「住宅ローンって滞納すると追い出されるの?」

今は住宅ローンを支払えていても、将来的にどうなるか分からず、このような不安を抱いている方も少なからずいらっしゃるのではないのでしょうか?例えば、「住宅ローンを支払わないとすぐに追い出されてしまう!」「自分の住居が競売に掛けられる!」など、考え出すと不安は募るばかりですよね。

この記事では、住宅ローンを支払えなくなる原因や、支払えなくなった場合にすべきことやよくある勘違いについて詳しくご紹介しています。住宅ローンが払えなくなった場合の疑問を一気に解決していきましょう!

払えなくなる原因

住宅ローンは将来的に支払える無理のない金額で融資を受けるのがベストですが、そうしていたとしても、住宅ローンは数十年という長いスパンで組むことが多く、その間に何が起こるかは誰にも分かりません。つまり、何かが原因で住宅ローンを支払えなくなる可能性は十分に考えられますが、何が原因になるのか?は、誰にもはっきりとは分かりません。

しかし、住宅ローンを支払えなくなる方には、ある程度似通った理由で支払えなくなるケースがいくつかあるものです。住宅ローンを支払えなくなる代表的なケースを知り、その際の対策を考えておくことで、住宅ローンを支払えなくなるというリスクは減らす事が可能です。

失業

まず、初めにご紹介したい住宅ローンを支払えなくなる代表的な原因は「失業」です。 失業してしまえば、収入が無くなるわけですから、当然住宅ローンを支払っていくことも難しくなります。

もちろん、バイトやパートなどで収入を得ていくことはは可能かもしれませんが、失業前の給与水準まで収入を作らないと、継続して住宅ローンを支払う事は難しくなるでしょう。

収入減少

次にご紹介したい住宅ローンを払えなくなる代表的な原因は「収入減少」です。

失業とまでは行かなくても、無理のある住宅ローンを組んでいた場合は、収入減少であっても住宅ローンを支払えなくなる可能性はあります。 特に収入の増減が激しい職種や働き方の場合は注意したいですね。

無理なローン

「無理なローン」というのも、住宅ローンを支払えなくなってしまう原因の一つです。 住宅ローンは、数年で返済が完了するようなローンではなく、数十年というかなり長期間のスパンで返済計画を立てることが多いローンです。

現在の収入では余裕があったとしても、その状態はこれからも続くのか?という点についてしっかりと見極めてから住宅ローンを借り入れする必要があります。

病気・事故

「病気や事故」というのも住宅ローンが支払えなくなってしまう原因の一つであり、予想できにくいリスクの一つだと言えるかも知れません。

特に、病気のリスクというのは、加齢とともにある程度の予測を立てていくことが可能ですが、事故というのはいつ・どこで・誰が当事者になるか分からない事がほとんどです。

病気や事故にあったとしてもローン返済のリスクを少なくする選択肢として、保障の厚い保険に加入しておくというのもありでしょう。(がん保険や医療保険など)。

教育費の増大

「教育費の増大」というのも、住宅ローンが払えなくなってしまう原因の一つであり、特にお子さんが大学等への進学を考えた際に、頭を悩ませるケースが多いでしょう。

というのも、大学の学費というのは大きくなりがちであり、国立大学の場合でも最低240万円に近い学費が掛かってきますし、私立の場合はもっと学費が必要になってくるケースがほとんどでしょう。

(出典:河合塾『2017年度 国公立大学 受験料・初年度学費一覧学費について( http://www.keinet.ne.jp/dnj/17/gakuhi/k_gakuhi.pdf)』

離婚や別居

「離婚や別居」というのも、住宅ローンを支払えなくなってしまう原因の一つです。 よくあるケースとして、離婚後に住宅ローンと共に養育費を支払う必要があり、養育費+生活費+住宅ローンに追われてしまうという状況です。

このようなケースを避けるためにも、住宅ローンが残った状態での離婚の場合、「お金」に関してしっかりと相談しておきましょう。

生活費で精一杯

次にご紹介したい住宅ローンを払えなくなる理由は「生活費で精一杯」というケースで、これは「無理なローン」という理由と似通っているかもしれません。 生活費やその他の雑費に圧迫されても、余裕のある住宅ローンの返済額の設定を意識しましょう。

他にも借金がある

最後にご紹介したい住宅ローンを払えなくなるケースは「他にも借金がある」というケースです。 住宅ローンの融資を受ける前の借金で、生活が苦しくなるほどであれば、ほとんどの場合はローンの審査が通らないでしょう。

しかし、住宅ローン後の借金についてはかなり注意するべき。住宅ローンの融資後に借金をする際は、しっかり返済していけるのか?という点について考慮してから、融資を受けましょう。

払えなくなったらどうする?

住宅ローンが払えなくなる代表的な原因についてご紹介させて頂きましたが、もしも住宅ローンを払えなくなった場合は、どのように行動するのがベストなのでしょうか? これから、住宅ローンが払えなくなった場合にすべき行動についてご紹介したいと思います。

金融機関に相談

まずはじめに、住宅ローンが払えなくなった場合に出来ることは、金融機関に相談する事でしょう。 ほとんどの金融機関では、無理に払い続けさせることで、全て取れなくなってしまうよりは、減額やリスケ(返済方法)などを提案してくれるはずです。

特にリスケに関しては、住宅ローンは35年が最長となっているので、もともと20〜25年の返済計画を立てていたなら、返済期間を長くすることで負担を軽減することが可能です。

住宅ローンの借り換え

「住宅ローンの借り換え」というのも有効な手段の一つです。 特に現在加入している住宅ローンの金利が高い場合は、現在よりも低い金利で住宅ローンを提供している金融機関への乗り換えなどによって、負担を軽減出来る可能性があります。

生活費の見直し

「生活費の見直し」というのは、どのようなケースにおいても住宅ローンの支払いが厳しくなった場合には考えていく必要があります。しっかりと家計簿を作るなど、お金の管理を徹底しましょう。

団信での保障が利用可能か確認

「団信が使えるか確認」というのは、病気などで払うのが厳しくなっている方にはおすすめの負担を軽減する手段の一つです。

団信では死亡などはもちろんですが、(高度障害の場合でも適用できたり、所定の病気になってしまったら住宅ローンを減額してもらえるものもありますので)団信の保障の対象になるか「確認」だけでもしておきましょう。

それでも住宅ローンを支払わないとどうなるのか

「どんな手段を使ってもだめだった……」 もしも、先程ご紹介させて頂いたような方法でも、住宅ローンの支払いが難しい場合は、いよいよ「家が無くなるかも知れない」という状況に近づいていきます。

これから、住宅ローンの支払いが難しくなった場合に起こりえる事を、順を追ってご紹介したいと思います。

金融機関の支払い請求

まずはじめに、住宅ローンを払えなくなる、金融機関から支払い請求が来ます 。2ヵ月程度で送付されるので、この時点なら経験がある方もいるかも知れませんね。

督促や催告状が届く

住宅ローンの支払いが滞ってから、3ヵ月以内の場合は、金融機関から督促状や催告状などが送付され、来店依頼などもこの時期から届くというケースもあります。 3ヵ月未満ではまだ、信用情報に傷はつきません。

代位弁済通知

3ヵヶ月以上催促状や督促状を無視していると、6〜7ヵ月あたりで代位弁済通知が送付されます。 代位弁済というのは、債権者の「期限の利益の喪失」にあたり、住宅ローンを分割払いする権利が無効になるという事なので、保証会社が代わりに住宅ローンを返済します。この時点ではかなり危機的状況と言えるでしょう。滞納3ヵ月を超えた辺りから信用情報機関に金融事故として記録され、信用情報にも傷が付いてしまっています。

競売開始決定通知

11ヵ月目を目安に、担保不動産競売開始決定通知というものが届き、これは裁判所が、保証会社が借金を回収するために、不動産の競売を受理しましたという事を知らせるための書類です。その後、執行官が現地に調査に来ます。もしも、その調査に協力しないと、強制的に写真等が撮影されます(権限は裁判所が持っている)。

入札期間通知書が送付される

調査が終わったあとは、裁判所から11〜14ヵ月程度で入札の開始の日時等が通知されます。この辺りから家が無くなることが近づいているという実感も湧くと思うので、次の住居をしっかりと探しておきましょう。

競売が始まる

通知された期日内に、一番高い入札を入れた最高価買受申出人の購入が決定し、売却の決定が裁判所から送付されます。

立ち退き

落札が決定した場合は、すぐに引っ越しの準備をしておきましょう。というのも、落札から2ヵ月以内に立ち退かない場合は、執行官に強制立ち退きさせられてしまうからです。

出典:一般社団法人 全日本任意売却支援協会 「競売までのタイムスケジュール  https://ninbai-japan.or.jp/schedule

よくある勘違い

先程、住宅ローンを支払えなかった場合の運びについてご紹介させて頂きましたが、最後によくある勘違いと、実際はどうなのかについてご紹介したいと思います。

払えなくなったらすぐに退去しないといけない

「払えなかったらすぐに裁判所の人から追い出されてしまう」 というイメージをお持ちの方もいたかもしれませんが、実際のところははじめての督促状から12ヵ月ほど猶予がある事がほとんどでしょう。

滞ってもボーナスなどお金ができたときに払えばよい

滞っても、まとまったお金が入るときにどうにか払えばいいという認識は大変危険です。 数回はしのげるかもしれませんが、そのような返済をしていると、いつか信用情報に必ず傷が付き、その後ローンを使用した買い物などは出来なくなります(身近な物だと携帯電話の分割)。

金融機関に支払いに関する相談はできない

払えないという事を金融機関に相談するのは、引け目を感じるかもしれません。しかし、まずは支払いに困ったら金融機関に必ず相談しましょう、負担が軽くなる可能性は大いにあります。

1回の支払い遅延でブラックリスト入りしてしまう

1回の延滞で、ブラックリスト入りしてしまう事はありません。通常、信用情報を管理している信用情報機関に金融事故として記録されるのは、3ヵ月以上からなので、一度の延滞でそれほど心配する必要はありません。

勝手に家を売られてしまう

住宅ローンを滞納したとしても、勝手に家を売られる事はありません。何度も督促状や催促状が届きますし、全く反応しない場合はどこかで電話が掛かってくるなど必ず通知がきます。

その後、仮に競売に掛けられるとしても、家を出るまでには時間的な余裕があるので、通常の場合は払えなくなっても、すぐに住む場所が無くなるという事はないでしょう。

最後に

今回は住宅ローンが払えなくなる原因や払えなくなった場合の対応、払えなくなった場合の流れや、滞納に対する勘違いとその事実などについてご紹介させて頂きました。 人生何が起こるか分かりませんし、必ず住宅ローンを支払い続ける事が出来るという保障はどこにもありません。

しかし、予め無理ない住宅ローンを組んでおけば、住宅ローンが払えなくなるというリスクはだいぶ避けることが可能になります。住宅ローンで融資を受ける際は、無理のない返済が出来るのか?ということのをしっかりと押さえておきましょう。