるを得ない場合もあります。配水管が外から見えるのは見栄えが悪く、流れる音も気にもなりますので設計の段階で、チェックしなければなりません。

その他

*造り付け(造作)家具での失敗

空間に合わせて造り付け家具をつければ、見た目はすっきりし整理された部屋を作ることができます。しかし住宅に合わせて作ることになりますので、一度作ると移動することはできません。家具の大きさが小さくて収納すべきものが入らないとか、テーブルが大きすぎ邪魔であるなどはよくある失敗例です。

*ガラス戸が重い

防犯の為の網入りガラスや断熱性の高いガラス戸の中には、力を入れなければ開閉できないような重いものもあります。たまにしか開閉しない場所であればさほど問題はないのでしょうが、洗濯物を干す場所のガラス戸などは、毎日の仕事となるので苦痛を感じてしまうでしょう。

*三連続細窓

細い三連続になっている窓を三連続細窓といい、外から見ても内から見てもオシャレな感じがします。しかしガラスを透明にした場合にはカーテンが必要になり、朝・晩の忙しい時に開閉するのは三倍の手間がいり後悔する方もいるでしょう。

*コンセントの数が足りない

新しい住宅に住み生活をしているうちに必要な家電はどんどん増えていきます。コンセントの数が足りないために、延長コードを使っていると、足に引っ掛けたりたこ足配線になったり大変危険です。掃除をする際にもコンセントがないために、毎回延長コードを接続するとなると面倒なことです。

*コンセントの位置と数+LANケーブル

あらかじめ家具類の置き場を考えていなかったため、タンスなどを置いてみてコンセントが隠れてしまったというのはよくある話です。また一穴のコンセントを設置したが足りず、電源タップをつけざるを得ないと言うこともあります。
また自宅でインターネットに接続するのは常識となっていますが、あとでケーブルを引き込むのは大変です。各部屋のコンセントにLANコンセントやテレビアンテナ線も配線しておけばよかったと後悔することのないように検討しておきましょう。

ハウスメーカー選びのミス


納得のいく注文住宅を作るためには、信頼のおけるハウスメーカーを選び相談しながら作ることが大事です。次に会社選びのミスについて例を挙げてご説明いたします。

担当の営業マンへの不満

*プロが味方とは限らない

ハウスメーカーの営業は給料が歩合制の場合が多く、会社では厳しいノルマが課せられていることもあります。そのため、契約の獲得という目的が先行し、強引な対応になってしまう場合もあります。必ずしもプロが味方とは限りません。

*話し合いがなく納得できないまま進んでしまった

強引な営業は、契約を取るために自分の意見を押し付けてしまうことがあります。顧客の意見を半ば無視したり、顧客が十分理解し納得することなしに話が進んでしまう場合があります。

*情で担当の営業を選んでしまった

住宅作りの話し合いの期間が長くなると、担当の営業に情が移る場合があります。営業に全幅の信頼はおけないが、ただ単に話しやすいと言うことで安易に契約し、後々に公開するケースはよくあることです。

ハウスメーカーを頼れない

*「任せきり」は危険

住宅の建設というものは、究極的には人の行う作業です。任せきりにしておくと、どこかでミスや食い違いが起こる可能性もあります。設計者と現場担当者は違いますので、任せきりにせず、常にチェックすることが大事です。

*提案力のないハウスメーカーに依頼してしまう

住宅というものは日々進化し、住みやすく便利になってきていますが、プロは施主が知らない情報も多く持っています。住みやすい住宅にするには、提案力があるハウスメーカーに依頼することが大事です。提案力のないハウスメーカーでは、満足のいく住宅にすることはできなしでしょう。

最後に


いかがでしたか?良い注文住宅を建てるためには既に家を建てた人の失敗例を参考にすることも有効です。この記事を参考にしていただき、満足のいく住宅作りのヒントにしていただけたら幸いです。