不動産を売却するためには、買い手を見つける、内見の申し込みや問い合わせに対応する、売買契約を締結する、物件を引き渡す、などの様々な手続きが必要になります。

それらを実施するためには、専門知識や営業のノウハウを有する不動産会社に仲介を依頼すると効率的です。多くの不動産会社が存在する中で、どのように良い会社を探せばいいのか、不動産会社選びのポイントをご紹介します。

不動産売却の全体の流れ

不動産を売却する際の全体の流れを見ていきます。

相場を調べてみる

不動産の売却を検討する場合は、どの程度の金額で売れそうか、売却価格の相場を調べてみることが有効です。手がかりになるのは、物件周辺の不動産の相場です。インターネットの検索サイトで、「地域名+家」「地域名+土地」、などのワードで検索すると、地域の不動産物件の相場を把握するのに役立つ情報を見つけやすくなります。

不動産会社に仲介を依頼する

物件を売却する際は、自分で買い手を探すこともできますが、専門的な知識や営業のノウハウを活用するために、不動産会社に売買の仲介を依頼するのが一般的です。不動産会社に仲介を依頼する場合は、媒介契約を締結することになります。媒介契約は大きく分けて3種類あり、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約があります。

契約種類によって仲介業務の報告義務の程度や、他の業者に仲介を依頼できるかどうかなどが異なるので、自分の状況に合わせて適した契約を結ぶことが大切です。

内見

不動産会社に仲介を依頼し、物件の売り出し価格を決めた後は、購入希望者の物件の内見(内覧)を行います。物件の購入希望者は、内見をしてから購入を決める場合がほとんどです。物件の売却を成功させるためには、まずは内見をしてもらう機会を得ることが重要です。

何件くらいの内見があれば成約に結びつくかは、物件の立地や条件によって様々です。1件の内見で決まる場合もあれば、20件以上案内しても決まらない場合もあります。5~10件程度の内見が必要になるのが一般的です。

価格交渉

購入希望者から購入の申し込みを受けた際は、価格交渉が発生する場合があります。不動産購入にはある程度まとまった額が必要なので、買い主としては少しでも安くなればということで、価格交渉をお願いされるケースがあります。

値引きに応じるかどうかは売り主の自由なので、不動産物件の状態、価格設定、いつまでに売却したいか、などの状況によって判断します。

例えば、元々の価格設定が既に相場よりも低い場合は、値引き交渉に応じなくても売却につながる可能性が高くなっています。一方、他の買い手がつきそうにない場合や、何らかの事情で早めに売却したい場合は、相手の値引き交渉に応じる必要性が高くなります。

契約する

売り主と買い主の間で、不動産売却についての金額や条件の交渉がまとまった場合は、売買契約を締結することになります。不動産会社に仲介を依頼している場合は、不動産会社が売買契約書を作成し、売り主と買い主の双方が契約内容を確認します。

契約を締結した後のトラブルを防止するために、契約内容については締結前に双方が細かく確認し、疑問点があればすり合わせを行うことが大切です。

引き渡し

無事に売買契約を締結できた場合は、不動産を引き渡すための準備に入ります。契約締結後は、物件の所有権を移転して引き渡す義務が発生します。

これらの義務を期日までに果たすことができなければ、契約をきちんと履行していないということで、違約金の支払いなどの法的な責任を求められることもあるので、しっかり準備をすることが大切です。

必要な手続きは物件の状態によって様々ですが、所有権を移転するための登記手続きの依頼、物件に抵当権が設定されている場合の抹消手続き、傷みや修復箇所がないか家屋の状態の確認、などがあります。

不動産会社の探し方

不動産物件を効率良く売却するために、不動産会社の探し方をご紹介します。

近所の不動産会社を探す

不動産会社を見つける方法の一つは、物件近くの不動産会社を探して査定や仲介を依頼することです。

物件の所在地に近い会社であれば、物件周辺の立地条件、価格の相場、地元ならではの土地勘や情報、などに詳しいため、効率よく高額で物件を売却できる可能性があります。反面、不動産会社と交渉するための時間や移動にかかる費用などを負担することになります。

広告などで目にする不動産会社に直接問い合わせてみる

インターネットや街中の広告などで目にする不動産会社に問い合わせてみる方法もあります。広告を出しているということは、会社としてある程度の取引実績や利益を出している可能性が高く、効率よく物件を売却できる可能性があります。

反面、広告に掲載されている内容が必ずしも本当とは限らないため、問い合わせの際には信頼できる会社かどうかをきちんと確認することが重要です。

インターネットの一括査定サイトで不動産会社を探す

インターネットの一括査定サイトでは、築年数や間取りなどの物件の情報を入力するだけで、複数の不動産会社に査定してもらうことができます。

一括査定は基本的に無料なので、手数料を気にせずに気軽に依頼することができます。不動産会社から連絡が来るので、自分で会社を探す必要もありません。

不動産会社の選び方

優良な不動産会社を見つけるために役立つコツをご紹介します。

複数の会社に相談すること

不動産を売却するために会社を探す場合は、3~6社など、複数の会社に相談して査定を依頼することが重要です。不動産会社の得意分野は様々なので、同じ物件であっても、会社によって査定額にかなりの違いがでる場合があります。査定自体は基本的に無料の場合が多いので、できるだけ多くの会社に依頼すると良いです。

査定額の根拠を知ろう

不動産会社に査定をしてもらった際には、提示された査定額の根拠を教えてもらうことが大切です。同じ物件であっても不動産会社によって査定額は異なりますが、その理由を知ることで、手持ちの物件の特徴を把握することにつながります。また、査定額の明確な根拠を提示できる会社であれば、それだけ業務の信頼性も高いということになります。

売買実績の多さで比べよう

不動産会社を選ぶ場合は、なるべく売買実績が多い会社を選ぶことが重要です。売買実績が多いということは、営業や取引きのためのノウハウが豊富で、多くの取引きを手掛けてきた信用性があるからです。

担当営業マンを見極めよう

自分にとって良い不動産会社かどうかを見極める目安の一つは、担当の営業マンの印象です。不動産の売却はある程度長い期間が必要になるので、相性の悪い相手とは難しくなります。担当の印象があまり良くない場合は、素直に他の会社を検討した方が良い場合があります。

遠方の物件を売りたい場合はどうするの?

遠方の物件を売りたい場合は、売却予定の物件の近くにある不動産会社に依頼すると便利です。自分が現地に出向くことが難しい場合は、不動産会社が対応できる距離に物件があることが重要になるからです。一括査定サイトを利用すると、対応できる会社から連絡がくるのが一般的なため、遠方の不動産会社を探す場合に便利です。

仲介と買取の違い

不動産会社は物件の売買の仲介だけでなく、買取に対応している場合もあります。それぞれの違いについてご紹介します。

仲介とは

手持ちの不動産物件を売却する方法としては、仲介と買取の2種類の方法があります。仲介は、不動産会社に買い手を探してもらうことです。不動産会社が物件の情報をサイトや広告に掲載し、営業ノウハウを駆使して買い手を探します。

物件を市場に出して買い手を探すため、高い価格で売却できる可能性が高くなります。反面、買い手を探すことから始めるため、売却できるまでに長い期間がかかる場合も多くなります。

買取とは

買取は、不動産会社が物件を購入する方法です。買い手を探す必要がないため、物件を手早く売却するのに便利です。一方、売却できる価格は仲介の場合に比べて下がるのが一般的です。

結局どっちがおすすめ?

仲介と買取のどちらが良いかは、売却において何を重視するかによります。ある程度時間をかけてでも高く売りたい場合は、仲介が適しています。一方、価格が安くなっても早く売却したい事情がある場合は、買取が適しています。

家の売却が完了するまでに6ヶ月かかる?

不動産の売却が完了するまでには、6ヶ月程度かかるのが一般的です。

不動産会社選びに1~3週間

家の売却の仲介を依頼する不動産会社を選ぶためには、一般に1~3週間程度かかります。近所の不動産会社に出向く、インターネットなどで目にした広告に問い合わせる、一括査定サイトに依頼して連絡を待つ、などです。

買い手が見つかるまで1~3ヶ月

信頼できそうな不動産会社を見つけて仲介を依頼すると、不動産会社は買い手を見つけるために、物件を紹介サイトに登録するなどの活動を開始します。

物件の情報を掲載してからすぐに買い手が現れるとは限りません。物件への問い合わせや内見などを経て、買いたいと思う人が現れるまで、一般に1~3ヶ月ほどかかります。

売買契約を結ぶまで1~2週間

物件の購入を希望する人が現れた場合は、売買契約を締結することになりますが、契約を結ぶまでに1~2週間ほどかかるのが一般的です。

契約に関する重要事項の確認、家屋内に残存する家具の処分などの特約事項のすり合わせ、契約内容の不明瞭な部分の確認、などの作業が必要になってきます。

決済までに1ヶ月程度

売買契約を締結した後は、期日までに買い主が購入代金の決済をすることになります。決済が完了するまでには、一般的に1ヶ月程度かかります。現金支払いの場合は決済完了までに1週間程度で済む場合もありますが、買い主が住宅ローンなどを組む場合は、審査に1ヶ月ほどかかる場合もあります。

引き渡しに数日~数週間

物件の購入代金の決済が完了した後は、物件の引き渡しを行うことになりますが、引き渡しまでに数日~数週間の猶予期間を設けるのが一般的です。引き渡しの期日までの間に、物件内に残った家具などの処分や運び出しを行います。

家を売却するときにかかる費用とは?

家を売却する際に発生する費用を見ていきます。

売るために必要な費用とは?

売却を検討する場合は、どのような費用が発生するのかをあらかじめ把握しておくことが重要です。家を売却するために必要な費用としては、不動産会社への仲介手数料、住宅ローンの残額、登記のための費用、各種税金、不用品の処分料、引っ越し代、物件の修繕費、などが一般的です。

売却時にかかる税金

不動産を売却して得た利益を、譲渡所得といいます。不動産を購入したときの値段よりも高く売れて譲渡所得が発生したときは、額に応じて税金を納める必要がある場合があります。

確定申告は必要?

上記のように、不動産を売却して利益を得たときは、譲渡所得税を把握するために、確定申告をする必要があります。必要があるのに確定申告をしなかったときは、延滞によって延滞金を納めなければならない場合もあります。

買いたいと思わせるコツ

不動産物件を売却する際に、買い手に買いたいと思わせるためのコツをご紹介します。

部屋をスッキリ見せる

売却したい家の部屋の中が雑多な印象がある場合は、家全体の評価に影響する恐れもあります。物が多くなりすぎないように少し片付けるだけでも、内覧者に与える印象は大きく異なります。

明るさを意識する

部屋が暗いと物件が古く見えやすくなるので、あまり印象は良くありません。照明を事前にチェックして各部屋を明るくするように心がけると、物件の印象が良くなります。

掃除をしっかり行っておく

汚れのない清潔感のある物件は、それだけで高い評価を得やすくなります。部屋だけでなく、浴槽、キッチン、トイレなども綺麗にしておくことが大切です。

汚れが強い場合は、ハウスクリーニングのサービスを検討するのも一つの方法です。

まとめ

不動産売却の流れと不動産会社の選び方についてご紹介しました。不動産の売却を完了させるためには、様々な手続きを実施し、買い手を見つけ、契約を締結し、物件を引き渡す必要があります。それら全てをきちんと実施するためには、良い不動産会社に仲介を依頼することが近道です。今回ご紹介した不動産会社の選び方を参考にすることで、効率の良い不動産売却の一助になりましたら幸いです。