はじめまして。黒沢雅俊です。
自ら実践した家計管理や貯蓄術、投資の経験を織り交ぜながら、会計・税法の知識を解説して参ります。よろしくお願いいたします。

今回は会社員の方でも節税効果がある確定申告の項目についてご紹介いたします。

確定申告とは

確定申告とは、1月から12月までの1年間の稼ぎと損失から、今年の所得税の計算をして税務署へ報告することです。そのために、申告書を作成します。

損失を申告することで来年以降の節税につながることもありますし、源泉徴収された税金についても、確定申告により計算をし直すことで還付を受けることができる場合もあります。

会社員の方であっても、確定申告が必要なケースは数多くありますが、その中でも、会社員の方にチェックして頂きたい項目をピックアップしました。

【チェックポイント1】ふるさと納税

【Point】
▶︎ワンストップ特例申請書の提出期限は過ぎていませんか?
▶︎今年のふるさと納税先は6自治体以上ですか?

お手軽な節税として浸透しているふるさと納税ですが、確認しておきたいポイントがあります。

通常、確定申告の必要がない会社員の方は、ふるさと納税をする際に、ワンストップ特例制度を利用されると思います。この制度は、確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みですが、申請書を期限までに提出することが必要です。

申請書を期限内に提出していても、1年間で6自治体以上に寄附した場合は確定申告が必須となります。

また、他の理由で確定申告が必要となったときは、たとえ特例申請書を提出していても、確定申告にふるさと納税額を記入しなければなりません。

確定申告をする場合、「寄附金受領証明書」を添付して、申告書の寄附金控除の欄に記入しましょう。

【チェックポイント2】医療費控除

【Point】
▶︎病院等で支払った医療費は10万円以上ですか?
▶︎ドラックストアで購入した薬代は1万2千円以上ですか?

ご存知の方も多い医療費控除ですが、一定の所得以上の方で、支払った医療費が10万円を超えた場合、所得から控除できます。ただし、入院保険などの保険金を受け取った場合には医療費から差し引く必要があります。

控除を受けるためには「医療費控除の明細書」を作成し、申告書に添付することが必要です。
領収書の提出は必須ではないですが、5年間保管しておきましょう。

また、セルフメディケーション税制という制度もあります。
かぜ薬や花粉症薬、胃腸薬など特定の医薬品の購入費が1万2千円を超える場合に、その超えた金額分を所得から控除できます(上限あり)。

対象商品のパッケージにはほとんどマークが付いているので、ドラックストア等で購入される際に思い出して頂けたら幸いです。

上記の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方を選択する必要があるので、年末に計算して有利な方を適用します。

【チェックポイント3】株式・債券・FXなどの取引

【Point】
▶︎今年、損失を出しましたか?
▶︎昨年~3年前に損失を出しませんでしたか?

証券会社を通じて株取引をしている方も多いと思います。
確定申告に馴染みのない方は、口座開設時に特定口座(源泉徴収あり)を選択しており、源泉徴収により知らずのうちに税金を支払っていることと思います。

今年の後半は、荒れ相場でしたので、株で損失を出した方も多いのではないでしょうか。
そんな方は損失を確定申告をすることで、翌年から3年間、上場株式の取引で得た利益から控除することができます。
これを損失の繰越控除といいます。

年が明けてから、証券会社から年間取引報告書が送られてきますので、そちらを添付して申告書を作成します。

逆に、今年利益を得た方は、昨年、一昨年、一昨々年に損失を出していないか、見直してみましょう。損失を出していたら、繰越控除を受けられるように、その年以降の確定申告をしてから今年の確定申告をすることで、税金を安くできる可能性があります。

FX等の先物取引についても同様に損失の繰越控除がありますが、株式の損益とは別々に計算することに注意が必要です(申告書の記載箇所も異なります)。

【チェックポイント4】フリマアプリの収入等

【Point】
▶︎高額な”不用品”の処分はしましたか?
▶︎副業で20万円以上の利益を出していますか?

生活用の不用品の処分は所得税法上の非課税所得となり、確定申告は通常不要です。

ただし、例えば、入手困難な品物や古い切手や骨とう品等、あなたにとっては”不用品”だったとしても、高い値段で売れたものは、品物自体に資産価値があるため課税取引とみなされる可能性もあります。

高値で売却した方は、念のため税務署へ問い合わせたほうが良いでしょう。

なお、商品を仕入れて副業として取引している場合には、売上から原価(仕入額や送料等)を差し引いた利益につき、確定申告が必要です(利益総額が20万円を超える場合)

期日内に必ず申告!間に合わなかったら…

確定申告が必要な場合、2月16日から3月15日までの間に税務署に書類を提出しなければなりません。申告を怠ると、無申告加算税を本来の納付額に15~20%上乗せされてしまうこともあります。

それを恐れて申告しないと、後々発見されたときに、さらに重加算税などを加算されてしまいますので、申告期限に間に合わなかったとしても、できるだけ早めに申告をすることをおすすめします。

悩んだときの拠り所

私はもちろん、別の業種の友人も確定申告を自分で作成しており、慣れればそこまで難しくありません。国税庁のホームページからネット上で案内に従いながら申告することもできます。

不明な点を解決するためには税務署の窓口に聞きに行くか、税理士会の無料相談を利用するのがおすすめです。申告書の作成自体に自信がない方は、費用はかかりますが税理士に申告書の作成をお願いするのも一つの方法です。

終わりに

最近はフリーランスの方や副業をされている方も増えており、確定申告に悩む方も増えています。
税務署の窓口が混み合う前に書類を揃えて不安を無くすことが、ストレスなく確定申告を完了させる一番のコツでしょう。

(お断り)上記のチェックポイントは、平均的な所得のある会社員の方向けに作成したものであり、状況により異なる規定が適用される場合があります。

筆者 黒沢 雅俊

【記事筆者】

黒沢 雅俊
黒沢 雅俊
【公認会計士】
会計監査、内部統制監査、SIerを経験。経済から家計まで幅広くカバーするライターとして活動。株式や投資信託、FXや先物等、自分の身銭で得た多くの経験を基に、ポイントを絞った記事作成が特徴。得意分野は会計・税法・金融・経済・家計管理。