固定資産税とは

固定資産税とは、固定資産の所有者に対して毎年1月1日に課される地方税です。

固定資産税の対象になるものは?

固定資産税が課される対象となる財産は、固定資産です。固定資産の種類には、土地、家屋、償却財産があります。固定資産税の対象となる土地の種類は、住宅用の宅地、田圃、畑、鉱泉地、沼、山林、牧場などです。

家屋の種類としては、住宅、店舗、工場、発電所、倉庫などがあります。

償却財産とは、事業のために用いられる有形の資産です。償却財産の例としては、駐車場の設備、接客用の家具、貯水設備、厨房設備、商品陳列ケース、ミキサー、自動販売機などです。

固定資産税は誰が徴収するの?

固定資産税を誰が徴収するか(課税主体)については、地方税法に規定されています。

固定資産税の課税主体は、原則としてその固定資産の所在地を管轄する市町村です(地方税法第5条第2項)。東京23区については、例外として東京都が課税主体に定められています(同法第734条)。

固定資産税が課税されるのは、固定資産の所有者です。土地と家屋については、1月1日時点で登記簿に所有者として登記されている方です。1月1日時点で償却資産台帳に登録される償却資産を一定額以上所有している方が課税の対象です。

【出典】地方税法http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=325AC0000000226

固定資産税と都市計画税ってどう違うの?

固定資産税に似た税として、都市計画税があります。都市計画税は地方税法によって規定される税金です。市街化区域の土地や建物に対して、市町村が条例で課すことができる税金です。

市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域や、優先的に市街化を図るべき区域を指します。

市街化区域に存在する土地や建物に対しては、市町村が条例で都市計画税を課すことができます。区域に該当する場合でも、市町村が税を課さない場合もあります。

固定資産税は土地や家屋だけでなく償却資産も課税の対象ですが、都市計画税は償却資産については課税の対象になりません。

固定資産税の対象となる土地や家屋の所在地が市街化区域に該当する場合は、固定資産税だけでなく都市計画税も課される場合があります。

【出典】都市計画法http://roppou.aichi-u.ac.jp/joubun/s43-100.htm

固定資産税の税率

固定資産税の税率は一般に1.4%です。

これは地方自治体の課税における標準税率に基づくもので、財政その他の理由で特に必要がある場合は、それ以上の税率を課すことも認められています(地方税法第1条第1項第5項)。

都市計画税の税率

都市計画税の税率は0.3%を上限として各市町村が定めます。

市町村によって都市計画税の税率は異なり、0.2%、0.25%、0.3%などさまざまです。都市計画税の制定当初は0.2%が上限でしたが、1978年に0.3%に改正されました。

固定資産税の発生タイミング

固定資産税が発生するタイミングについてご紹介します。

戸建てを新築で建てた場合

固定資産税は、1月1日に土地や家屋を所有している方に課されます。

戸建てを新築で建てた場合の固定資産税の発生時期については、土地を取得した時期と建物の引き渡しを受けた時期が重要になります。

土地取得と建物建築年度が同じ

土地を取得した年度と建物が完成して引き渡された年度が同じ場合は、土地部分についての固定資産税と建物部分についての固定資産税が同時に課されます。

例えば、土地を2018年1月6日に取得し、建物の引き渡しが同年9月8日に行われた場合は、土地と建物についての固定資産税は2019年分から課されることになります。

土地取得と建物建築年度が違う

土地を取得した年度と建物の引き渡しを受けた年度が異なる場合は、土地部分についての固定資産税が先に課税されます。

例えば、土地を2018年1月6日に取得し、建物の引き渡しが2019年9月8日に行われた場合、2019年分については土地の固定資産税がのみ課されます。

2020年分からは、土地と建物の両方について固定資産税が課されます。

中古の戸建てを購入した場合

固定資産税は1月1日時点の所有者に対して課されるため、中古の住宅を1月2日以降に取得した場合は、所有者にはその年の固定資産税は課税されません。(旧所有者に課税されます)

旧所有者に課税されることから、売買契約時に固定資産税相当額として日割りで清算して支払うケースが多くなっています。

例えば、2017年12月31日に中古の戸建を取得した場合、2018年分の固定資産税が課税されます。2018年1月2日に中古の戸建てを購入した場合は、翌年の2019年分から固定資産税が課されます。

新築マンションを購入した場合

新築マンションを購入した場合も、1月2日以降に取得するとその年の固定資産税は課税されません。

中古マンションを購入した場合

中古マンションの場合も、新築マンションと同様に1月2日以降に取得するとその年の固定資産税は所有者には課税されません。(旧所有者に課税されます)

旧所有者に課税されることから、売買契約時に固定資産税相当額として課税額を日割りで清算するケースが多くなっています。

また、中古マンションは経年劣化によって建物部分の価格が年々下がっていくため、新築マンションに比べて固定資産税が安く済む傾向があります。

支払い方法と注意点

固定資産税の支払い方法と、支払いの際の注意点についてご紹介します。

固定資産税の通知時期とは

固定資産税の通知は毎年4月から6月頃にかけて、その年の1月1日時点で課税の対象となる資産を所有している方に送付されます。何月頃に送付されるかは自治体によって異なりますので、ホームページ等で確認しておくと良いでしょう。

固定資産税の納付期限とは

固定資産税をいつまでに収める必要があるのか、納付期限についてご紹介します。

基本は年4回の分割納付

固定資産税の支払いは、1年分を年4回に分けて納付する分割方式が一般的になっています。

1期から4期まであり、それぞれに納付期限が設定されています。期日や納付期限は一律ではなく自治体によって異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

一括納付が可能な場合も

自治体によっては、1年分の固定資産税を一括で支払うことができる場合もあります。

従来は一括で支払う場合に税額が割引される前納報奨金制度を導入する自治体もありましたが、税負担の不公平などの理由から、廃止する自治体が多くなっています。

一括でまとめて支払える納付書がない場合でも、4回分に分けられた納付書をまとめて使用すれば、一括で支払うこともできます。

固定資産税の4つの支払い方法

固定資産税の支払い方法を4つご紹介します。

現金の窓口支払い

固定資産税を支払うことができる窓口に納付書を持参して、現金で支払う方法です。支払いが可能な窓口の例としては、各自治体の本庁や支所の窓口、郵便局、金融機関、コンビニなどがあります。窓口支払いのメリットは、納付したその場で領収書や受領書を受け取れることです。

口座振替による自動支払い

口座振替依頼書で所定の手続きをすることで、口座振替によって自動的に固定資産税を納付する方法です。一度口座振替に登録しておけば、振替の手数料なしで毎回自動的に納付することができます。

インターネットバンキング、モバイルバンキング

Pay-easy(ペイジー)は、インターネットバンキングやモバイルバンキング、ATMなどを用いて電子決済を行うことができるサービスです。

固定資産税を納付する自治体がPay-easyのサービスに対応している場合は、インターネットバンキングやATMが利用可能であれば、いつでも手軽に納付することができます。

【出典】Pay-easyhttp://www.pay-easy.jp/

クレジットカードでの支払い

Yahoo公金支払いは、自治体が管轄する税金、水道料金、ふるさと納税などをクレジットカードで支払うことができるwebサービスです。

自治体がYahoo公金支払いに対応している場合は、クレジットカードを用いて固定資産税を納付することができます。

クレジットカード決済なので分割払いが可能で、手持ちの現金がない場合でも支払うことができます。

【出典】Yahoo!公金支払いhttps://koukin.yahoo.co.jp/

固定資産税を払い過ぎないように気をつけること

固定資産税の払い過ぎやその他の注意点についてご紹介します。

税金を支払った後に気が付いたときには還付請求

資産の評価額の間違いや、本来使える特例が適用されていないなど、固定資産税の払い過ぎが発生する場合もあります。

納付した後に払い過ぎに気が付いた場合は、還付請求を行うことができます。還付請求のためには証拠集めなどの専門的な知識が重要になるので、税理士などの専門家に相談する必要性が高くなります。

固定資産税の法定納期限とは

法的納期限とは、法律または条例によって定められている、税金を納付する際の期限のことです。法定納期限は時効などの基準となる概念です。

固定資産税など、1年分を数回の納期に分ける税金については、第1期分の納期限が法定納期限になります。

例えば、固定資産税の第1期の納期限が5月1日の場合、法定期限は5月1日であり、時効はその時点から発生します。

タワーマンションは高層階の方が、固定資産税が高いって本当?

2017年の税制改正によって、一般にタワーマンションと呼ばれる高さ60m以上の居住用建築物について、固定資産税の計算方法の見直しが行われました。

タワーマンションについては高層階になるほど分譲価格が高くなるのが一般的ですが、従来の計算方法ではそれが反映されず、税額のバランスがとれていないという問題点があり、計算方法の見直しが実施されました。

見直しによって、高層階ほど価格が高くなるという実情が固定資産税の税額に反映されるようになりました。

【出典】財務省:平成29年度税制改正の大綱https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/29taikou_02.htm

最後に

固定資産税についてご紹介しました。

固定資産税は土地や建物などの資産の所有者に対して毎年課される地方税です。税金の支払い方法としては、窓口での支払いや口座振替以外にも、自治体によってはネットバンキングやクレジット決済に対応している場合もあります。

固定資産税は毎年1月1日の時点の所有者に対して課されるので、不動産を取得したタイミングによっては翌年から課税されることもあります。

今回ご紹介した情報によって、固定資産税について効率よく把握していただければ幸いです。

監修者:添田 裕美(税理士)