不動産投資には安定した賃貸収入を得られるメリットがあります。不動産投資を行うために賃貸アパートを購入する場合は多額の資金が必要となりますが、自己資金で賄うことができなければ銀行などの金融機関のローンを活用することになるでしょう。ローン金額を大きくすれば自己資金は少なくて済みますが、銀行のローンに頼るだけではリスクが拡大する可能性があります。そこで、不動産投資におけるローンとリスクの考え方についてお伝えします。

☆マイナス金利を背景に不動産投資への融資は積極的な姿勢

日本銀行は、量的・質的緩和政策に加えてマイナス金利政策の導入にも踏み切りました。マイナス金利が適用されるのは、銀行などの金融機関が日本銀行に預ける預金の一部ではありますが、マイナス金利政策は短期金利から長期金利まで広く影響を及ぼし、金利市場全体に低下圧力がかかっています。そのため、金融機関は余った資金を運用するために貸出先を積極的に探している状況です。

また、ローンを借りる側にとって金利の低下はローンの支払利息の減少につながりますので、ローンの需要が高まっています。不動産投資も例外ではなく、低金利のローンを借りて不動産投資をしようという人に対して、金融機関は積極的に融資をする状況になっています。不動産投資のローン金利は、主に長期金利がベースになっていますので、長期金利の低下は不動産投資ローンの需要と密接なつながりがあります。

☆地銀や信金では金利が高い…でも融資条件は甘めの傾向に

不動産投資をするためにローンを借りる場合は、金融機関から借りることになります。金融機関には都市銀行や地方銀行、信用金庫などの種類がありますが、それぞれ金利水準や審査の厳しさに特徴があります。

地方銀行や信用金庫の場合、一般的にはその他の金融機関と比較して不動産投資に対するローンの金利は高めに設定されていますが、審査は甘めだという傾向があります。

そのため、地方銀行からのローンを活用すれば、自己資金が少なくても多額のローンを組んで賃貸アパート経営に乗り出したり、賃貸物件の数を増やす投資がしやすくなったりします。不動産投資のローンの審査は、主にその賃貸物件の収益性で判断されますが、ケースによっては投資家の所得水準など、物件の収益性以外の要素も加えて判断されることもあります。

☆融資条件の甘さが不動産投資の失敗に繋がるおそれも

融資条件が甘めの地方銀行や信用金庫からであれば多額のローンを借りやすくなり、場合によっては物件価格全部を借りるフルローンの融資を受けることが可能になるケースもあります。しかし、だからといって借りられるだけ借りるという姿勢で不動産投資に臨むと失敗に繋がるおそれもあります。

多額のローンを借りるということは、月々の元本返済金額も大きくなりますし支払利息の負担も大きくなります。特に、金利が高めの地方銀行などからの融資を受ける場合は、支払利息の負担は大きくなりがちです。元本返済や支払利息の負担が大きくなると、家賃収入が少し減少するだけでも資金繰りが苦しくなる可能性がありますので、注意が必要です。返済ができなくなると、物件を取り上げられてしまい、投資は失敗ということになってしまいます。

☆銀行からの借入プラス自己資金でリスクを低減しよう

ローンを活用することは、不動産投資の利回りアップに繋がる面もありますが、常に綿密な資金計画を立てて、返済が滞らないように資金繰りを管理することが大切です。多少空室率が上がったとしても返済不能にならないような返済金額のローンに抑えるためにも、ある程度の自己資金を入れることが重要です。

自己資金とローンのバランスをよく検討して不動産投資を進めていく必要があるでしょう。マイナス金利政策が継続されれば、不動産投資には有利な状況が続く見通しです。不動産投資に成功するためには、賢くローンを活用しながらもリスクを抑えて、長期的な賃貸経営ができるように資金管理をしていくことが求められます。