不動産投資を始めた大家さんが1番気にするのが入居率です。アパートやマンション大家さんにとっては入居者がいない限りは投資資金を回収することはできません。しかし、最近ではアパートやマンションが多く建築されて飽和状態になっている地域がみられるようになってきたのも事実です。今回はこの「空室対策」についてご案内します。

なぜ空室が生まれてしまうのか

アパートやマンションを1棟持っていれば、入居者の出入りはあるものです。
しかし、何ヶ月も空室を抱えるとなると資金繰りにも影響してきますし、できるだけ早く空室を解消するために対策を考えなければなりません。この空室が出るという状況を客観的に検証してみましょう。

入居者募集関連の問題

最初は、入居者募集に原因がある場合です。

家賃の価格設定

数ヶ月単位、または移動時期にあたる年末から春先にかけて募集をしてもなかなか空室が埋まらない場合は何か原因があるはずです。
その原因の大きな要因となるのがこの家賃設定です。
入居者目線からみれば同じ条件では、1,000円でも安い家賃へ流れます。大家さんとして、家賃設定をする際は何を参考にされているでしょうか。

管理会社に勧められるまま決めていませんか?
あるいは、投資資金を回収する最初のポートフォリオにこだわっている部分はないでしょうか?
家賃設定は回収希望金額から割り出すのでは無く、近隣で同じ条件の賃貸物件から設定することをおすすめします。

敷金・礼金の条件

数年前までは入居尾者募集広告には敷金・礼金1カ月という募集が多く見うけられましたが最近は敷金と礼金無しプラス保証人も無しというところがでてきました。
まったく保証人を付け無いと言うよりは、今まで家族や親戚が保証していた部分を保証会社を入れることによって「敷金と礼金無しプラス保証人も無し」となったという部分が大きいでしょう。
現状は、空室対策として敷金・礼金無しで保証会社を間に入れるという契約が多くなってきています。募集の際にも敷金・礼金無しの方が反応が良いでしょう。

募集の期間的な問題

募集時期が異動時期を外れてしまった。空室対策においてこの時期外れという問題はなかなか厄介です。異動時期ならすぐ入居者が見つかったはずが、初夏から秋口までは空室がすぐには埋まらないケースは多いものです。数少ない入居者の奪い合いという状況が生まれ、この時期の空室対策はかなり思い切ったディスカウントが必要になります。

物件の画像が汚い

入居者の募集を管理会社や委託する不動産会社へお任せして後は連絡を待つだけにしていませんか?自分の所有物件がどんな募集をされているかホームページや住宅情報雑誌で見て確認してみましょう。
古い画像だったり、物件の良さが際立っていないような画像は遠慮無く管理会社や不動産会社へ連絡して差し替えを依頼しましょう。
クレームという態度ではなく、「もっと良さをアピールして欲しい」そんな感じで伝えてみましょう。管理会社や不動産会社も大家さんがチェックしているとなればいい加減な画像は出せないはずです。

物件関連の問題

次は物件自体に何らかの問題があり空室対策が必要な場合です。

立地や築年数が劣っている

「遠・古・高」これは駅から遠く、建物が古くその割に家賃が高いという物件を表しています。賃貸物件があふれている昨今、このような賃貸物件には入居者は集まりません。立地や築年数が経っている部分の改善は難しく、そのマイナス部分を補うには物件を好条件にする必要があります。

一例として家賃を付近の同じ条件より数千円下げる。または引越し料金を一部補助するなどの提案をしてみることも一つの手段です。昨今の入居者目線は厳しいので少しでも「お得感」がでている物件がすぐ契約に結びつきやすいのですが、余りに劣化が目立つ部分はリフォームするほうが入居率が上がるケースもあります。

物件の維持管理がされていない

物件の管理が悪いというと、具体的には共有部分に清潔感がなかったり、玄関や階段部分に見た感じ老朽化を感じる、外壁などの汚れが放置されている等があります。経年劣化の部分はどの建物にもありますが、キチンと補修されていればさほど目立つということはありません。古くても手入れされている建物の方が良い印象を持たれる場合もあります。
「キチンと管理されている」のは仲介会社にとっても紹介しやすい物件でもあるのです。

敷地内が汚い

この記事を読んでおられる大家さんの中には、「とても遠距離で自分では清掃など行けない」「仕事があるので手が回らない」という方もいらっしゃるでしょう。
不動産会社やサブリース会社で初めから外回り清掃などが契約として入っていない場合は地元の清掃業者に依頼してみましょう。おすすめは地域のシルバー人材センターやパートワークセンターです。時給1,000円前後で月2回程度清掃して貰うとだいぶ印象も変わってきます。
また、何か破損部分があってもすぐ連絡をして貰えたり地元に強いこのような機関を利用すると建物の維持管理に役立ちます。

まずは自分自信が入居者だったらの立場に

自分自身が入居者だったらという目線で一度自分のアパートやマンションをチエックしてみましょう。

<チエックポイント>
・付近の同条件の間取りと比べて家賃の割高感はないか?
・家賃だけでなく、付帯する管理費・駐車場代など全て込みでどの程度の金額になるか?
・水道代など上水道と下水道代と併せると一人暮らしやファミリーだとどの程度になるか?
・プロパンガス物件と都市ガス物件では毎月の利用料金に数千円単位の差が出る場合があります。
最近の入居者は家賃や駐車場代だけでなく、このような光熱費関連ももれくなく検討しています。
・水回りや窓、障子や床材に経年感はないか?
バスルームの鏡の汚れなど内見の時に汚れが目に付くものです、ある程度の年数が経過したらまるごと交換してしまったほうが良いです。
・小さな部分でも壁の汚れを放置していないでしょうか?
このような壁の汚れは足元は目だたなくても、顔の位置などの汚れは目につくものです、塗り替えや補修をするようにしましょう。

管理会社や仲介会社、サブリース会社などに一任せず自分で見て回ってはじめて分かる部分がでてきます。定期的にチェックして所有物件の状態を把握することが大事です。近隣の同条件の物件より家賃・管理費・駐車場代と光熱費含めていくらで暮らすことができるかを把握すしたり、高い部分があれば検討したり、他の部分で値下げや入居時にサービス期間を設けるなど入居希望者の目を引くアピールをしてみましょう。

 

空室を防ぐコツとは?

入居者もいずれは退去するものです、退去してもすぐ入居する物件とは入居者にとっていろんな意味で住みやすい物件です。
所有物件をアピールする方法を考えてみましょう。

動画や最新のVRを使って物件紹介をする

今まで、管理会社や不動産会社が物件を紹介するのは画像のみでした。しかし、これでは奥行きや天井の高さなど実際に行ってみないと分からない部分があります。内見者が動画やVRを見て「この物件を見に行きたい」と思わせるような紹介方法も検討してみましょう。

できる限り条件を緩める

大家さんであれば、できる限り早く資金を回収したいと思い、家賃は高い方がいいと考えがちですが、長く安定した不動産投資をするコツは一刻も早く空室をなくすことが大事です。多少想定よりも低い家賃でも、いつも満室で安定した家賃収入が得られる物件こそ利益をもたらす不動産投資ともいえます。

その為には、入居時の条件をできるだけ緩めるという方法もあります。一部の大家さんには「小さい子供さんは家を傷めるのでお断り」という方も未だ少なくありません。逆に「小さな子供さんOK」とした方が目につきやすくなりますので、その代わり「敷金を1~2カ月分いただきます」という条件を付けるという方法もあります。子供さんがいて、あちこち断られている入居希望者ならその条件でも了承していただけるはずです。このあたりは、相手のニーズによって細かく差をつけてみましょう。

高齢者社会だからこそ高齢者目線という方法も

超高齢者社会になる日本。所有物件を高齢者のためにトイレ・風呂・廊下などに手すりを用意したり段差大家さんくすバリアフリーなど簡単なリフォームをして高齢者向け住宅とするのも物件の差別化になります。この程度のリフォームは割と簡単にできて、費用も低廉ですみます。所有物件の周りに医療機関があれば、「バリアフリー賃貸物件、徒歩10以内に病院有り」なども高齢者にとって魅力有る物件になるでしょう。

入居者特典を付ける

入居者特典はいろんなサービスが用意されています。代表的なものは「インターネット無料」「CATV見放題」などあります。
しかし、これは物件の入居者層を想定して用意する必要があります。インターネットなどあまり興味ない高齢者なら不要な設備ですし、設備を付けてもその分家賃が高くなれば入居率は下がります。費用対効果を事前に検討してみましょう。

始めが肝心!内見者だからこそ暖かく迎える

ほとんどが不動産会社が入居希望者を案内するので、大家さんが内見者と直接会う機会は少ないかもしれません。でもそのような機会があればぜひ、内見者の方と暖かく接してみてください。「どんな物件をお探しですか?相談されたいことがあれば遠慮無くおっしゃってくださいね」、と話かければ気さくな大家さんという印象を持っていただけるかもしれません。

【空室対策は事前に行うことが重要】

空室対策は空きがでてからでは遅すぎます。事前に自分の所有物件のメリット・デメリットを把握するのが肝心です。また、家賃設定や管理費や駐車場は一度決めたらそれきりにせず数年ごとに見直したりすることも必要です。大家さんの管理がしっかりしている物件が長く安定した収益を生み出す優良物件となるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?ほとんどの大家さんはローンを組んでアパートやマンション経営をされている方です。資金繰りのためにも空室対策はかかせません。管理会社や仲介会社にお任せにせず、自分の物件を把握することが財産を守る事につながります。空室対策に悩んでいる大家さんのご参考になれば幸いです。