土地には同じものが2つと無く、持ち運ぶこともできません。このため希望条件の揃った良い土地を購入するためには、土地探しのポイントを理解し、土地購入のパターンを把握した上で土地探しを行うことが重要です。

今回はそれらについて解説しながら、土地と建物の購入に際して発生する費用についても触れていきます。ぜひ、土地探しの参考にしてください。

土地選びの絶対欠かせない基本的な6つのポイント

闇雲に土地探しをしても良い土地は見つかりません。そこで良い土地を購入するためのポイントを6つにまとめてみました。

どのくらいの広さが必要なのか理解する

良い土地を購入するためには、どのくらいの広さの土地が必要なのかを理解した上で土地を探すことが大切です。

同居する人数などを考慮の上、必要となる建物や庭の大きさ、駐車場の台数などから、必要となる土地の広さをイメージしておきましょう。

希望地域の土地と建物の相場をチェックする

土地と建物の価格には相場というものがあります。

土地は需給動向を始め、最寄り駅やスーパーなどの利便施設との距離、街区の整備状況といった住環境など、複数の要因によって相場が形成されます。また、建物についてはメーカーや工務店、木造や鉄骨造などの構造の違いによって建築費用が異なってきます。

不動産の購入は一般的に高額となりますから、予算に基づいた物件選びを行う必要があります。どれだけ気に入った土地でも、予算を大きく上回ってしまう物件を購入することはできません。土地と建物を合わせて、いくらまでの物件を購入することができるのかを把握することで、希望する地域の土地価格の相場から購入できる土地の広さの目安を持つことができます。

住環境を優先して土地の広さや建物のグレードを調整するという検討もできるようになりますので、相場をチェックするということは良い土地を見つける上で大切なことなのです。

敷地の条件を確認する

建物を建てるための敷地の条件を確認しましょう。

日照を十分に確保できる土地かどうか、ゆとりのある建物の配置ができて、良い風通しが期待できるかどうか、土地の形状により建物の建築が困難ではないかどうかなど、敷地の条件がカギとなります。落ち着いて土地と周囲の状況をチェックしてください。

また、用途地域などの行政法規による規制も確認をして、建てたい建物が建築できる土地かどうかも確認しておくことが必要です。

周辺環境を確認する

購入の際には周辺環境を十分に確認しておくことが大切です。

毎日の通勤、通学の利便性、最寄り駅へのアクセスなどは勿論、日用品店舗、病院などの場所も調べておきましょう。また、過去の水害状況などが分かる洪水ハザードマップが役所に備え付けてあれば、これも確認しておきましょう。

数回下見をする

居住するための土地の購入の決定に際して、天候や時間帯によって不動産の印象は変わるので、1回の下見だけでは分からないこともあります。

昼間は明るいため気になりませんが、夜間の街灯や人通りの状況などは確認しておくことをお勧めします。また、雨天時の状況、朝夕の周辺道路の交通状況なども確認しておきたいものです。

土地情報を知ることができる便利サイト

土地に関する情報を自分自身で収集することも大切なポイントです。土地の情報が分かる便利なサイトを2つご紹介します。

1つ目は、国土交通省による地価公示と都道府県による地価調査の詳細情報を検索し、確認することができるサイトです。

出典:国土交通省 標準地・基準地検索システム
http://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0

こちらのサイトでは、地価公示、地価調査のポイントの価格水準のほか、最寄りの駅、周辺の土地の利用状況などを確認することができます。

続いて紹介するサイトでは、山地、丘陵、低地などの土地の状況や高低などが国土地理院による土地条件図によって確認できます。
出典:国土地理院 土地条件図

http://www.gsi.go.jp/bousaichiri/lc_index.html

土地条件図によって地盤などの状態を把握することができます。

土地探しのコツとは

より良い条件の土地を購入するために、土地の探し方にはコツのようなものはあるのでしょうか。

不動産会社に相談する

個人で土地探しを行う場合には、やはり不動産会社に相談するのがおすすめです。

インターネットの普及により、個人で収集できる土地に関する情報は多くなりましたが、インターネットに掲載される前に売買が決まってしまう物件もあります。希望条件に出来る限り近い土地を購入するため、より多くの情報を得るために、不動産会社に土地の購入について相談をしておきましょう。

不動産会社へ依頼する際の注意ポイント

不動産会社へ土地探しを依頼する際に注意しておきたいポイントがあります。

不動産会社は出来る限り依頼者の希望に沿った土地を探すことになりますので、土地に対する希望条件や購入予算、購入の時期などについて、明確に伝えておくことが大切です。希望を明確にしておくことで、不動産会社も土地探しが行い易くなりますので、依頼者はより良い情報を収集できるというメリットにつながります。

複数の不動産会社に相談する

土地探しで多くの情報が欲しいというときは、複数の不動産会社に相談することをおすすめします。

特定の不動産会社の取り扱いだけで土地などの売買が決まってしまい、売却に関する情報が公開される前に制約がきまってしまうことがあります。このような情報を手に入れるためには情報の間口を広く持ちましょう。

このためには複数の不動産会社に相談をすることが有効であり、希望する地域の物件の取り扱いが多い不動産会社を加えておくことをおすすめします。地元密着型の不動産会社には、地縁などによって売り希望の相談が持ち込まれることも多いためです。

土地と建物を購入する場合の4パターン

土地の購入には複数のパターンがあります。

住宅を建てるための土地探しを行った結果、気に入った土地を見つけても、土地だけを購入することができない場合があります。土地購入の際における建物の取扱いに着目して、4種類に分類の上、それぞれの特徴について解説していきます。

宅地のみ購入(更地)

土地購入において最もシンプルなのは、宅地のみの購入です。一般における更地とは、土地の上に建物や建築物が無い状態で、購入者が自分の意思で自由に建物を建てたり、使用したりすることが可能な土地のことを指します。

建築条件付土地の購入

建築条件付土地とは、土地購入の後に、土地の造成や開発を行った土地の分譲業者から選ばれた住宅の建築業者によって建物を建てることが条件となっている土地のことを指します。

建築条件付土地は建売住宅と異なり、建築会社によって差はありますが、土地購入者の意向を反映した間取りや構造で建物を建てられるというメリットがあります。しかし、期限内に建物についての請負契約が締結できない場合など、土地についての売買契約も無効になってしまうケースがありますので注意が必要です。

次に解説する建売に対して「土地を売ってから建物を建てる」ことから「売建」と呼ばれることもあります。

建売住宅の購入

建売住宅とは、土地と建物をセットにして販売されている新築戸建住宅のことを指します。

したがって、土地だけを購入するということはできませんし、建物の建築中の状況を購入者がチェックするということもできません。しかし、一般的に建売住宅で販売される建物は、汎用性が高く、使い勝手が良い間取りで建てられていることが多く、実物を確認して家具の配置や生活をイメージしてから購入ができるというメリットがあります。また、使用資材や設備などを一括発注していることから、建築コストが抑えられ、割安な値段設定で建物を購入することができるというメリットもあります。

中古住宅付き土地の購入

中古住宅付き土地とは、土地と土地上の中古住宅が一緒に売却されるものを呼びます。

中古の建物を引き続き使用する場合には、建売住宅と同じように、実物を確認した上で購入できるというメリットはありますが、新築とは異なり中古であることから、建物や設備の老朽化などについて十分な確認が必要となります。購入後にリフォームや修理が必要であれば、当該費用の発生を見込んでおく必要もあります。

一方で、解体撤去を前提とした建物が土地上に存するケースもあります。このような場合には、建物の解体撤去費用を買主負担で売却することとなりますから、土地の価格から建物の解体撤去費用を差し引いた金額が売買価格となるのが一般的です。

家を建てる・土地を買う時にかかる費用

希望する土地の購入、家を建てる際にはどのような費用がかかるのでしょうか。

土地の購入時に支払うお金

土地の購入においては、売買契約と同時に手付金を支払い、土地の引き渡しを受けるまでに、購入代金から手付金を除いた残額の支払いのほか、諸費用が必要になります。

手付金とは、売買契約の締結を担保するもので、土地価格の5~10%程度の金額となり、買主が売主に対して支払います。土地の引き渡しまでには土地の代金の支払いを完了させますが、手付金は土地の代金に充当されます。

諸費用とは、売買の仲介をした不動産会社への仲介手数料、土地の登記費用、印紙税などで土地代金の6~10%程度が目安となります。

住宅ローンの借り入れ時にかかるお金

土地や建物の購入に当たり、住宅ローンによる借り入れ時に費用が発生します。

住宅ローン利用における金銭消費貸借契約に印紙税がかかります。このほか、抵当権設定の登記費用、司法書士への報酬、住宅ローン事務手数料、団体信用生命保険料、火災保険料、保証会社事務取扱手数料などの費用が発生します。

住宅ローンの借り入れのための諸費用は、物件価格の5~10%と言われますが、金融機関によっても異なりますので、借入先の検討も大切です。

引渡し後に支払うお金

引渡しを受けた後には、引越し代、家具の購入費用が発生します。また、不動産取得税の納税通知が、引き渡しから半年~1年半程度した後に都道府県から送られてくるので、忘れずに準備しておきましょう。

購入後にも払い続けるお金

家を購入した後には、維持するための費用が発生することとなります。

購入に際して住宅ローンの利用があれば返済を続ける必要があります。また、土地、建物の固定資産税、都市計画税を納税する義務が発生しますので、毎年税金を納めなければいけません。

まとめ

土地探しのためのポイントや購入パターンについてご理解いただけましたでしょうか。土地探しを行うためには、希望する条件を明確にすることが大切です。また、購入予算も重要な検討ポイントになります。ご自身にあった土地を購入するための参考にしていただけたらと思います。

監修者:田井 能久(不動産コンサルタント)