「自己資金ゼロで年間家賃収入1000万超え!」などというフレーズとはほど遠い、地道な不動産投資を始めて2年の新米大家「naanan」です。

専業主婦歴は20年ほどの大ベテランです。
ここでは、主婦業しかやったことのない私が不動産投資を始め、法人を立ち上げて事業家になるまでの道のりを振り返っていきたいと思います。

いよいよ最後のお話となります「念願の2棟目の物件購入」です。

第6章をまだご覧になっていない方はこちらから

念願の二棟目購入

ちょうど期が変わった時で、ちまたでも融資が厳しくなってきたと言われている時期でした。確かに銀行によっては不動産投資融資には全く取り合ってくれないところや、支店では預からせて欲しいけど本店OKが出ない!というようなところなどがありました。

1棟目でお世話になっている銀行は、是非2棟目も当行でと言ってくれていたこともあり、こちらの希望通りの条件でスムーズに審査を通過する事ができました。
融資確定と同時に頭金を納め、契約を交わしました。このスピード感と決断力は、それまでにしっかりと準備をしていたおかげだと思います。

今回はまだ建物が建っていないので、本契約&引渡しには少し時間が必要でした。

図面ではイメージが湧かない部分が沢山あり、形の無いものを購入するという不安がありました。しかし、その不安を拭ってくれるかのように、こちらの不安や質問に対して、営業マンが丁寧に対応してくれました。

図面とにらめっこしては
「ここに収納棚を付けられないか?」
「ここは目隠しになるような扉を付けられないか?」
「室内用物干し器具を付けてほしい」
など、素人目線の要求をしました。

基本的にはオーダーメイドではないため、オーナーの要望には答えられないとの事でしたが、営業マンはその都度、現場にわたしの意向を伝えてくれていました。

そのおかげもあってか、新築アパートは想像以上にステキなものに仕上がっていました。間取りや空間、動線の確保や必要な設備、センスの良いアクセントクロスなど、申し分ないものでした。

自分のイメージ通りだった事もあり、6部屋中5部屋が女性の入居となりました。さらにありがたいことに、建築中で内覧できない状態であるにもかかわらず、完成2週間前には満室契約をいただきました。

▶ポイント1:入居者のことを考え細部までこだわった結果、期待以上の成果につながった

業者によるサービスの違い

不動産を一棟で所有するようになると、オーナーの判断で付加価値を高めていくことが重要となります。

オートロックや宅配ボックス、録画機能付きインターフォンや防犯シャッターなど様々ありますが、特に最近の一棟アパートに必須になっているのがWiFiです。このインターネット使用料はオーナー負担です。1戸1,000円前後×所有戸数なので10,000円前後ですが、業者によって若干の差があります。

オーナーにとって料金は安いに越したことはありませんが、WiFiの場合は速度の違いなどもあるようなので、言われるままに受け入れるのではなく、業者やプランを比較して検討することも大切です。

また、一棟アパートは都市ガスではなく、プロパンガスを利用しています。ガス会社によっては給湯器やエアコン、ガスコンロなどをフリーメンテナンスしてくれる事もあります。逆に、給湯器しか無償でメンテナンスしてくれない事もあります。

オーナーとしては前者がいいのですが、オーナーへのサービス分を入居者のガス代に転嫁していることがあり、入居者のガス代金が高くなる事があるようです。プロパンガスの場合はオーナーが業者を選ぶことができますが、オーナーの利益ばかりを考え過ぎないようにしましょう。

私は、業者に無理を言って歪みを作るのではなく、自分に関わる人達が少しずつ利益を分け合い、win-winの関係でありたいと思っているので、色々な業者のサービスを比較しながらバランスの取れたラインを探すように心がけています。

▶ポイント2:利益だけを追求するのではなく、関係者全員が幸せになれる道を探す

オーナーとして思う事、今後の展望

まだまだ新米オーナーですが、いつまでも今の気持ちを忘れないようにして、物件やそれに携わってくれる人々を大切にしていきたいと思っています。

何度も???に遭遇し、その度に情報を集めながら勉強し、理解できないときは人を頼り、少しずつ前に進んできました。
当面の目標としていた2棟所有も達成し、今は安定した不動産経営を行っています。

今は今後の不動産市場の動きを見張りながら、時が来たら3棟目、もしくは区分マンション現金購入、中古物件の売却などを検討していきたいと考えています。

私は、不動産投資は他の投資手法に比べて安定感があり、ある程度の予測ができる投資だと思っています。誰もが気になる投資リスクに関しても、リスクマネジメントの方法が様々あり、自分次第でコントロールする事が可能だと考えています。

月々の家賃収入であるインカムゲインと、売却益であるキャピタルゲインの両方を掴もうと思うと難しいのかもしれませんが、インカムゲインで獲得したキャッシュフローで、売却時の損失を補填すれば良いと考えられれば気持ちも楽になります。

不動産投資の成果は売却してからしかわかりません。数年から数十年といった長いスタンスでの運用となります。最後にインカムゲインとキャピタルゲインを相殺して得られた利益が純利益となります。

売却時の市場を見極め、大きな損切りをせずに手放すタイミングを待つことができれば、インカムゲインで得たキャッシュフローをそのまま純利益として手元に残す事ができます。もちろん、タイミングや物件価値によっては、キャピタルゲインを得ることも可能です。月々の収入をコツコツとためながら売却のタイミングをうかがい、キャピタルゲインも狙えたらと思うとワクワクします。

今後は、キャッシュフローをしっかりとストックして、次のチャンスを待ちたいと思っています。

▶ポイント3:不動産投資はキャピタルゲインではなくインカムゲインの獲得を主軸にすることによって安定した投資にすることが可能

不動産投資に興味を持つ方々へ

不動産市場が飽和に向かい、高騰している中に動き出し、融資引き締めによる厳しい局面を迎える中で物件を買い進めるという、初心者にはリスキーなことをしたのかもしれません。しかし、自分なりにできることをして、考え悩み抜いて決断したので後悔も恐れもありません。

「投資」と言うからには、もちろん損をすることもあります。失敗に終わるかもしれないという覚悟も必要です。ただ、不動産投資に関しては、事前にしっかりと計画を立て、返済比率などを低めに設定して始められるのならば、あまり恐れる必要はないかと思います。

また、「いつ始めるか?」といった時期ですが、「不動産市場が高騰している今はやめた方がいい」などとよく耳にしますが、個人的にはそう思っていません。

不動産投資について学んで行く中で素人なりに感じたのは、
「とてつもない大儲けはできない仕組みになっているな」という事です。

市場のバランスというものは、上手くできています。不動産市場が高騰して物件価格が高い時は金利が低く、物件価格が低い時は金利が高くなっているのです。

また、物件価格が低く不動産市場が活発に動いている時は、金利は高いのですが融資を受けやすくなるため購入希望者が増え、優良物件の競争率が高まることで購入が難しくなります。
逆に、物件価格が高く金利が低い時は、金融引き締めによる融資の受けにくさから購入者が減るため、優良物件に近づく事ができます。

つまり、物件価格が安くて、金利が低くて、融資条件が緩くて、競争率が低いなどという事はあり得ないのです。

そのため、私は不動産投資を始めるタイミングはいつでも構わないと思っています。考慮するのは市場ではなく、個人のライフプランと、投資に対する考え方だと思います。

不動産投資は、株式投資や非課税の投資信託、仮想通貨など様々な投資手法の中の1つに過ぎません。どの投資が自分のライフスタイルやライフプランに合っているのかを考えてみるだけでも、自分自身と向き合う大切な時間になるでしょう。

▶ポイント4:不動産投資を始めるタイミングは「始めたい」と思ったとき!

最後に

専業主婦歴20年の平凡な主婦に訪れた激動の一年を、全7話のコラムに綴らせていただきました。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます!

つい先日、退去報告が入り、これから入居の募集という大仕事に挑戦することになりました。慣れてしまえばたいしたことではないのかもしれませんが、ちゃんと入居者が決まるのかどうか不安と期待でいっぱいです。

これからも、このドキドキわくわくを忘れずに、いろんなことに挑戦していきたいと思っています。
皆様の人生にもたくさんのドキドキわくわくがありますように・・・

編集部より

naananさん、連載お疲れ様でした。
今回のコラムは、当サイト初めての連載コラムです。
実際に不動産投資をされている方の実体験を掲載したい!という所から企画がはじまり、「不動産投資初心者の方やこれから不動産投資を始めたい」という方の漠然とした不安を解消したいというコンセプトに共感いただき、naananさんに執筆いただけることになりました。

naananさんもまだ不動産投資を始めて2年ということで、「なぜ不動産投資をはじめようと思ったのか興味を持ったきっかけ」「投資をはじめるまでの過程」「その時の不安や懸念点があれば、それをどのように解消したのか」など読者の方の目線に近い形でお話いただけると思ったからです。

しかし、実際にコラムを拝見して、これは『不動産投資初心者の方の体験記』ではなく『不動産投資で成功するためのお手本』といっても過言ではないと感じました。それくらい、不動産投資で大切なポイントが凝縮された内容だったのです。

まだ不動産投資の道のりは長いと思いますが、きっとnaananさんならどんな困難に直面したとしても持ち前の情報収集力・分析力と行動力でプラスに転換してさらに良い結果に変えてしまうところが想像できます。

不動産投資に興味のある方は、ぜひこちらのコラムを熟読して少しでも成功のためのエッセンスを取り入れていただけると嬉しいです。
naananさん、本当にありがとうございました!

【記事筆者】

naanan
naanan
アンバランスな3つの顔を持つ女「naanan」です。
・3人の子供を持つ専業主婦
・大学で学んだマーケティングや経営の知識、ゴルフや英会話などの趣味を生かした執筆活動を行うフリーランス
・不動産賃貸業を営む会社社長
遊びも仕事も全力で頑張り、実体験を生かした記事をお届けしたいと思います。