「不動産業界に転職したい!」でも、実際どうしたら良いのか分からない……。「不動産業界」と一言でまとめても、様々な業務や業態があり、それによってどんなスキルが必要なのか?という点も変わってきます。この記事では、不動産業の基礎的な知識から就職するための条件、働きやすさなど「不動産業界」への就職に関して気になることを一通りご紹介していきます。

 不動産業界に転職をする際の基礎知識

不動産業界に転職するなら、まずは基礎知識をしっかりとチェックしていきたいましょう。 これから不動産業界の基本的な業務やその種類・特徴などについてご紹介させて頂きます。

不動産業界は売買、賃貸、管理の3つに分けられる

不動産業界の仕事には種類があり、大きく分けて「売買」「賃貸」「管理」という3つに分けることが可能で、どれも不動産に関する事ではありますが、仕事の内容は大きく異なります。それぞれの違いや特徴についてご紹介していきます。

売買は物件の売買の仲介を行う

まずはじめにご紹介したい不動産業界の業務は「売買」で、主に不動産の売買に関する仲介人の役割を果たす仕事です。

不動産売買の仲介人というのは、「不動産を売りたい!」、「不動産を買いたい!」という両方のニーズをマッチさせる事が仕事で、売る側・買う側両方・もしくは片方から仲介手数料を頂いて、利益を上げます。

不動産は、流動性が低いことや複雑な契約が伴う事が多く、動く金額自体も大きいため、不動産のプロが売り手と買い手の間に介在する必要があります。 動く金額が大きいですし、仲介手数料も高額になることが多いので、歩合制の営業マンは高給取りの方も少なくありません。

(売主として自社物件の分譲販売を行う事もあります。)

賃貸は賃貸物件契約の仲介に入る

賃貸も売買と同じように、不動産屋業者は、賃貸物件の貸主と借主の間で、契約を円滑に進める役割を果たしており、自社物件等の場合は、不動産業者が貸主の場合もあります。 売買と比べると手数料が少なくなりがちですが、引越しシーズン(2月〜4月)では、忙しくなります。

管理は不動産物件の管理を行う

最後にご紹介したいのは「管理」です。 不動産業界に転職!というとどうしても「売買」「賃貸」の営業というイメージが強いですが、不動産の管理というのも重要な役割を持っています。

管理は、不動産によってが出来るだけ大きな利益を上げるために、広告活動などはもちろんですが、入居者の対応・賃貸契約を大家さんに変わって結んだり、建物の維持管理したりなど、業務は多岐に渡ります。

売買は件数が少ないので、未経験で経験をつむには賃貸から始める方がよい?

売買は仲介手数料が大きいので、歩合制の場合は高給取りが多いと言われています(人によりけりですが、賃貸に比べると)。 一方で、契約の絶対数自体が少ないので、その点から考えると見込み客が多い賃貸の方が未経験の場合は、経験値を挙げるには適しているといえるかもしれません。

不動産業界に転職をするための条件は

不動産業界に就職するには、どのような条件が必要なのでしょうか? もちろん、不動産業者さんによりけりではありますが、一般的に不動産業者さんが必要としている人材をご紹介します。

若ければ経験はあまり問われない

まず、初めに言えることは「若ければ大丈夫!」という事です。 もちろん、大手になればなるほど、資格や学歴・経験と言った、ある程度のスペックを求められる事はありますが、企業規模にあまりこだわらなければ、若さは有利に働くことが多いでしょう。

しかし、営業で物件の内見・案内を行う事も多いので、自動車免許は必須だと言えます。

社員の平均年齢が若いので、30代の未経験転職は不可ではないが敬遠されることも

不動産業界は企業規模にこだわらなければ就職可能なケースが多い分、給与が歩合制のこともあるなど、その厳しい環境に去る者も少なくありません。 そのためか、社員の平均年齢が低い事が多く、30代以上で未経験なら転就職は厳しくなるかもしれません。

業界内での経験者による転職が多い

不動産業界は、転職が多い業界だと言えます。 というのも、どの会社でも基本的な業務は変わらないので、ある程度経験を積んだ方は「もっと歩合の高いところで挑戦したい!」などの理由から転職という選択肢を取る方が少なくないのです。

また、どの不動産会社でも必要としている資格やスキルが似通っているので、その点も業界内での転職が多い理由です。

宅地建物取引士資格の取得は必須

もし、「不動産業界でしっかりと食べていこう」と考えるなら、宅地建物取引士資格の取得は必須だと言えます。 というのも、不動産の業務に関する法律をまとめた宅建業法に、

「宅地建物取引業者は、その事務所その他国土交通省令で定める場所(以下この条及び第五十条第一項において「事務所等」という。)ごとに、事務所等の規模、業務内容等を考慮して国土交通省令で定める数の成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならない。」

出典:宅地建物取引業法
 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC1000000176#F

というルールがあり、不動産の業務に従事する人に5人に1人、最低1人は宅地建物取引士である必要があります。 そのため、不動産業界では重宝される資格であり、「不動産業界に転職したいけど、何から初めたら良いの分からない」という方は、まず宅地建物取引士の取得を目指しましょう。

また、不動産に関連する法律の知識のみではなく、権利関係(制限行為能力者制度や相続、登記)などに関しても学ぶため、幅広い業界で求められる資格であり、不動産業界以外でも使える便利な資格です。

管理に携わるならマンション管理士などの資格の取得を目指す

不動産業界の管理を目指すなら、マンション管理士を目指しましょう。 難易度は行政書士と同じくらい、宅地建物取引士よりも少し難しいと言われています。

不動産業界は、就職へのハードルが比較的低いですが、就職後にマンション管理士、宅地建物取引士を目指す方が多く、その他にもFPや行政書士などの資格を保有するインテリの方も少なくありません。 敷居が低い分、法律に関する資格などを保有し、差別化を測る方が多いです。

不動産業界の働きやすさは

不動産業界に対してどんなイメージを持っていますか? 働きやすそう?働きにくそう?このような疑問は、職場や好みによって分かれますが、不動産業界の方はどのような境遇で働いてるのかをご紹介するので、自分にあっているのか?あっていないのか?をしっかりとチェックしてみてください!

年度切り替わりは大変な繁忙期で休みが取りにくい

不動産業界は年度の切り替わりはかなりの忙しさになります。(2月〜4月) もちろん、休みを取ろうと思えば取れますが、不動産業界は歩合制の場合が多いので、休みを自ら取らず、営業に回るという方も少なくありません。

歩合給がメインなので、収入は自分次第

不動産業界の全体平均年収は「約441万円」と言われています。

しかし、平均年収を見てもあまり意味がないかもしれません。 というのも、不動産業界の、特に営業の場合は歩合制が多いので、高給取りの方は1,000〜2,000万円という方も少なくないのです。 しかし、あまり営業が得意でなく、年収200万円〜300万円という方も見受けられます。

出典:国税庁
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/minkan/index.htm)

 

離職率は比較的高いと言われる

先程もご紹介させて頂きましたが、給与に開きが多い業界です。 言い方を変えると業界内での格差が大きいので、低い給与の方は少しでも売上を上げるために、長時間労働をはじめとしたハードな業務に根をあげ、離職していくことも多いのです。 入る者も多いが、去る者も多いという業界です。

大手不動産会社の年収は『四季報』などで調べよう

大手不動産会社に限った話をすると、歩合制の場合でも歩合の割合が低く、固定給が安定しているという特徴があります。 そのため、『四季報』などを参考にすることで、実際の給与と近いデータをチェックすることが可能です。

不動産業界に女性は転職できる?

不動産業界と聞くとどうしても「男性」のイメージが強い方も多いのではないでしょうか? 実際、不動産業界の男女比は男性が約62%、女性が約38%と男性の方が多いという統計が出ていますしかし、不動産業界でも十分に女性の就職は可能で、特に営業においては需要が高いです。 次に、不動産業界と女性の活躍についてご紹介したいと思います。

出典:不動産流通推進センター
http://www.retpc.jp/wp-content/uploads/toukei/201709_1gaikyo.pdf

営業でも事務でも女性の転職は可能

男性の比率が多い不動産業界ですが、営業でも事務でも女性の転職は可能です。 不動産の事務は契約書などの重要な書類を扱う事が多く、専門的な知識を必要とする場合もあるので、給与が多いのが特徴です(一般的な事務と比べた時に)。

女性客からは女性営業マンの需要は高い

不動産の営業では、実際に物件を内見したり、様々な物件を一緒に探したりと営業の方と接する時間が長い事が特徴です。 そのため、女性の営業マンは女性客からの需要が高く、女性という点が営業においてメリットになる可能性は大いにあります。

大手の不動産会社では育児休暇や産休制度等の整備が整っている

どの業界でも言えることかもしれませんが、大手の不動産会社では育児休暇や産休制度など、女性が必要な福利厚生がしっかりと用意されているケースが多いです。 そのため、女性が安心して働ける職場と言えるでしょう。

中小企業では福利厚生が充実していないことも

これもどの業界でも言えることかもしれませんが、中小企業の場合は福利厚生が充実していない事が多いので、注意が必要です。 育児休暇や産休制度を必要とする場合は、就職前にしっかりとチェックしておきましょう。

結婚出産で退職をしてからの復帰はしやすい業界である

不動産業界はどの不動産会社でも、やることはある程度似通っていますので、再就職へのハードルは低めです。 また、宅地建物取引士やマンション管理士などの資格を保有している人材は、どの不動産会社も求めているので、そのような資格を持っているとなおさら尚更復帰しやすいと言えます。

最後に

この記事では、不動産業界の基本的な業務内容事から、就職への条件、働きやすさ、女性の就職などについてご紹介させて頂きました。不動産業界は、就職へのハードルは比較的低いですが、その分競争は激しく、沢山の資格を持っている方が有利になります。中小企業になると完全歩合制の所もあるので、営業への意識がより高い方も多いです。

そのため、続けていくのが決して簡単な業界ではないですが、努力次第では高給取りも夢ではない業界なので、人によってはかなり魅力的な業界なのではないでしょうか!