今までに連帯保証人となるように求められる場面に遭遇したことはありませんか?連帯保証人となることは危険であるとよく言われますが、実際にどのようなリスクがあるのか理解されている人は残念ながらあまりいらっしゃらないものです。今回は、連帯保証人となった場合の責任範囲、途中で辞めることが出来るのかどうか、連帯保証人と単なる保証人との違い、並びに連帯保証人に関する疑問についても解説していきます。

連帯保証人になる前にきちんと考えてください

連帯保証人になる前に連帯保証人となった場合、どのような責任を負うのかを必ず事前に把握しておかなければいけません。ここでは、具体的なパターンとして、賃貸契約及び住宅ローンを組んだ連帯保証人のリスクはどのようなものかをみていきます。

連帯保証人とは

一生のうちに連帯保証人を頼まれる場面に遭遇することもあるでしょう。ところが、連帯保証人に対する十分な知識を持っていないにも関わらず、多くの人は簡単に契約書にサインをしてしまいます。

連帯保証人とは、お金を借りた者がお金を返せなくなった際に、代わりとして債権者に対して返済をする義務を負う人のことを言います。しかしながら、連帯保証人は、法律上、単なる保証人よりも重い責任を負わなければいけません。以下に解説していますが、連帯保証人には、「催告の抗弁権」、「検索の抗弁権」、「分別の利益」がありません。

連帯保証人になるとどうなるの?

連帯保証人になると、債務者が支払えなくなった債務を債務者と同じ立場として請求されるリスクがあります。

しかしながら、債権者も貸したお金を確保するために、しっかりとした連帯保証人を求める場合があります。そのため、例えば以下のような場合には、連帯保証人を求められることになっています。

例1:賃貸契約などのパターン

賃貸契約を締結する際、家賃支払いの滞納など、万が一の場合に備えて連帯保証人を立てることになっています。借主が支払いの滞納を行った場合、家賃滞納分の支払いのリスクがある他、賃貸契約解約の際の原状回復費用も負担しなければならないことがありますので注意が必要です。

例2:住宅ローンを組んでのパターン

夫婦や親子でペアローンを組む場合、収入を合算して1本のローンを組む場合など一定の場合には、お互いに連帯保証人となることが求められます。住宅ローンの滞納があった場合、すぐに気付いた時点で金融機関に連絡をし、指示に従えは問題はありません。しかし、滞納が3ヶ月〜6ヶ月を過ぎると「期限の利益の喪失」となり、その期日を過ぎた場合、一括返済を求められることになります。しかしながら、住宅ローンの全額返済に対応するのは殆ど不可能なので、、通常は競売か任意売却をするよう金融機関からすすめられます。また、万が一連帯保証人も住宅ローンの滞納が連続すると、信用情報のブラックリストに載ることになりますので気を付けなければいけません。

連帯保証人になって得るメリットはありません

連帯保証人になることは、大きなリスクを負担することにつながり、これといったメリットはありません。避けられることなら、連帯保証人とならない方法を模索するのが一番です。その理由について、以下の点を確認してみましょう。

途中でやめることは基本的にはできません

一度連帯保証人となる契約を結んでしまえば、簡単には辞めることは出来ません。そもそも連帯保証人の役割は、債務者が支払いできない場合に、代わりに支払いを保証するというものです。そうであるならば、債権者にとっても、債務者が支払いをしない場合の法的な保証が必要となりますので、辞める場合には、相応の責任を負担しなければいけません。

一度連帯保証人になったらずっとやめる事はできないの?

連帯保証人は途中で辞めることは基本的に難しいことではありますが、完全に不可能というわけでもありません。例えば、以下の場合に該当しさえすれば、連帯保証人を辞めることが出来ます。

債権者に解除を承認してもらう

債権者が連帯保証契約を解除すれば、連帯保証人を辞めることが出来ます。しかしながら、折角確保した連帯保証人を債権者が簡単に手放すはずがありません。よって、連帯保証人が何らかの形で譲歩して、別の条件を持ってくるしかありません。

別の連帯保証人をたてる

債権者としては、債務者の代わりに支払いを保証する資力のある人を確保できれば問題ありませんので、他の連帯保証人を立てることにより、途中で辞めることは出来ます。この場合、事前に金融機関に相談することが必要です。しかしながら、連帯保証人を引き受けて頂ける方はなかなか現れないでしょう。

連帯保証人と保証人は何が違うの?

連帯保証人と単なる保証人はどのような違いがあるのでしょうか。前者の方が重い責任があるような印象を受けますが、実際の違いについてみていきます。今回は、イメージしにくいものについて、具体例により考えていきます。

催告の抗弁がない

連帯保証人の場合、法律上の「催告の抗弁権」がありません。これにより、連帯保証人は債務者の支払いが滞ると、直ちに支払いの請求をしなければいけないことになります。

検索の抗弁がない

連帯保証人の場合、法律上の「検索の抗弁権」がありません。これにより、連帯保証人は債務者の支払いが滞ると、連帯保証人の財産より差し押さえがなされても文句を言えないことになってしまいます。つまり、連帯保証人は、債務者の支払いが滞ると債務者を先に差し押さえるように主張できないということです。

分別の利益がない

連帯保証人の場合、法律上の「分別の利益」がありません。これにより、連帯保証人は複数名の連帯保証人が存在した場合でも、債権者より請求を受けた場合には、債務の全額を返済しなければいけないことになります。

つまり、連帯保証人が二人いる場合、返済額100万円を50万円ずつ分担支払うのではなく、ある連帯保証人に100万円全額請求された場合には、返済額を頭数で割った額の50万円の支払いでは許されないということになります。

みんなが気になる質問



連帯保証人に関して、よく問題となる質問をまとめてみました。不動産の賃貸、購入に関する連帯保証人は以下のようなことになっています。ご自身に当てはまりそうなものがあれば参考にしてみて下さい。

賃貸契約の際の連帯保証人は親族でも大丈夫ですか?

連帯保証人となる人は、万が一の際にトラブルなく返済に応じてもらい易いということを考慮して、なるべく両親など血縁上の近い人が望ましいといわれます。しかしながら、血縁上離れた親族の方でも、連帯保証人となれないわけではありません。この場合、一度不動産会社に相談してみるのが良いでしょう。

家を買う場合、連帯保証人がいなければ買えないのですか?

勿論、家を一括で現金で購入する場合には、保証について考える余地はありませんが、一般的には、住宅ローンを組むことになります。ところが、現在では、住宅ローンを組む場合にでも連帯保証人を付けなくても良いとする金融機関も実は少なくはありません。 近年は、保証料が不要な金融機関等や、「フラット35」のように、もともと保証人を不要とする住宅ローン商品もあります。また、連帯保証人を「保証会社」に頼むという選択肢もあります。

連帯保証人は未成年でも働いていればなれるのですか?

未成年であっても一定の収入がある場合には、連帯保証人になることが出来ます。ただし、未成年の契約には親の同意を得なければいけないので注意が必要です。一方で現実には、親が子供に連帯保証人となることを許すことは考えにくいでしょう。

連帯保証人として返済を求められたけれど断れるのですか?

残念ながら断ることは出来ません。一旦連帯保証人となった以上、債務者の支払いが滞った場合には、債権者からの支払いをしなければいけない義務があり、拒否すると強制執行により財産が差し押さえられてしまいます。

まとめ

今回は、連帯保証人になる前に、連帯保証人としてのリスクを認識して頂くためにまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。一度契約してしまうと、なかなか辞めることが難しく、単なる保証人とは異なり、重い責任を負うことがご理解頂けたのではないでしょうか。可能であれば、連帯保証人以外の方法で済むのであれば、それに越したことはありません。必ずしも連帯保証人を必要としない場合もあるので、正確な知識をつけて、連帯保証人となる前に対処できるようにしたいものです。