「不動産に投資する」と聞くと、多くの方が賃貸経営を思い浮かべるかと思いますが、テクノロジーの発展により「不動産投資型クラウドファンディング」という方法少額から不動産に投資できるようになりました。
不動産投資型クラウドファンディングはどのような仕組みで、またメリットやデメリット、リスクはどんなものがあるのでしょうか。
そもそもクラウドファンディングって?
不動産投資型クラウドファンディングについてお話する前に、そもそもクラウドファンディングとはどのようなものかを見ていきたいと思います。
クラウドファンディングとは、何らかのプロジェクトの達成のために必要な資金等をインターネット上で不特定多数の人からお金を集める仕組みのことを指します。お金を支払った人( 支援者) は、何らかのリターンが得られる形になっているケース が多いですが、単にお金を出すだけというものもあります。
また、集まったお金があらかじめ設定された金額に到達しなければ返金されるものと、到達しなくてもプロジェクトが開始されるものがあります。このように、クラウドファンディングにもさまざまな形があり、それらを分類すると以下の4つに分けられます。
・購入型クラウドファンディング
・寄付型クラウドファンディング
・融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
・投資型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディング
購入型クラウドファンディングとは、プロジェクトに対して支援者を募り、支援者側はプロジェクトに付随した商品やグッズ、サービスを得られるというものです。
また、購入型クラウドファンディングには「All or Nothing型」と「All In 型」の2つがあり、前者はあらかじめ設定された目標金額に到達した場合のみプロジェクトが開始され、後者はそうでない場合でもプロジェクトが始まります。
寄付型クラウドファンディング
寄付型クラウドファンディングとは、プロジェクトに対して支援者を募る仕組みについては購入型と変わらないものの、基本的に支援者にはリターンが発生しないというものです。
支援者は寄付の形でプロジェクトに参加でき、お礼として活動報告書などを受け取れるものもあります。
融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
融資型クラウドファンディングとは、ソーシャルレンディングとも呼ばれており、投資家から資金を集め、集まったお金を企業に融資するという仕組みを取ります。投資家は企業の運用状況に応じて分配金を受け取ることができます。
購入型クラウドファンディングや寄付型クラウドファンディングと異なり、投資商品を購入する性質のもので、投資信託などの投資商品と同じように法規制を受けることになります。
投資型クラウドファンディング
投資型クラウドファンディングには、株式投資型と不動産投資型(不特法)があります。
株式投資型クラウドファンディングとは、企業が資金調達の方法としてクラウドファンディングの仕組みを利用するもので、資金提供者は対象企業の未公開株を取得することができます。
一般の投資家にとって未公開株はそう簡単に取得できるものではありませ んが、株式投資型クラウドファンディングを活用すれば上場株式と同じようにお金を支払うだけで未公開株を取得できます。
不動産投資型クラウドファンディングとは
不動産投資型クラウドファンディングとは、事業者が投資家からお金を集め、集めた資金で不動産を取得・運営するもので、投資家は不動産を運営して得られたお金の分配を受ける仕組みです。
先ほどご説明した4つのクラウドファンディングの仕組みの中では、ソーシャルレンディングが近いと言えるでしょう。
ただし、ソーシャルレンディングが集めたお金を「企業に融資する」仕組みであるのに対し、不動産投資型クラウドファンディングは「集めたお金で不動産を取得・運営する」仕組みとなっています。
不動産投資型クラウドファンディングのメリット・デメリット
不動産投資型クラウドファンディングにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
メリット1:プロが運用するので手間がかからない
不動産投資型クラウドファンディングでは、お金を出した後は、プロが物件の運用をするため手間は一切かかりません。
自分で不動産を運用するとなると、不動産の選定や入居者募集などさまざまな手間がかかりますが、不動産投資型クラウドファンディングであれば、そうした手間のかかる部分を知識も経験もあるプロに任せられると考えて よいでしょう。
メリット2: 少額から始められる
不動産投資型クラウドファンディングは1万円程度と少額から始められます。
通常の不動産投資であれば、ローンを利用するにしても物件価格の1割~2割程度は自己資金が必要となることが多いことが一般的です。数百万円から数千万円必要となるの で、大きなリスクを背負う必要があります。
一方、不動産投資型クラウドファンディングでは1万円から不動産に投資ができますし、少額投資であるが故に複数の物件に分散投資することも簡単にできます。
メリット3:不動産特定共同事業法の改正で契約が簡単になった
平成29年12月に不動産特定共同事業法が改正され、不動産投資型クラウドファンディングの契約をオンライン上でできるようになりました。
また、事業者側としても投資家1人あたり100万円の出資上限をつけ、資金総額1億円以内であれば比較的簡単に参入できるようになっており、以前より不動産投資型クラウドファンディングが活発になっています。
メリット4: 分配利回りが比較的高め
不動産投資型クラウドファンディングの予定利回りは、4~8%程度のところが多く、比較的高めの設定になっています。
自分で不動産を運用した時の一般的な利回りとほぼ同程度の数値となっており、手間がかからずこれだけのリターンを得られるのですから検討する価値はあるでしょう。
デメリット1:自分で運用できない
不動産投資型クラウドファンディングのデメリットとしては、通常の不動産投資のように自分で運用できないということが挙げられます。
事業者が選んだ物件の中から投資先を選ぶしかありませんし、いざ運用が始まってみると、「自分だったらもっと高い運用成果を出せるのに」と感じることもあるかもしれませんが、全てを一任するしかありません。
デメリット2:案件がないと投資できない
不動産投資型クラウドファンディングは運用期間が半年など比較的期間が短いことが多く、運用が終了したタイミングで、次の案件がうまく見つけられないこともあります。
1件あたりの利回りは高くとも、資金を眠らせる期間が生じてしまうと、それだけ利益は減ってしまいます。
デメリット3:投資申込が競争になる
不動産投資型クラウドファンディングはまだ供給が少なく、投資申し込みは競争になることが多いです。気になる物件があれば、募集期間をしっかり把握し、 投資タイミングを逃さないことが大切です。
不動産投資型クラウドファンディングのリスク
次に、不動産投資型クラウドファンディングのリスクについても確認しておきましょう。
利回りは確実ではない
不動産投資型クラウドファンディングでは予定利回りが提示されていますが、あくまでも物件を満室稼働した場合の数字であり、物件の運用次第では想定した成果が得られないこともあります。
もちろん、これは通常の不動産投資や他の投資でも同じことが言えますが、想定した通りの利回りを得られないこともある点は理解しておきましょう。
途中解約できないものもある
不動産投資型クラウドファンディングでは運用期間が定められていますが、運用期間中に解約できない取り決めになっているものもあります。
途中解約の可能性があるのであれば、事前に途中解約できる商品かどうかを確認しておきましょう。
運営会社が倒産する可能性がある
不動産投資型クラウドファンディングでは、運営会社が倒産してしまえば出資したお金が返ってこないこともあります。
物件の選定は間違っていないか、運営会社はしっかりしているかなど事前に調べておくことが大切です。
おすすめの不動産投資型クラウドファンディング
最後に、おすすめの不動産投資型クラウドファンディングの事業者をご紹介します。
オーナーズブック
オーナーズブックは不動産投資型クラウドファンディング事業者の中でも老舗の事業者です。
都内を中心とした不動産を取り扱っており、4%~5%と利回りが低いものの、安定性の高い案件が提供されています。
最低投資額:1万円から投資可能
【参考】:Owners Book( https://www.ownersbook.jp/)
LENDEX
LENDEXは7~10%と高い利回りの案件の多い事業者で、1年以内の短期投資が中心です。
大手不動産会社東急リバブルと提携しており、LENDEX独自の査定と東急リバブルの査定額を比較して、低い方の80%を上限にファンドを組成するといったやり方で運営されています。
最低投資額:2万円〜
【参考】:LENDEX( https://lendex.jp/)
FANTAS funding
FANTAS fundingは2018年10月に開始したばかりの事業者で、最低投資額1万円であるのに加え、キャピタル型では5.5~10%と高い利回りの案件が取り揃えられています。
運営会社であるFANTAS technologyが取り扱ってきた実績のある空き家再生や中古マンションを中心とした案件となっており、安心して運営を任せられると言えるでしょう。
最低投資金額:1万円〜
【参考】:FANTAS funding( https://www.fantas-funding.com/)
まとめ
不動産投資型クラウドファンディングについてお伝えしました。
不動産投資と聞くと何かと難しいことの多いイメージがありますが、不動産投資型クラウドファンディングであれば、案件を選んでお金を出すだけで、自分が運用したのと同じくらいのリターンを得ることができます。
ただし、本記事でご紹介したようにデメリットやリスクもある点はよく理解した上で投資に取り組むようにしましょう。
【記事筆者】
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明治学院大学卒。地方銀行勤務後、転職した住宅会社では営業部長としてお客様の住宅新築や土地仕入れ、広告運用など幅広く従事しました。2018年よりP.D.Pを設立。WEBを通して不動産に関する問題解決を目指します。
【保有資格】:宅建士、FP2級技能士(AFP)、住宅ローンアドバイザー、相続管理士
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