家の中でも、特に水回りは劣化しやすい場所です。快適に生活していくためにも、10~20年に一度は水回りのリフォームを実施したいものです。浴室のリフォームにかかる期間と費用、適用できる補助制度についてまとめました。

浴室のリフォームをする場合の基礎知識

トイレや洗面所などの狭い空間と比べると、なんとなく手間がかかりそうに思える浴室のリフォーム。実際のところはどうなのでしょうか。浴室をリフォームする前に、次の3つのポイントを押さえておきましょう。

浴室のリフォームは自由自在にできる

浴室のリフォームに制限はありません。希望通りにリフォームすることができます。しかし、希望通りといっても、広さや天井の高さや予算は、それぞれ制約があるはずです。実現可能な範囲で、希望を叶えていきましょう。

マンションの浴室のリフォームは管理会社と相談

マンションの浴室をリフォームするときは、必ず管理会社と相談してから実施してください。水圧やユニットバスのサイズ、マンション全体の電気・ガス容量などの制限がある場合が多いです。

長期補償サービスのある会社を選ぶ

リフォームが完了したときには気づかなくても、使用し続ける間に、「水漏れがする」「換気しづらい」「金具の取り付けが弱い」「スムーズに排水されない」「浴槽内に汚れた水が逆流する」などの不具合に気づくこともあります。

浴室は家の中でも特に不具合が起こりやすい場所ですので、長期有償サービスを実施している会社が選ぶのが賢明ですが、補償期間と内容をきちんと確認しましょう。

浴室のリフォーム タイルの張り替え

ユニットバスではなく、タイル張りのオーダーメイドの浴室を利用している場合もあるでしょう。タイルを張り替えるだけでも見違えるように美しくなりますので、浴室全部をリフォームするのではなく、タイルだけを張り替えることも1つの良い方法です。

また、タイルや目地にひび割れがある場合は、下地にまで水が浸みている可能性があります。張り替える場合には原因を調査してからがお勧めです。

浴室のタイルのリフォームにかかる期間

タイル数枚だけを張り替える場合は、1日もあればリフォームは完成します。価格も出張費込みで3万円以内ですので、ひび割れに気づいたら早めに工務店に工事を依頼しましょう。

一方、浴室全体のタイルを張り替えるときは、タイルの撤去から下地塗り、新しいタイルの敷設の工程が必要になりますので、リフォームが完成するまでに2~3日ほどかかります。

浴室のタイルの価格は機能によってかなり違う!

一口にタイルと言っても種類はさまざまあります。速乾性のあるタイルや滑りにくく転倒を防ぐタイル、岩盤のような肌ざわりのタイル、冬でも冷たくなりにくいタイルなど、見た目や必要な機能によって選ぶことができます。

また、色やデザインもさまざまです。カタログだけで選んでしまうのではなく、タイルサンプルを提示してもらうか、メーカーショールームに足を運んで実物を確認して選ぶようにしましょう。

なお、タイルの価格は、機能やデザイン、ブランドによって大きく変わります。1枚1枚張るタイプのタイルよりも、あらかじめシート状になっているタイルの方が価格も施工費も安くなる場合が多いです。

浴室のタイルのリフォームにかかるおおよその施工費

どのタイルを選ぶか、どの業者に頼むか、浴室の広さはどの程度かによって、タイルのリフォーム費用は変わります。

数枚のタイルだけを張り替えるときや目地のみを補正するときは、出張費込みで1~3万円程度、もっとも一般的な広さの0.75坪の浴室の壁の張り替えは10万円程度、0.75坪の浴室の床部分のみの張り替えは6万円程度が相場となります。

浴室のリフォーム ユニットバスへ交換

現在、マンションだけでなく戸建て住宅でも、ユニットバスが使用されていることが多いです。床も壁もすべてセットになっていますので、タイルを張り替える作業は不要です。

ただし、ユニット(単位)といっても、基本的にはオーダーメイドですので、壁の素材や床の素材、浴槽のデザイン、シャワーの設置場所、手すりの設置、鏡の大きさ、棚のデザインや数を仕様の中から好みに合わせて選ぶことが出来ます。

浴室をユニットバスへ交換する時にかかる期間

オーダーメイドの浴室からユニットバスへ交換するとき、あるいは現在利用中のユニットバスから新しいユニットバスに交換するときは、現在の浴室を撤去して新しいユニットバスを設置し、水栓工事の工程が必要になります。

撤去作業にどの程度の手間がかかるか、浴室の周り(特に脱衣室や洗面所)との段差や扉部分にどのような工程が必要か、新たに浴室給湯器を設置する必要があるかによって変わりますが、最短で1日、長い場合では工事完了までに数日かかることもありますので、工事業者とスケジュールをきちんと確認してください。

浴室をユニットバスにする時の価格の相場について

0.75坪のもっともシンプルなユニットバスで、平均25~30万円です。浴槽部分が壁や床と一体型になったユニットバスを選ぶと相場は30~35万円に上がり、水はけが良く滑りにくい素材の床を選ぶと、さらに相場が5万円上がって35~40万円になります。

天井に浴室乾燥暖房機能付きの換気扇を設置すると、さらに相場が10万円上がって45~50万円になります。近年人気の高いミスト付きの浴室乾燥暖房機と人工大理石の床材を選ぶと、ユニットバス本体代だけで60~80万円になることもあります。

浴室をユニットバスにする時のおおよその施工費

ユニットバス自体の費用に加え、施工する費用もかかります。解体費用や配管工事費用、浴室乾燥暖房機の設置費用などすべて込みで、30~40万円必要です。ユニットバス本体代と施工費を合算すると、シンプルなユニットバスで55~70万円、床素材や換気扇等にこだわると90~120万円ほどかかることになります。

浴室のリフォーム 給湯器の交換

お湯の出が悪くなったりしたときは、浴室給湯器を交換しなければなりません。浴室給湯器の寿命は7~10年くらいが一般的ですので、浴室リフォームをするより先に給湯器の交換が必要になることが多いでしょう。浴室給湯器の交換にかかる期間、費用の相場について探っていきましょう。

浴室給湯器を交換する時にかかる期間

サイズや追い炊き機能、夜間電力を生かした自動運転機能の有無によっても価格は変わります。もっともシンプルな給湯専用(追い焚き機能無し)の20号タイプで5~25万円、追い炊き機能と自動運転機能がついている浴室給湯器で10~35万円が相場となります。

浴室給湯器を交換する時の価格の相場について

サイズや追い炊き機能、夜間電力を生かした自動運転機能の有無によっても価格は変わります。もっともシンプルな追い炊き機能なしの浴室給湯器で5~25万円、追い炊き機能と自動運転機能がついている浴室給湯器で10~35万円が相場となります。

浴室給湯器を交換する時のおおよその施工費

配管工事が不要のときは、浴室給湯器の施工費は3~7万円です。元々のリモコン配線が利用できる場合は1〜2万円程度となりますが、それ以外は配線工事が必要となります。

コードレスタイプのリモコンもありますが、給湯器から通信ユニットまでの配線工事が必要で、リモコン自体の価格も倍以上かかります。また対応している給湯器も限られてきます。他には、配管工事が必要になるときは5~15万円ほど施工費が上乗せされます。

浴室のリフォームで受けられる補助金

浴室のリフォームを実施するときは、補助金制度が適用されることもあります。施工を依頼する工務店やガス会社などが自発的に教えてくれないこともありますので、補助金制度をご自身で調べてからリフォーム工事を申し込むようにしてください。

エコリフォームを行うと補助金が出る

浴室リフォームだけの補助金は難しいのですが、断熱改修や耐震改修などと合わせて申請することが出来ます。

「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業」「家庭用燃料電池システム導入支援事業」などがあります。他には各地方公共団体による補助制度も用意されていますので、工事業者とよく相談の上検討しましょう。

さらに、これら複合的に行うリフォームは減税の対象となる場合がありますので、確定申告で賢く手続きしましょう。

介護リフォームなら介護保険が適用される

主な使用者が介護保険の被保険者かつ要介護認定を受けているときは、浴室に手すりをつけたり滑りにくい床材を使用したりすると、1人当たり20万円を上限として介護保険が適用されます。段差の解消や引き戸への取り換えも、介護保険が適用されることもあります。

地域のリフォーム補助制度もチェック

自治体によっては、独自のリフォーム補助金制度を実施していることもあります。市区町村の役場に問い合わせ、活用できる制度は積極的に活用しましょう。

浴室のリフォームのまとめ

浴室リフォームの目的にはいくつか考えられます。

・劣化した部分の直しや給湯器の交換
・使い勝手を良くする
・断熱リフォームを兼ねる
・介護のため

何のために浴室をリフォームするのかよく検討しましょう。
いずれの場合も浴室が快適になれば生活が楽しくなります。また国や自治体、介護保険などの公的制度の活用も視野に入れ合理的にリフォームしましょう。価格や質、サービス全てが納得出来る施工業者を選び、浴室リフォームを成功させてください。

監修者:御前 好史(建築家)