収入を増やして生活費の足しにしたい、生活の質を高めて充実させたい、老後の不安に備えたい、など、資産運用を検討する理由は様々です。一方、資産運用の方法は千差万別なので、自分に適した方法を見つけることは難しくなっています。ここでは、代表的な資産運用の方法について、メリットとリスクの両方を含めてご紹介します。資産運用の方法に関する情報を効率よく把握すれば、自分にぴったりの方法を見つけて、効果的に運用できる可能性が高くなります。

資産運用するまでの準備

効果的な資産運用を実施するためには、事前の準備が大切です。

まずは貯金をすることから始めよう

資産運用を始めるためには、資金が必要になります。資産運用のために日々の生活資金を投入した場合、その資金が減ってしまっては、経済的にも精神的にも大きな負担になります。それを回避するために、資産運用は余裕のある資金に基づいて実施することが大切です。家計をやりくりしつつ、毎月、毎年定期的に貯金をして、資産形成を図りましょう。

貯金がない場合は節約から始める

支出が多く、日々の生活が大変で貯金に回せないという場合には、節約して支出を減らせないかを検討します。もっと安くできるはずの余計な固定費を支出していないかなど、月々の出費の内訳を確認してみましょう。保険プランの見直しも有効です。家計簿をつけると、毎月の収支を効率よく把握することができます。どれくらいの収入を資産運用に回せるか、確認しやすくなります。

資産運用のポイントは『長期・分散・積立』

資産運用を効率よく実施するためには、長期・分散・積立の3つのポイントを押さえることが重要です。
以下、それぞれのメリットを見ていきます。

長期間で、安定した投資運用を!

資産を大きく形成するためには、長期間安定した投資運用を実施することが大切です。長期運用のメリットとして、複利効果があります。複利効果とは、資産運用で得た収益を次の投資に回すことで、利息が利息を生むような状態を形成し、最終的に大きな利益を得る効果のことです。大きな複利効果を望むためには、長期間の安定した投資運用が可能な状態が理想的です。

分散投資でリスクヘッジ

投資にはどうしてもリスクが伴いますが、リスクを回避する方法のひとつとして、分散投資があります。分散投資とは、異なる値動きをする金融商品を組み合わせて投資する方法のことです。例えば、株券と債券の関係は、最近の傾向としては、株価が上昇すると債券の価格が下がることが一般的です(株式等のリスク性資産が上昇している際には、いわゆる安全資産と呼ばれる債券が売られて、株式に資金流入する傾向にあるため)。その関係性に着目して、予め両方の金融商品を購入しておけば、大きな変動によるリスクを避けることにつながります。他にも、日本の金融商品だけでなく、外国の株式や債券なども組み合わせる、という分散投資の方法があります。

コツコツ少額から積立しよう

低金利の時代は、金融機関で定期預金をしても、得られる利息は少ないといったケースが多いのではないでしょうか。そのような場合は、毎月の預金の代わりに、積立の形で資産運用にお金を回す方法もあります。毎月1万円などのように、定期的に一定額の積立投資を実施すると、無理なく投資を続けることにつながります。

おすすめの資産運用7

資産運用に必要な準備が把握できたところで、おすすめの資産運用の方法7選をご紹介します。

1)銀行預金

銀行などの金融機関に預金することも、資産運用の1つと考えることができます。通常よく用いられる普通預金や定期預金以外にも、積立に特化した貯蓄預金や積立定期預金などがあります。低金利状態の場合は、預金の金利は0.001%程度など非常に低いことが多くなりますが、WEBを媒体とするネット銀行などでは、比較的高い金利のものが見つかる場合もあります。

銀行預金リスク

銀行預金は、運用によるリスクはほぼなく、銀行自体が破綻する可能性がリスクにあたります。また、すぐに引き出すことができる預金方法の場合は、ふとしたきっかけで、せっかくそれまで貯めてきた財産を消費してしまうリスクがあります。

銀行預金のメリット

銀行預金は、運用の失敗によって元本が目減りすることはほぼありません。金利は低いのが一般的ですが、確実に貯蓄を増やしていける点が魅力です。また、金融機関が破綻した場合のペイオフによる元本保証によって、1,000万円までの元本と利息は保証されることも特徴です。

2iDeCo(確定拠出年金)

iDeCoは、個人型確定拠出年金の別名です。60歳までの間に毎月一定の掛け金を払い込み、それを元手として投資信託や定期預金などの金融商品を運用し、60歳に達した以降に運用した資産を受け取る仕組みです。定年退職後の生活について、公的年金だけでは不安を感じる場合に、自分自身の力で老後の資金を用意するために便利な資産運用方法です。

iDeCoのリスク

iDeCoのリスクは、60歳に達するまでは運用した資産を引き出せないことです。途中解約も原則として認められていません。iDeCoによる資産運用を考える場合は、老後の資金のためにきちんと運用する、という覚悟が必要になります。

iDeCoのメリット

手頃な掛け金から手軽に始められるのが、iDeCoのメリットです。毎月5000円の掛け金からコツコツ積み立てることで、老後の資金に備えることができます。同じように金融商品を運用する一般的な投資信託では、得られた利益に税金が課されるのが通常です。一方iDeCoでは、運用期間の間に得られた利益について、税金が課されないことが大きなメリットになります。

3)個人向け国債

国債とは、国庫債券の略称です。国が資金調達するための手段の1つとして、投資を募って発行する債権です。国が破綻しない限り、元本割れのリスクがないのがポイントです。個人向け国債は、個人投資家のみが購入することができる国債です。機関投資家が購入できる他の国債の場合は、満期まで保有する必要があるのが通常ですが、個人向け国債は、途中解約が認められるなどの特徴があります。

個人向け国債のリスク

国債は、購入手続きを行った後は基本的に保有するだけですが、投資方法の中では利回りが低い部類に入ります。個人向け国債は途中解約が可能ですが、それでも1年間程度は解約ができないのが通常です。また、途中解約の場合は通常とは異なる計算方法が適用され、思ったよりも利子がつかない場合があります。

個人向け国債のメリット

国家が元本保証をして発行する債権であることから、発行体が破綻するリスクが低く、比較的安全に運用できる金融商品になっています。不動産投資などの投資方法は、ある程度まとまった資金が必要ですが、個人向け国債は1万円単位で購入できるため、比較的少額の元手から投資を始めることができます。

4)株式投資

株式は、企業が活動するために必要な資金を調達する目的で発行されるものです。株式を購入した場合、その企業の株主になります。株式投資で利益を出す方法は大きく分けて2つあります。1つは、企業の利益を配当金として受け取る方法と、株式を売却して利益を出す方法です。

株式投資のリスク

どの株式を購入すればよいかを判断するためには、売上高、財務体質、株価収益率など、様々な情報を把握する必要があります。その他、業界や政治の動向も株価に影響を与えるため、経済関連のニュースを確認することも重要になります。このように、株式投資は判断のために確認すべきことが多くあるため、投資に慣れていない初心者には比較的ハードルが高くなっています。

株式投資のメリット

株式投資は、手持ちの株式を売却することで利益を期待できるのがメリットです。証券取引所に上場している株式は、買い注文と売り注文によって取引が行なわれることで、価格が変動します。株価が変動する仕組みを利用して、取得したときよりも価格が上昇しているタイミングで株式を売却することで、差額を利益にすることができます。

5)投資信託

投資信託は、ひとりひとりの投資家から募った資金をまとめて、投資の専門家に運用を任せる資産運用方法です。投資家は、株式、債券、不動産などへの投資を行います。判断や取引をプロに任せることができるので、投資の初心者でも安心して始めやすくなっています。

投資信託のリスク

投資信託には元本保証がないため、投下した資金が戻ってくる保証はありません。また、投資のプロとはいえ、失敗する可能性もあるので、資金が減少してしまう場合もあります。投資信託は複数の株式や債券に投資を行いますが、国内外の景気や政治経済が悪化すれば、その影響を受けて投資信託で取り扱う金融商品の価値も下がる場合があります。

投資信託のメリット

株式や債券などの投資を行う場合、個人の力だけで必要な知識や手法を身につけることは難易度が高くなっています。投資信託は、経済や金融などに関する知識を身につけた投資の専門家が素人に代わって運用を行うので、初心者でも効率よく資産を運用できる可能性が高くなっています。また、個人では購入しにくい海外の株式や債券など、特殊な金融商品を対象に投資を実施することも可能になっています。

6)貴金属投資

貴金属投資とは、金、プラチナ、銀などの貴金属を購入して保有する、資産運用方法です。株式や債券と異なり、実際に物として存在する現物に対して投資を行うのが特徴です。それぞれの貴金属には特徴があります。貴金属の中でも安定した傾向にある金、金よりも希少価値が高いが価値が変動しやすいプラチナ、安価で入手しやすいが価値が大きく変動しやすい銀、などです。

貴金属投資のリスク

貴金属は現物として存在することに価値があるため、万が一の紛失や盗難の恐れもあります。そうしたリスクを回避するためには、安全に保管する方法を見つける、株のように購入できるのが特徴の、上場投資信託を利用する、などの対策が重要です。また、貴金属は銀行預金や株式などと異なり、保有しているだけでは利息や配当金による利益を得ることができません。

貴金属投資のメリット

貴金属は現物に価値があるため、貨幣よりも景気の影響を受けにくいという特徴があります。資産運用の方法としてだけでなく、世界的なインフレなど、いざというときのリスクに備えるための手段としても活用できます。また、現物を自分で保有している場合は、証券会社や銀行の倒産などのリスクを心配する必要がありません。

7)不動産投資

不動産投資とは、マンションの1室、アパート1棟、1軒家などの不動産物件を購入し、それを貸し出すことで家賃収入によって利益を得る資産運用方法です。資産運用方法の中ではかなりの元手が必要な部類に入りますが、ローンを組んで物件を購入し、月々の賃料からローンを支払う方法があります。

不動産投資のリスク

入居者がいなければ賃貸の収入は入ってこないので、長く空室が続けば長期間収入を得られない可能性があります。ローンを組んで物件を購入した場合は、ローンの負担も問題になります。年月の経過によって不動産物件は老朽化していきます。老朽化によって、入居者を見つけにくくなる、建物の資産価値が下がる、修繕に費用がかかる、などのリスクが発生します。

不動産投資のメリット

不動産物権の賃貸は年単位で契約を結ぶことが一般的なので、入居者さえ見つければ、長期的に安定した収入を得られやすくなっています。資産として不動産物件を所有できる、公的年金を補う収入源になる、節税効果を望める、相続税対策になる、などの複数のメリットが望めます。

個人的なおすすめ

資産運用方法の個人的なおすすめは、投資信託です。投資の運用は専門知識を有するプロが行うため、知識や経験のない初心者でも、時間をかけずに効果的に運用できる可能性が高くなっています。空いた時間に投資に関する知識を深め、投資信託によって得られた利益を他の投資方法に回すことで、将来的には自分の力で資産を運用することも可能になります。

まとめ

おすすめの資産運用方法をご紹介しました。比較的リスクの低い銀行預金や個人向け国債、知識や経験によって大きな利益を得られる可能性が高まる株式投資や不動産投資、初心者でも運用しやすい投資信託、などがあります。それぞれの投資方法には異なるメリットとリスクがあります。長所と短所の両方を把握して、自分の能力や性質にあった方法を選択すれば、楽しみながら資産運用を成功させる可能性が高まります。