注文住宅なら、自分の理想を形にすることができます。しかし、明確に値段が提示されている建売住宅やマンションとは異なり、価格や相場が分かりにくいのが難点ですよね。住宅は人生における最大の買い物でもありますから、注文する前にしっかりと価格について把握しておきたいものです。注文住宅の価格と相場の調べ方、そして、施工期間の目安についてまとめましたのでぜひ参考にしてください。

注文住宅の価格はいくら?平均的な金額について

使用する素材や建具を豪華にすれば、住宅価格は天井知らずに増えていきます。また、すべての選択肢において最安値のものを選べば、住宅価格を低く抑えることは可能です。また、素材や建具以外にも住宅価格に大きな影響を与える要因があります。

注文住宅の価格は建築予定地によって変わる

注文住宅の価格は、建設する土地によって大きく変わります。土地価格が変わるだけでなく、地盤改良工事がどの程度必要か、外構工事はどの程度のものが求められるのかによって変わってきますので、1平米当たりの施行単価が変わってくるのです。

注文住宅の価格はしっかり比較をするべき

また、住宅メーカーによっても1平米当たりの単価が大きく変わります。必ず複数の業者に見積もりを出してもらい、提案してくれる内容と価格を厳しく比較しましょう。

注文住宅の建設を依頼する前に複数の工務店から見積もりを取る

全国規模で展開している住宅メーカーに依頼するのも良いのですが、地元の工務店に住宅建築を依頼することも選択肢の1つとして検討してみて下さい。一般的に見積もりは無料で行ってくれますので、気軽に頼んでみましょう。ただし、稀に「契約前に詳しい見積もりを出すことはできません」と主張する工務店もあります。契約を依頼してからでは後悔することにもなりかねませんので、見積もりが有料の工務店は利用しないなど、注意とのが必要です。

注文住宅の建設を依頼する工務店の選び方

国土交通省のデータに因りますと、在来工法による注文住宅の過半数が中小の工務店によって建てられています。とはいえ、建設業として国土交通省の許可を得ている業者だけでも47万弱(2013年3月末時点)もあり、施行業者選びだけでも一苦労ですよね。効率よく工務店を選ぶための3つのポイントを紹介しますので、工務店選びに迷ったらぜひ活用して下さい。

参考:国土交通省「住宅関連産業について」
http://www.mlit.go.jp/common/001098411.pdf

国土交通省「建設業許可業者数調査の結果について(概要)」
http://www.mlit.go.jp/common/000999105.pdf

居住地にある地元の工務店を探す

住宅を完成させるためには、何度も担当者と話し合わなくてはなりません。工務店が遠い場合は、問題が発生するごとに担当者に足を運んでもらわなくてはならず、手間も時間もかかってしまいます。その点、地元の工務店ならすぐに対応してもらえて便利です。また、建築後に問題が生じたときにも迅速な対応が期待できますね。

インターネットサイトを活用して日本全国の工務店の中から複数社選ぶ

工務店ごとに建築のテイストや完成品質が異なります。理想とする住宅を建てたいと思い注文住宅を選んだはずなのに、予定していなかった工務店のテイストに染まった住宅が完成してしまうのなら本末転倒ですよね。工務店の中には今までの作品(住宅)を公式サイトで公開している場合もありますので、それらの写真を見て、そして実際に相談をして、理想に近い建築を実現してくれる工務店を選んでみてはいかがでしょうか。建設予定地から遠くても対応してくれる工務店もあります。

時間の短縮と効率で考えると比較サイトの活用はとても有効

47万弱もある工務店の中から、理想に近い建築を実現する工務店を選ぶことは至難の業です。また、やっとの思いで理想に近い建築を実施している工務店を見つけたとしても、対応エリア外であったり、価格が予算をはるかに超えていたりすることもあります。

予算や地域、テイストから効率よく理想の工務店を見つけたい方には、“工務店比較サイト”の活用がおすすめです。例えば、「全国安心工務店ネット」なら都道府県と注文内容によって工務店を絞り込めるだけでなく、工務店が実施している見学会やイベントについて調べることができます。また、「比較ビズ」は匿名で見積もりを出すことも可能ですので、具体的な資金計画が進んでいない段階でも気軽に利用することができます。

参考:全国安心工務店ネット:https://www.ansinkoumuten.net/
比較ビズ:https://www.biz.ne.jp/construction/

注文住宅の見積もりから引越しまでの流れ

建売住宅やマンションは、すでに価格が決まっていますので容易に見積もりを見ることができます。オプションの選択やプラン変更ができるものはオプションとプランを選び、基本価格にオプション価格とプラン変更価格を加えて住宅の価格が決定します。しかし、注文住宅は何もない状態から住宅を造っていきますので、土地を探すことから始まります。注文住宅を建てる具体的な流れは、次のようになっています。

家を建てる土地を探す時は立地条件をしっかり検討する

まずは家を建てる土地を探します。理想の立地であっても建築条件によっては理想の住宅が建てられないことがありますので、かならず建ぺい率や建築規制を確認しておくようにしましょう。また、道路に面する方角や土地の広さ、駅や学校・職場までの距離やスーパーや病院などの生活に不可欠な施設が近くにあるかも、土地を選ぶうえでの大切な要素です。地元の公立校に子どもを進学させる場合は、校区もチェックしておきましょう。

土地代と建物代をどのようにして支払うのかを計画する

理想の土地が決まったとしても、土地代と建物代を支払えないと手に入れることができません。銀行ローンが借りられるのかどうか、また、月々の返済額や返済期間もチェックしておきましょう。住宅ローンの場合、多くの金融機関では具体的に土地や建物が決まる前でも、どの程度の金額なら融資が可能かどうかの審査(事前審査)を実施しています。適正な予算がどの程度か分からない方は、金融機関の住宅ローンの事前審査を受けてみましょう。

施工会社(工務店)などに見積もりを取り理想的な工務店に依頼

建物代がおおよそ決まったら、工務店などの施工業者に見積もりを取り、納得できるプランを提案してくれる業者を1つ選択します。

施工前に地盤調査を行い、地盤改良が必要であるかを確認する

施工前にかならず地盤調査を行うべきです。地盤が弱いときや水脈などが近いときは、地盤強化に100万円単位の費用がかかり、建築価格が高くなってしまうこともあります。なお、業者や調査方法によっても異なりますが、地盤調査費用として6~30万円ほど請求されることが一般的です。

土地の購入と設計契約をして建物の設計を行う

土地を購入し、いよいよ設計段階に入ります。希望の間取りと外構見取り図が完成するまで、何度でも話し合いましょう。

契約書を交わし役所や民間の指定確認検査機関に建築確認の申請と審査を受ける

納得できる設計図が完成したら、建築業者と契約を交わし、役所や民間の指定確認検査機関に建築確認の申請と審査を受けます。審査費用は広さなどによって異なりますが、一般的な床面積100~200平米の住宅タイプなら3~10万円程度が相場です。

交付が終わったらいよいよ住宅ローンを組む

役所や第三者機関による建築確認が終了したら、次は建物の住宅ローン審査に進みます。事前審査は通過していても、建物プランを変更した場合などは、本審査に落ちることがありますので、最悪の場合は別の金融機関を探さなくてはいけなくなることもあります。

工事に着工して出来上がったら引き渡しをして完了

住宅ローン契約が完了し、住宅代金を建築業者に収めたら、いよいよ工事が始まります。工事途中に何度か注文内容の確認がありますので、時間をとってなるべく現場を見て適切な指示を出すようにしましょう。工事が完成すると、建物の施主チェック後に、引渡しをして住宅建築のすべての流れは完了します。

注文住宅の価格と土地の関係について

注文住宅の価格は土地と大きく結び付いています。住宅注文時に土地を同時購入するメリットとデメリット、そして、土地と住宅を別々に購入するメリットとデメリットをまとめました。

土地を同時購入するメリットは好きな場所に建てられる

住宅を注文するときに同時に土地を購入するならば、住宅だけでなく土地も選べますので、好きな場所に好きな住宅を建てることができます。もちろん予算による制約を受けますが、希望通りの住環境を手に入れたい方は、土地と住宅を同時購入するようにしましょう。

土地を同時購入するデメリットは費用がかかる事

住宅だけでも安価な買い物ではありませんが、土地代が加わることでさらに金銭的負担が大きくなってしまいます。やはり、希望通りの住居を手に入れたくても、土地と住宅を同時に購入することは安易に選択できることではないでしょう。特に都心部や高級住宅地などの人気のエリアでは、土地の価格も高額になってしまいます。

土地を同時購入しないメリットは費用が安くなる事

すでに所有している土地を活用して住宅を建てるなら、低い予算で注文住宅を入手することができます。ただし、長く住みたいと思える土地をすでに所有しているな理想的な住宅を建てること場合、できますが、あまり住みたいと思えない土地で建てるときは、理想の住環境を実現できないこともあります。

土地を同時購入しないと理想的な注文住宅の建設ができる

土地を同時購入しないと、その分、住宅そのものにかける予算を増やすことができます。納得できる資材や建具を取り入れ、間取りや床面積、外構も理想に近いものを実現することができるでしょう。

最後に、注文住宅は低価格で理想的な住宅にする事が可能です

注文住宅だからと言って、かならずしも建売住宅よりも高いわけではありません。良心的な建築業者を選び、資材や建具などを吟味すれば、理想の住宅を低価格で建てることも可能です。注文住宅を建てようと計画している方は、まずはじっくりとご自身の希望をかなえてくれる業者を選ぶことから始めていきましょう。

監修者:大長 伸吉(不動産コンサルタント)