資産を持っていたとしても、放置しておくだけでは効率よく増やすことはできません。資産運用の方法と特徴についてまとめましたので、参考にしていただき、ご自身に合った資産運用を始めていきましょう。

資産運用で利益を得る方法は大きく分けて2種類

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資産を運用して利益を得る方法は、大きく分けて“インカムゲイン”と“キャピタルゲイン”の2つの種類があります。

資産を保有することで得られる利益、インカムゲイン

インカムゲインとは、資産を一定期間保有していることで得られる利益を指します。例えば株式の配当金や預金の利息などは、株式や預金を半年~1年程度継続して保有しているときに受け取れる利益(インカムゲイン)です。

利益の発生は安定的・定期的

インカムゲインの特徴として、利益が安定していることと定期的であることが挙げられます。例えば普通預金の利息は、ほとんどの金融機関で毎年2月と8月の年に2回、預金額に応じて定期的に付与されます。金利はあらかじめ公表されていますので、安定した利益を見込むことが可能です。

リスクは少ないが利益も小さい

あらかじめ金利が分かっている預金とは異なり、株式の配当金は企業の業績によって左右されます。業績が思わしくないときは配当金が出ないということもあります。

しかし、どんなに業績が悪くても、配当金がマイナスになることはありません。また、反対に業績が非常に良いときでも、配当金の利回りが急激に上がることもありません。つまり、インカムゲインは、リスクは少ないけれども利益も小さいという特徴があるのです。

インカムゲインの資産運用例

株式の配当金や普通預金・定期預金の利息以外にも、分配金があるタイプの投資信託の分配金や国債・社債の利息、不動産の家賃収入などもインカムゲインの一種です。いずれも利益は安定的かつ定期的で、予想以上に大きな利益を得ることはないけれどリスクも少ないというメリットがあります。

資産を売買することで得られる利益、キャピタルゲイン

資産を保有することで得られる“インカムゲイン”に対し、“キャピタルゲイン”は資産そのものを売買することで得られます。キャピタルゲインを得るためには、インカムゲインと比べると資産保有者がアクティブに資産に関わることが必要になります。

利益の発生は不確定

半年や1年のスパンで利益が半永久的に発生するインカムゲインとは異なり、キャピタルゲインの利益は不確実です。保有している資産を売却したとしても、必ずしもその資産を手に入れたときよりも価値が上昇しているとは限りません。また、資産価格が上昇していたとしても、貨幣価値そのものが落ちているために、実質的には価値が増えていない可能性もあります。

リスクは高いが大きな利益を生む可能性がある

資産価値が必ず上昇しているとは限りませんので、資産の売買による利益は非常に不確実であると言えます。反対に、資産価値が下落することもありますので、資産を維持する資金や資産を入手したときの手数料なども加えると、多大な損失を被ることもあります。

しかし、キャピタルゲインは、インカムゲインとは異なり大きな利益を期待することが可能です。例えば企業の業績が素晴らしく上昇しても、株式の配当金はそこまで高くはなりません。株価に対して1%だった配当金が2%になる程度で、大株主ではない限り巨大な利益は見込めないのです。一方、株価自体は企業の業績を如実に反映します。保有する株式を売却することで、資産を入手するときに支払った代価の何倍もの利益を得られることもあるのです。

キャピタルゲインの資産運用商品例

株式以外にもキャピタルゲインが期待できる資産は多数あります。例えばFXは外国為替の売買によって利益を得る投資方法です。1USドル=100日本円のときに10,000USドルを100万円で購入し、円安が進んで1USドル=120円のときにすべてのUSドルを売却すれば、手数料を含めずに考えると120万円が手に入り、利益だけでも20万円が得られるのです。

同様に国債や社債、投資信託、不動産などの資産も、価値が充分に上がったときに売却すれば、売却額と入手額の差額を利益として得ることができます。定期的に入って来るインカムゲインと比べると、一度にまとめて大きな利益を手にすることができるのです。

リスク別資産運用商品の種類

では、運用する資産とリスク・リターンの大きさについて見ていきましょう。基本的には、リスクが小さければリターン(利益)も小さく、リスクが大きければリターンも大きくなります。大きな利益を得たい方は、その分、ある程度のリスクも抱えなくてはなりません。

ローリスク・ローリターンと考えられる商品

ローリスク・ローリターンの投資商品は、保有することで損失を被ることは滅多にありません。しかし、利益が少ないために、積極的に資産を増やしたいと考えている方には不向きです。

具体的には、定期預金や国内債券などがローリスク・ローリターンの投資商品として挙げられます。いずれも利益を手にすることは可能ですが、利益の割合があまりにも少ないため、少額の投資では資産を大きく増やすことはできません。例えば多くの都市銀行では、定期預金の金利は年0.01%前後に設定されています。1,000万円を預けていても年間の利息はわずか1,000円で、ここからさらに税金が差し引かれますので、実際に手にするのは800円弱のみです。

ミドルリスク・ミドルリターンと考えられる商品

ローリスク・ローリターンの投資商品よりはリスクが高いものの、幾分高い利益が期待できるミドルリスク・ミドルリターンの商品。場合によっては損失を被ることもありますが、負債を抱えることにはなりにくいという特徴もあります。

例えば、株式投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資商品です。1株=1,000円の株式が1株=800円に下落すると、株主は1株につき200円の損失を被ります。しかし、投資した金額以上の損失を被ることはありませんので、そこまでリスクは高くないと言えるのです。株式投資以外にも配当金が保証されていない外国の債券なども、ミドルリスク・ミドルリターンの投資商品です。元本割れするリスクはありますが、価値が0になってさらに損失を抱えるほどのリスクは負いません。

ハイリスク・ハイリターンと考えられる商品

相場が意図した方向に動いたときには多大な利益を期待できるものの、意図した方向とは反対に動いてしまうと大きな損失を被る可能性がある投資商品は、ハイリスク・ハイリターンな商品だと言えます。例えば、レバレッジをかけて投資する商品は、少ない元手で大きな利益を得ることも可能ですが、意図しない方向に相場が動くと大きな損失に繋がります。

ハイリスク・ハイリターンの商品として、レバレッジをかけて投資するFXを挙げることができます。レバレッジを20倍に設定すると100万円の資金で2,000万円の外貨を購入することができますが、損失も20倍になってしまいますので、初期投資資金以上のお金を失うことも珍しくありません。FX以外にも先物取引や信用取引は、元手以上のお金を失うこともあるハイリスク・ハイリターンの投資商品です。

主な資産運用商品12種類の特徴

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証券会社や銀行などで手軽に始めることができる資産運用商品を12種類紹介します。それぞれの特徴とリスクを把握してから、投資を開始して下さい。

定期預金

銀行によっても異なりますが、定期預金は普通預金よりも10倍ほどの高金利に設定されていることが多いです。余剰資金がある場合は、普通預金よりも定期預金にしておきましょう。また、店舗を持たないネット銀行の定期預金は、店舗型の銀行よりも高金利に設定されていることが多いですので、金利にこだわるならいくつかの銀行の金利を比較してから決めましょう。

外貨預金

外貨預金は、通常の利息だけでなく為替による差益も期待できる投資商品です。為替の動きによっては利息を打ち消すほどの損失を被ることもありますが、円安が進むときは利息以上の利益が得られます。

国内国債

日本国内の国債は、最低金利が保証されているため、定期預金感覚で投資することができます。3年・5年・10年の商品があり、最低1万円から気軽に購入できます。

海外債券

海外の国債も、株式などと比べると安定した利益が期待できる資産運用商品です。しかし、国によっては最低金利が保証されていないので、手数料等を考慮すると損失が出てしまう可能性があります。

投資信託

投資信託は、複数の株式や債券をパック商品として購入する資産運用商品です。例えば特定の企業の株式を大量に購入すると、株価が上昇したときには多大な利益を得られますが、反対に株価が下落したときには損失も莫大になってしまいますので、ギャンブル性が高くなります。

しかし、投資信託なら複数の株式や債券を組み合わせて1つの銘柄として購入しますので、万が一、特定の株式が大暴落しても、他の株式や債券の利益で被害を抑えることができるのです。

不動産投資信託(J-REIT)

不動産に投資するためには、数千万円以上のまとまった資金が必要です。しかし、不動産投資信託なら、通常の投資信託と同様、多数の出資者から資金を集めて不動産投資を実施しますので、1万円ほどの少額から投資を始めることができます。不動産投資をしたいけれども多額のリスクを背負いたくない方や、管理や税金などの細々とした手間や費用を省きたい方にも、不動産投資信託(J-REIT)はおすすめです。

国内株式

日本国内の有望企業の株式に投資してみるのもおすすめです。新商品を出したり目立った業績があったりする企業の株式を購入するのも良いのですが、これから上場する企業の新規公開株(IPO)に投資することもおすすめです。実際に予想される株価よりも低い価格で売り出されることがありますので、短期間で高額のキャピタルゲインを得られることもあります。

海外株式

海外の有望企業の株式もおすすめの資産運用方法です。日本国内の株式は100~1,000株単位で購入しなくてはなりませんが、海外の株式はほとんどが1株単位で購入でき、手軽に始めることができます。

不動産投資

不動産を持っている方は、賃貸マンションや貸しビル、駐車場などに土地を活用してみることもおすすめします。現在は超低金利時代ですので、不動産を保有していない方でも低利息で資金を調達することが可能です。

保険・個人年金

生命保険や学資保険などの中には返戻金が100%以上のものもあり、万が一のための保険としてだけでなく、定期預金感覚で利用できることもあります。また、退職後などの特定の期間に定期的な年金を受け取る“個人年金”もおすすめです。退職してから公的年金の受給開始までの時期は収入が著しく減少しますので、個人年金をかけておくことで老後の不安もある程度解消することができます。

より積極的な利益を期待する人は、投資信託や保険などの資産運用商品を自分で選んで掛け金を支払う“iDeCo(イデコ)”もおすすめです。60歳以降に運用した資産を受け取れますので、開始時期によっては長期間の投資も可能です。また、掛け金全額が所得から控除されますので、節税対策にもなります。

FX

少額の資金から投資できるFX。レバレッジをかける分、リスクも大きくなりますが、その分、大きなリターンも見込めます。

先物取引

先物取引は、将来の特定の時点に特定の価格で取引を予約する資産運用方法です。価格が暴落・高騰するリスクを避けられるだけでなく、レバレッジをかけて少額から投資できるというメリットもあります。

資金の目的に応じて資金運用の種類を選択

資産運用の方法は紹介した以外にも多数あります。目的や資金に応じて、もっとも適した種類を選びましょう。

日常の生活費として備える資金

日常の生活費としても使う予定のある資金の中で資産運用をするならば、出し入れ自由な投資方法を選ばなくてはなりません。普通預金やMRFなら、入出金に対して手数料はかかりませんので、気軽に資産運用ができます。

近い将来使う予定がある資金

1~10年以内にまとまった資金が必要な場合は、10年以下で利益を得られる定期預金や個人向け国債がおすすめです。当初の予定よりも早期に出金すると手数料を請求されることがありますのでご注意ください。

しばらく使う予定がなく、将来に備える資金

特に使う予定がない資金をお持ちの場合は、株式や債券、外資預金などの期間を指定せずに備えておくことができる資産運用方法を選びましょう。長期にわたって運用することで、多大な利益を生み出すこともあります。

まとめ

資産運用の種類は数多くあります。目的や期間に合った種類を選び、賢く資産を増やしていきましょう。