マンションを購入するときには、自分のライフスタイルに合った住まいを手に入れたいと誰もが思うことです。しかし新築のマンションを購入しよう思っても、価格が高く手に届かなかったり、気に入った間取りのない場合も多くあります。そんな場合に中古マンションを購入してリノベーションすれば、比較的安い価格で自分の思い描いたマイホームを手に入れることができます。この記事では中古マンションを購入して、リノベーションした場合のメリットとデメリットを中心に解説を致します。

リノベーションとリフォームについて


住宅の改修にはリノベーションとリフォームがありますが、どのような違いがあるのでしょうか。

リフォームとは?

リフォームとは古くなった建築物を、新築の状態に戻すことを言います。傷ついた部分や汚れた部分を修繕し綺麗にし、使えなくなった設備を取り替えるなどして原状回復をします。例として屋根や外壁の塗装や壁紙の張替え、汚れたキッチン設備やトイレの改修などが挙げられます。

リノベーションとは?

リノベーションとはただ単なる修繕ではなく、建物の躯体にかかわる大工事を行い、建物に付加価値を与え住みやすい住宅にすることを言います。新築時の状態に戻すのではなく、新たな機能を加えたり、デザイン性の高い住宅にすることを意図します。例として狭く区切られた部屋を家族が集える広いLDKにしたり、耐震性を強化した建物にすることなどが挙げられます。

中古マンションを買ってリノベーションする8つのメリット


それでは中古マンションを購入してリノベーションをする場合のメリットについてご説明を致します。

コストを抑えることが可能

自分が理想とする新築マンションを購入するとなると、非常に高い価格となってしまうことがあります。しかし中古マンションは建築して20年も経つと、大幅に価格が下がります。築古マンションを購入して、リノベーションをすれば安い価格で希望する住まいを手に入れることが可能になります。2017年の新築マンションの平均価格は5,900万円程度(※1)ですが、同じ条件の中古マンションの平均価格は3,200万円程度(※2)です。リノベーションの費用が1,000万円かかったとしても新築マンションマンションを購入するよりも約1,700万円も安く購入することができます。
※1)不動産経済研究所=https://www.fudousankeizai.co.jp/share/mansion/322/sf2017.pdf
※2)公益財団法人東日本流通機構=http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2017.pdf

居住エリアの選択肢が増える

住みたいと思うエリアで希望の間取りや設備の新築マンションを探そうと思っていても、新たに建築する場所が少ないので物件を探すことは難しくなってきています。特に都会では、住みたいと思う地域で希望する間取りのマンションを見つけることは至難の業と言えます。しかし中古マンションであれば、どこでも比較的容易に物件を探すことができ、これをリノベーションすれば希望する条件に合った住まいを手に入れることができます。

好みの間取りに変更可能

購入した住宅が希望の間取りや設備がなくても、リノベーションをすることにより住みたい住宅に近い形のものに変更することができます。かつては部屋数が多い住宅のニーズが多くありましたが、現代では広い間取りが好まれ、リノベーションする人も多くいます。

周囲の環境を事前に確認できる

モデルルームを見て新築マンションの購入を決めた場合には、完成まで部屋に入ることができません。それゆえ購入した住まいの日当たりや眺望などをチェックすることは難しいでしょう。しかし中古マンションであれば既に建物が建っていますので、周りの環境を事前に知ることができます。また環境だけでなく家族世帯では周りにどんな人が住んでいるか気になるところですが、中古マンションでは近隣の人をあらかじめ確認することが可能です。

再建築不可物件でもリノベーションができる

接道義務を満たしていないなど建築基準法に抵触する再建築不可物件は、取り壊して新しい建物を建てることはできません。しかし中古マンションを購入して、リノベーション工事をすることはできます。また再建築不可物件であれば、相場よりも安い価格で購入できる可能性があります。

築年数が経っていても売りやすくなる

リノベーションをすれば、設備は新しく間取りは斬新なものとなり、魅力的な住まいに再生することができます。売却をする際にも、売りやすくなります。しかしリノベーションしても、工事にかかった費用以下でしか売れない場合もあります。それゆえあくまで売却を目的とせず、自分が住むことを前提としてリノベーションすることが肝要です。

環境への悪影響が少ない

マンションの断熱性を高める工事をすることにより、冷暖房費を抑えるだけでなく、家電製品から排出される二酸化炭素の量を少なくすることができます。またガス給湯器をエコキュートトに変えたり、省エネ家電に変えることで二酸化炭素の排出を抑えることもできます。このようにリノベーションをすることで、環境にやさしい住宅にすることができます。

マンション購入とリノベーションを同時に行うことも可能

リノベーションは一般的には中古マンションを購入し、その後工事を行います。しかし近年、マンションの購入からリノベーション・保険の加入手続きまですべてを一括で行う業者も増えてきています。一連の流れが1社で対応出来る、ワンストップサービスの会社を利用すれば、手続きが楽なだけでなく、希望する住宅を早く手に入れることが可能になります。

中古マンションを買ってリノベーションする7つのデメリット


ここまで中古マンションを購入しリノベーションする際のメリットについて解説をしてきましたが、デメリットにつてもチェックしておきましょう。

既にリフォーム済みの物件

リフォーム済みの物件を購入した場合には、壁紙やフローリングなどの工事代金が含まれています。リフォーム済みのマンションを再度リノベーションすることになれば、資金を二重に投下することとなり無駄な出費となってしまいます。

ローンの金利が高くなる

中古物件を購入してリノベーションを行うときには、購入費用に加えてリノベーションの代金を住宅ローンに組み込んで融資を受けることが可能です。しかしリノベーションが後にずれるなどして住宅ローンに組み込むことができなかった場合には、住宅ローンより高い金利のリフォームローンで借り入れを行わなければなりません。またその際には金利だけでなく、抵当権設定や司法書士の費用や手間も余分にかかることになります。

間取りの変更には限界がある

中古マンションのリノベーションをする場合に、建物の基本的な構造を変えることができないこともあります。その場合には間取りの変更には自ずと限界があり、希望する住まいを実現できないこともあり得ます。

住むまでに数ヶ月かかる

単なるリフォームであれば、1~2週間程度で入居することができます。しかしリノベーションでは建物の躯体に工事が及ぶこともありますので、完成には3ヶ月~5ヶ月ほどかかるのが普通です。間取りなどにこだわりがある場合には、建築士との打ち合わせや工事に時間を要しますので、入居までに半年以上かかることもあります。

耐震性に問題がある可能性

1981年に建築基準法が改正され新耐震基準が示されましたが、それ以前に建てられたマンションは、新耐震基準に適合していない可能性があります。お買い得な物件と思い購入すると、あとで耐震工事が必要になり思わぬコストアップになってしまうこともあります。1981年以前の築古マンションを購入しリノベーションをしようと考えている方は、専門家に相談することが良いでしょう。

個性的なリノベーションをやり過ぎると、買い手が付き難くなる

中古マンションを購入してリノベーションをすれば、ライフスタイルに合致した希望の住宅を実現できるでしょう。しかしあまりに自分の好みを追求し個性的な住まいにした場合には、売りに出した時には買い手が付かない恐れがあります。将来売却を考えている方は、ある程度万人受けする間取りを考えたほうが無難でしょう。

ワンストップサービスに注意する

物件選びからリノベーション・ローン申し込み・保険加入までを請け負ってくれるワンストップサービスは手間がかからず大変便利です。しかしワンストップにすると、業者が指定する物件からしか住まいを選択できないこともありますので、注意しなければなりません。

リノベーション済みマンションの購入で得られる2つのメリット


ここまで中古マンションを購入してリノベーションをするメリットについて解説をしてきました。それではリノベーション済みのマンションを購入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

実物を見学して購入できる

中古マンションを購入してリノベーションをする場合には、設計図では見られても完成した実物は見ることができません。出来上がった住宅が、頭に描いていた住まいと違うということはよくあることです。リノベーション済みのマンションであれば、実物を見て購入できますので、思い通りの住まいを手に入れることができます。

リノベーション費用が不要

リノベーション済みのマンションであれば、その後の手入れは原則として不要になります。マンションの購入価格の中にリノベーション工事の費用が含まれていますので、新たに修繕費を用意する必要はありません。またすべての費用を金利の低い住宅ローンで賄うことができるのも大きなメリットです。

リノベーション済みマンションの3つのデメリット


それでは次にリノベーションマンションを購入した時のデメリットについて、解説を致します。

リノベーション前の状態が把握できない

中古マンションを購入して自分でリノベーションをする場合は、以前はどんな状態の建物であったのか、どのように工事をしたのかということを把握できます。しかしリノベーション済みのマンションを購入する場合には、修繕工事以前の状態やリノベーション工事の内容を知ることはできません。そのため住んでみて初めて物件の傷みに気づいたり、配管や建物の躯体の老朽化が発覚し追加工事をせざるを得ないということが往々にしてあります。外見だけで判断せず、購入する際にはリノベーション前の状態についてきちんと説明をしてもらうことが大事です。

リノベーション費用上乗せされている可能性

リノベーション済みのマンションは新築マンションを購入するより、一般的には安く購入することができます。しかしお買い得と思ってみても、不動産会社の利益を高く見積もって工事費に上乗せされていることもあります。中古マンションを購入後に自分でリノベーションを行う場合よりも、業者の利益を算入し割高になっていることもありますので注意が必要です。

間取りの変更ができない

リノベーション済みマンションは既に工事を終えていますので、新たに工事の要望をすることはできません。購入後に自分で間取りや内装などを変える場合には、費用が余分にかかることになります。

まとめ


中古マンションを購入して、リノベーションをすれば安い価格で、自分のライフスタイルにあった住まいを手に入れることができます。しかし今まで述べてきたように、自分でリノベーションするメリットは多くある反面デメリットもあります。よく検討して理想のマイホームを手に入れてください。