こんにちは。
東京都内でワンルームマンション投資をしている、個人投資家兼ファイナンシャルプランナーの川井えりかです。

今回は住宅ローンの話です。

FPの仕事をしていて、この2年は住宅ローン借換えのご相談を受けることが非常に多いです。

2016年2月以降の日銀の金融政策(マイナス金利政策)により、
それ以前に住宅ローンを借りた人は、借換えすると返済額が大幅に下がる可能性が高いです。

資産運用のご相談でお会いしたのに、
「投資で100万円増やすのはリスクを伴うけれど、ローンの借換えという手続きだけで300万円も総返済額が減るなんて!」
と借換えの効果に驚かれる方も多いです。

そして、今まで借りていた住宅ローンの契約時に
「手数料」を払っていたか
「保証料」を払っていたかで
借換えをするとさらにお金が戻ってきて得をする人がいます。

住宅ローン比較で必ずチェックしてほしい、「手数料」と「保証料」の違いをご紹介します。

住宅ローンの「手数料」「保証料」とは?

住宅ローンを契約する際には、様々な名目の諸費用がかかります。

その中でも大部分を占めるのが、
「事務手数料」または「保証料」と呼ばれるものです。

どちらも契約時にかかる費用で、一般的に借入額の2%前後で設定されています。

仮に2%かかるとして、
3,000万円借入する場合は60万円、
5,000万円借入する場合は100万円ですから、
高額な費用になります。

金融機関により、
「事務手数料」がかかる住宅ローンと、
「保証料(※)」がかかる住宅ローンがあります。

どちらも契約時にかかる費用なので、
呼び名が異なるだけで中身は一緒・・・ではありません。
※保証料の場合は、別途「保証会社手数料」がかかる場合があります。

この2つは、
早期でローンを完済した場合に負担したお金の一部が戻ってくるものと、
一切戻ってこないものとで全く異なります。

まず「事務手数料」です。

手数料という名の通り、
融資の事務手続きにかかる費用です。

「住宅ローンを借りるためにかかるお金」ですので、借入後、繰上げ返済で早期に完済しても、他の金融機関に借り換えをしても払った手数料は戻ってきません。

保証料は、
「住宅ローン返済期間中、保証会社の連帯保証をつけるためにかかるお金」です。

数千万円のお金を個人に貸し出す金融機関としては、万一その人がローンを返済できなくなり、貸したお金を回収できなくなっては困ります。

そのため、保証会社の連帯保証をつけておくことで、返済が滞った場合は保証会社が返済を立て替えます。

仮に、35年ローンを組んだ場合、
35年分の保証料を契約時に払っているので、例えば繰上げ返済をして20年でローンを完済した場合、残り15年分に相当する保証料が返還されます。

同じように、
ローンを組んでから10年後に借り換えをした場合、
残り25年分に相当する保証料が返還されるという仕組みになっています。

借り換え、繰上げ返済を想定するなら選ぶべきは「保証料」

お金が戻ってこないのが「手数料」
お金が戻ってくるのが「保証料」であれば、

ローンの借換えや、繰上げ返済、またはマイホームの売却を返済期間中に検討する可能性があるなら「保証料」の住宅ローンを選ぶほうが有利です。

冒頭でお伝えしたとおり、手数料も保証料も、借入額の約2%という高額な費用です。

手数料は、
主にフラット35とネット銀行の住宅ローン、

保証料は、
都市銀行や信託銀行の住宅ローンに多いです。

住宅ローンを比較する際には、
「手数料」がかかるか「保証料」がかかるか、
必ず確認することをおすすめします。

住宅ローン比較というと、金利を比較することが一般的ですが、今はどの金融機関も低金利です。

わずかな金利の違いであれば、多少金利が高くても繰り上げ返済予定であれば「保証料」の金融機関を選択すると、住宅ローンの総支払額を下げる効果が期待できます。

具体的に「手数料」と「保証料」のローンの総支払い額を比較してみましょう。

「手数料」「保証料」の違いで総返済額が変わる?!

3,000万円の住宅ローンを期間35年で借りたとします。

金利は1.5%の固定金利です。

A銀行は契約時に2%の事務手数料がかかります。
B信託銀行は契約時に2%の保証料がかかります。

どちらも2%ですので、契約時に60万円を支払うことになります。
10年後に繰上げ返済をしてローンを完済した場合、総返済額はどちらも32,126,751円です。

そしてB信託銀行の場合は保証料の一部が返還されます。

仮にその額が20万円だった場合、実質の総返済額は32,126,751円-200,000円=31,926,751円
総返済額が20万円少なくなります。

これは、事務手数料のかかるA銀行で1.4%の金利で住宅ローンを組んだ場合と同じ水準になります。

今は0.01%単位で住宅ローンの金利比較をする時代ですから、実質の金利が0.1%下がるのは魅力的です。

保証料がいくら返還されるかは、金融機関により異なりますので、契約前に必ず確認することをおすすめします。

一般的に、35年ローンを組んで5年で完済すると2分の1程度、10年で完済すると3分の1程度の保証料が返還される場合が多いです。

「手数料」を選んでも損しない方法とは

「保証料は返還されてお得なのはわかるけれど、手数料型の金融機関の住宅ローンで気に入ったものがある」
という方におすすめの住宅ローンの組み方があります。

住宅ローンの事務手数料の支払い方は、

契約時に一括して払う方法と、
住宅ローン金利に上乗せして返済期間を通じて払う方法の2通りがあります。
※一括支払いしか扱っていない金融機関もあります

後者の金利上乗せ型であれば、
早期で完済した場合、完済までの期間分しか利息を払う必要がありませんので、
手数料を一括で払うより負担が少なくなります。

ただし、返済期間が長くなると一括で支払った方が割安になりますので注意が必要です。

ちなみに保証料にも契約時に一括で払う方法と、金利上乗せ型の2通りがある金融機関があります。

ですが、保証料の場合は一括で払っても早期完済で返還されるので、割安な一括を選ぶほうが負担は少なく済みます。

「合計の負担が増えても構わないので契約時の諸費用を抑えたい」
という方が保証料の金利上乗せ型に適しています。

住宅ローン比較のコツとは

今はどの金融機関も住宅ローン金利をホームページで公開していますので、インターネットで比較することが可能です。ですが、数百ある金融機関の中から探すのは大変な作業です。

特に、新たに住宅を購入する場合は、購入代金の支払い期日がありますから、限られた時間で決めることになります。

今は住宅ローンの金利比較サイトなどもありますので、活用すると選択肢を絞ることができて非常に便利です。

比較サイトの注意点は、金融機関の公式ホームページではありませんので、情報が古い場合や(住宅ローン金利は毎月更新されます)、金利引き下げなどのキャンペーンが反映されていない、誤った情報が記載されているなどの可能性があることです。

比較サイトで選択肢を絞ったあとは、必ず公式のホームページを確認することをおすすめします。

 

また、自分ひとりで探すよりも、頼れる専門家に相談する方が安心です。

住宅ローンのプロは、実際に融資の現場にいる金融機関の職員です。
ローンのしくみや商品選び、返済計画など知識も大変豊富です。

しかし、当然自社の住宅ローンの紹介のみになりますので、複数の金融機関に足を運んで比較することになります。

同等の知識を持つ、住宅ローン専門のファイナンシャルプランナーや住宅ローンアドバイザーは、相談費用はかかりますが、中立的なアドバイスをしてくれる心強い存在です。

どれもメリットとデメリットがありますので、複数の方法を試したり組み合わせて、ご自分に合った住宅ローンを探しましょう。

記事・監修 川井えりか(ファイナンシャルプランナー)

【記事筆者】

川井 えりか
川井 えりか
ファイナンシャルプランナー、マネーセミナー講師。
「10年後にお金を2倍にするマネープランニング」
「給料+10万円の副収入を作る」をコンセプトに、お金、投資のご相談を受ける。首都圏と札幌を中心に活動。
我慢を伴う「節約」は苦手。「お得にお金を使う」ことでお金の管理を楽しく簡単にします。