国内 REIT指数に連動するETFは2014年から毎年新規上場があり、全7銘柄となっています。J-REITとの違い、それぞれの銘柄の特徴を詳しく解説していきます。まずは J-REITの定義から見ていきましょう。

J-REIT(Jリート)は不動産の投資信託

J-REIT(Jリート)は、”Japan Real Estate Investment Trust”の略で、「日本版不動産投資信託」のことです。大勢の投資家から集めた資金で複数の不動産を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に分配する投資信託です。

実物不動産に投資するとしたら、物件にもよりますが、数千万~数億円もの資金が必要になります。J-REITなら数多くの投資家から資金を集めて不動産を購入するため、少額から投資することができます。

しかし、少額で買えるといっても、中には60万円近くするJ-REITもありますし、60銘柄近く上場しているので、どれを選んだらいいのか迷う方人も多いでしょう。

そんな方には、J-REIT ETFの購入をオススメします。J-REIT ETFとは、東証REIT指数(東証に上場するREIT全銘柄の動きを表す指数)に連動するETFに投資することで、上場するJ-REITすべてに投資するのと同じ効果があります。

また、J-REIT ETFの投資価格は数千円~数万円からと、J-REITよりも少額で購入することができます。

J-REIT ETFとは?

ETFは”Exchange Traded Fund”の略で、「上場投資信託」と呼ばれています。日経平均株価や東証 REIT 指数など特定の指数に連動する運用成果を目指し、東京証券取引所に上場している投資信託です。

J-REIT ETFは、国内のREITを対象にしたETFです。次の5つの特徴があります。

分散効果

投資対象が指数なので、連動した指数に組入れられた銘柄へ分散投資できます。東証REIT指数に連動するETFを購入すれば、1本で国内に上場しているJ-REIT約60銘柄すべてに投資するのと同じことになります。

リアルタイムで取引可能

J-REIT ETFは、東京証券取引所に上場されているので、株式と同じようにリアルタイムで取引することができます。注文方法もあらかじめ決めた価格で売買する指値注文がだせるなど、通常の投資信託と比べて取引の自由度が高い金融商品です。

保有コストが安い

保有コストとは、信託報酬のことです。信託報酬とは、投資信託を管理・運用してもらうための経費として、保有している間ずっと投資家が支払い続ける費用のことです。投資信託の種類によって信託報酬は異なりますが、0.5~2.0%程度が一般的です。

一方、 J-REIT ETFは0.1~0.3%程度と低い水準に抑えられています。 J-REIT ETFを通じて投資する方が、REIT投信に比べて分配金や値上がり益を享受することができます 。

分配頻度が多く、毎月分配も可能

東証REIT指数連動型ETFは現在7本ありますが、6銘柄は年4回分配金が支払われ、1銘柄は年6回分配金が支払われます。分配金の時期も異なるので、組合せにより毎月分配金を受け取ることが可能です。

投資対象の幅が広がっている

J-REIT ETFのメインは東証REIT指数連動型ですが、時価総額の大きい銘柄で構成される「東証REIT Core指数」や、予想分配金利回りの高い銘柄を組み合わせた野村高利回りJリート指数」に連動するETFも上場され、J-REIT ETFの幅が広がっています。

J-REIT ETFの指標になる東証REIT指数の推移は以下のようになります(2018年11月末時点)

出典:JPX

2015年頃からは1,600~2,000ポイントの間の値動きで比較的安定しています。予想年間分配金利回りは4.07%となっているので、株式の配当利回り(約2%)より魅力が高く、利回りを重視する地方銀行などの資金が流入しています。

その結果、J-REIT ETFの純資産総額は1兆円を超える規模まで拡大しています。

それでは、個別のJ-REIT ETFを見ていきましょう。(2018年11月末)

東京証券取引所に上場されているJ-REIT ETF

1343 NEXT FUNDS 東証REIT指数連動型上場投信

● 売買単位 10口
● 最低買付金額 19,390円
● 純資産総額 3,154億円
● 分配金利回り 3.37%
● 分配金 2、5、8、11月(年4回)
● 信託報酬 0.3456%
● 運用会社 野村アセットマネジメント

純資産総額が最大のJ-REIT ETFです。我が国の不動産投資信託(J-REIT)市場全体の動きを表す代表的な株価指数である「東証REIT指数」との連動を目指す ETF( 上場投資信託)です。

出典:JPX

1345 上場インデックスファンドJリート

● 売買単位 100口
● 最低買付金額 183,200円
● 純資産総額 2,314億円
● 分配金利回り 3.45%
● 分配金 1、3、5、7、9、11月(年6回)
● 信託報酬 0.324%
● 運用会社 日興アセットマネジメント

純資産総額2位。年6回配当があるJ-REIT ETFです。配当金の多さは魅力ですが、100口単位なので、最低投資金額が他のETFより高くなっています。

出典:JPX

1476 iシェアーズ・コア JリートETF

● 売買単位 1口
● 最低買付金額 1,855円
● 純資産総額 1,571億円
● 分配金利回り 3.13%
● 分配金 2、5、8、11月(年4回)
● 信託報酬 0.1728%
● 運用会社 ブラックロック・ジャパン

世界最大の資産運用会社であるブラックロックグループのETFです。ブラックロックの資産規模は約600兆円と日本のGDPを上回る規模です。
特徴は低コストであること。信託報酬は0.1728%と他のJ-REIT ETFの半分程度です。また、最低投資金金額が1,855円と少額で投資できるのも魅力です。

出典:JPX

1660 MAXIS高利回りJリート上場投信

● 売買単位 1口
● 最低買付金額 9,550円
● 純資産総額 105億円
● 分配金利回り 3.24%
● 分配金 1、4、7、10月(年4回)
● 信託報酬 0.27%
● 運用会社 三菱UFJ国際投信

東京証券取引所に上場するすべての不動産投資信託 (J-REIT)の中から、予想分配金利回りの高い銘柄を組み入れた「野村高利回りJ-REIT指数」との連動を目指すETFです。

2017年10月に上場した新しいタイプの J-REIT ETFです。まだ純資産総額が105億円と少なく、出来高は増えていません。今後に期待されるタイプの J-REIT ETFです。

出典:JPX

2517 MAXIS Jリート・コア上場投信

● 売買単位 10口
● 最低買付金額 10,630円
● 純資産総額 302億円
● 分配金利回り 1.37%
● 分配金 2、5、8、11月(年4回)
● 信託報酬 0.27%
● 運用会社 三菱UFJ国際投信

浮動株時価総額及び売買代金の水準により銘柄を選定した「東証REIT Core 指数」との連動を目指すETFです。 浮動株とは、市場に出回っている株式のことです。浮動株時価総額は、「浮動株数 × 株価」になります。

2018年4月に上場した新しい J-REIT ETFです。時価総額や売買代金の大きい銘柄を組入れていますが、この ETF 自体はまだ出来高が増えていません。市場の流動性がない銘柄には、「マーケットメイク制度」が導入されています。

マーケットメイク制度とは、マーケットメーカーと呼ばれる 専門業者が 、ETF の買い注文と売り注文を常に出し続けることで、流動性を提供することです。投資家が適切な価格で売買できる環境を実現するために導入されました。

出典:JPX

まとめ

今回は、 J-REIT ETF について解説してきました。少額から始めることができ、上場しているすべての J-REITを購入しているのと同じ効果があります。REIT投資を行う上で ETFは有効なツールだといえます。短期的な値上がり益の追求ではなく、分配金を通じた中長期の資産形成に役立ててください。

記事執筆 山下 耕太郎

【記事筆者】

山下耕太郎
山下耕太郎
一橋大学経済学部卒業。証券会社でアナリスト、ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴は20年以上。現在は、日経225先物を中心に現物株・FX・CFDなど幅広い商品に投資しています。
保有資格:証券外務員1種