資産管理は、自分がどれだけの資産を取得してきたのかと、将来にどれだけの資産が必要なのかを管理するものです。一方、家計簿は、家計における収入と支出の流れを記録するものです。生活するうえでのお金の流れを把握することで、自分の資産の無駄な消費を防ぐことができます。資産管理を長期的な計画とすると、家計簿は計画を実行するための実用的な手段である、と考えることができます。ここでは、効率的な資産管理を実現するために、家計簿をつけるメリットや、資産管理にお勧めの便利なアプリについてご紹介いたします。

そもそも家計簿をつけるメリットって何?

家計簿をつけるメリットを見ていきます。

支出と収入を把握できる

家計簿をつけることで、それまでは漠然としていた家計の支出と収入を把握することができます。お金の流れの見える化です。毎月の支出と収入の流れを知ることで、使いすぎの支出がある、収入をもう少し増やすべき、などのポイントに気付くことができます。さらに長い間家計簿をつけ続ければ、年ごとの変化を把握することも可能です。

節約の意識付けができる

家計簿をつけると、その月にどの程度出費しているかが分かるようになります。通常よりも出費のペースが速いと気づけば、その時点で抑制することが可能になります。また、何にどの程度出費しているかを知ることで、無駄に気づいて節約の意識を持てるようになります。例えば、「コンビニで買い物をしすぎている」ということが分かれば、週末に商品をまとめ買いするなどの工夫もしやすくなります。

明確な目標や予算が立てられる

家計簿をつけることで数字が明確になり、家計における月や年ごとの目標や予算が立てられるようになります。一方、家計簿をつけていない場合は、どうしても漠然とした目標や予算になってしまうので、無理があったり、逆にゆとりのありすぎたりする計画を立ててしまう可能性があります。家計簿を基準にすることで、実態にあった明確な目標を設定することが可能になります。

家計簿をつけられない、続かない理由は何?

家計簿をつけることがなかなか続かないという方もいらっしゃるでしょう。その要因を探っていきます。

1.記録が面倒・時間がない

家計簿をつけることが続かない理由の1つは、時間がなくて記録をつけるのが面倒になることです。特に、それまで毎日つけていたのに1日空けてしまうと、そのうち億劫になって家計簿をつけること自体をやめてしまいがちです。毎日無理をして家計簿をつけるのではなく、比較的時間のある週末などにまとめて記録するなどの工夫をしてみましょう。

2.細かくつけようとしてしまって失敗

市販の家計簿などは、正しい記録のつけ方が定められています。それにきちんと従おうとすると、忙しい日などについ面倒になって、途中で挫折してしまいがちです。家計簿の目的は、あくまで「自分で家計を把握すること」なので、つけ方をアレンジすることも可能です。ルールに囚われすぎずに、気楽に取り組むのがコツです。

3.分類や付け方がわからない

家計簿をつける場合、項目を細かく分類するのが一般的です。項目としては、食費 、水道光熱費、日用品、交通費、教育費、医療費、交際費、などがあります。項目を細分化することは、無駄な出費を見つけやすくなるなどのメリットがある反面、複雑になりすぎると、面倒になり挫折の原因になります。できるだけシンプルな項目の家計簿を使用すると便利です。

4.モチベーションが続かない

また、記録し続けるためのモチベーションが続かないことも理由の1つにあげられます。何のために家計簿をつけるのか、という目的の部分がぼやけていると、やる気を継続させることが難しくなります。家計簿を始める前に、「毎月の出費を2万円減らす」などの目標を明確に設定しておくと、モチベーションの維持に効果的です。

資産管理アプリを選ぶときに絶対に外せない3つのポイント

効率よく資産管理を行うためには、アプリを活用すると便利です。ここでは、アプリを選ぶ際に重要なポイント3つをご紹介します。

証券会社、取引所などの金融機関との連携機能

最初のポイントは、証券会社や取引所などの金融機関との連携機能を備えていることです。連携機能があれば、情報をいちいち手動で入力しなくても、アプリがグラフなどで自動で表示してくれます。アプリによって連携している金融機関が異なる場合があるので、自分がよく使う証券会社などが対応しているか、事前にチェックしておくことが大切です。

セキュリティ対策がしっかり行われているか

次のポイントは、セキュリティ対策がしっかり実施されていることです。資産管理用のアプリには、個人情報や口座情報など、重要な情報が数多く登録されています。情報漏えいやハッキングなどの被害を防止するためには、万全のセキュリティ対策が重要です。セキュリティ対策の項目としては、データの暗号化や第三者機関からの認証システムなどがポイントになります。

操作が簡単・わかりやすい

最後のポイントは、操作が簡単でわかりやすいことです。そもそも、資産管理は資産の流れをわかりやすく把握するために導入するものです。複雑な操作やわかりにくいシステムでは、本末転倒になってしまいます。わかりやすさに関連するポイントとして、問い合わせなどのユーザーサポートがしっかりしていることも重要です。アプリはアップデートによって強化され、新しい機能も追加されるため、充実したサポート体制は大きなポイントになります。

資産運用の情報収集ができるニュースアプリ

資産運用のためには、投資に関する情報を効率よく収集できるニュースアプリが重要です。

日本経済新聞電子版

新聞の朝刊や夕刊の掲載記事に加えて、電子版のオリジナル記事も提供されているニュースアプリです。経済ニュースの解説、市場に関連する速報、最新の専門情報など、約900本の豊富な情報が毎日配信されるのが特徴です。自分が気になるジャンルを選択すれば、毎日更新される豊富な記事の中から、アプリが自動で記事を収集してくれる機能もあります。

【出典】日経電子版:https://www.nikkei.com/

Yahoo!ファイナンス

ブラウザ上で展開されている金融情報サービスを、様々な表示方法や通知設定によって、より分かりやすくチェックすることができるアプリです。ドルやユーロを始めとする各国の為替情報や、気になる銘柄のチェックなどを手軽に行うことができます。複数の金融取引口座の情報を一元管理する機能も備えているので、資産運用に直接活用することもできます。

【出典】Yahoo!ファイナンスhttps://finance.yahoo.co.jp/

NewsPicks

経済に関する情報に特化したニュースを提供しているアプリです。国内外の90以上のメディアと提携しており、ビジネスやマーケットなど、経済関連のコアなニュースを数多く閲覧することができます。最大の特徴は、各ニュースに対して経済の専門家や著名人が解説コメントを提供していることです。解説付きで記事を読むことで、より深い理解や新しい視点を得ることに繋がります。

【出典】NewsPickshttps://newspicks.com/

世界の株価

グローバル市場の動きを短時間でチェックすることができるアプリです。個別の銘柄の値動きをチェックするのでなく、世界市場の動きを把握することに重点を置いているのが特徴です。日本の市場は世界と繋がっているため、グローバル市場の動きを素早くチェックすることは重要な作業になります。

【出典】世界の株価http://sekai-kabuka.com/

自動で資産運用をしてくれるアプリ

自動で資産運用を実施してくれる、便利なアプリをご紹介します。

ウェルスナビ

人工知能を活用して、資産運用を自動で行なってくれるアプリです。人間が自分の判断で投資先を選定することは、様々な知識や経験が要求されるだけでなく、時には心理的な状況に左右されて判断を誤ってしまうこともあります。そのような従来の課題に対して、人口知能に運用判断を任せることで、より効果的な資産形成をサポートする仕組みになっているのが特徴です。

【出典】ウェルスナビhttps://www.wealthnavi.com/

マメタス

上記でご紹介したウェルスナビの人口知能を活用して自動で資産運用をしてくれるアプリです。普段の買い物で生じる「お釣り」を元手にして資産運用をする、ユニークなサービスを展開しているアプリです。生活の中で生じる少額のお金で気軽に投資を始めることができるので、資産運用が初めてでも気軽に始められるサービスになっています。

【出典】マメタスhttps://www.wealthnavi.com/mametas

THEO(テオ)

口座開設を申し込んだ後、ユーザーに適した資産運用方針を自動で設定してくれるのが特徴のアプリです。その後のユーザー情報の変更や市場の変化に応じて、資産運用方針は自動的に最適化されます。資産運用方針が決まった後は、ユーザーに代わってアプリが買付けを実施し、運用の結果を毎月の報告書で報告してくれます。

【出典】THEO(テオ)https://theo.blue/

トラノコ

毎日のお買い物のおつりを、世界中の資産に自動で運用してくれるアプリです。口座開設、投資金額の設定、ファンドの選択、の3つのステップだけで気軽に運用を始めることができます。投資先となるファンドの選択は、安定重視、バランス重視、リターン重視の3種類に分かれています。ユーザーが判断する要素が少ないため、初心者が投資の感覚をつかむのに適したアプリになっています。

【出典】トラノコhttps://toranoko.com/

各証券会社の公式アプリ

各証券会社が提供する公式アプリをご紹介します。

SBI証券のHYPER 株アプリ

オンラインの証券会社が提供しているアプリです。株式チャートや銘柄の情報を確認するだけでなく、実際に投資を行うこともできます。チャートのチェック機能が充実しているのが特徴の1つです。チャートは1銘柄につき、1分から月ごとまで細かく設定できるほか、比較チャートも装備されています。

【出典】SBI証券https://www.sbisec.co.jp/ETGate

野村證券の野村株アプリ

株価、マーケット情報、関連する経済ニュースなど、様々な情報を1つのアプリで確認できるのが特徴です。資産運用に役立つだけでなく、株取引の勉強にも有用です。株取引はタイミングが非常に重要になるため、銘柄と株価を登録すると、設定した価格になった時にアラートで知らせてくれる、株価アラート機能が便利です。

【出典】野村證券http://www.nomura.co.jp/service/web/mobile/kabuapli/

松井証券の株touch

国内の株式に加えて、先物やオプションなどの取引にも対応しているアプリです。国内株においては、当日が返済期限となっている、「一日信用取引」の制度にも対応しているのが特徴です。NYダウやNASDAQなどのメジャーな指数だけでなく、ドイツのDAXやブラジルのボベスパなど、豊富な海外指数に対応しているのが魅力です。

【出典】松井証券https://www.matsui.co.jp/tool/sp/kabutouch/

少額株式投資ができるOne Tap Buy

米国株の取引を得意とするアプリです。1株単位で買うとまとまった資金が必要になるのが一般的ですが、1000円単位で購入できるのが魅力です。複雑な分析機能がないかわりに、資産や利益の変動推移などをわかりやすく視覚的に確認できるため、初心者にも使いやすいアプリになっています。

出典One Tap Buyhttps://www.onetapbuy.co.jp/

資産管理ができるアプリ

最後に、資産管理に便利なアプリをご紹介します。

マネーフォワード

複数の口座の残高を一括管理して、家計簿を自動で作成してくれる便利なアプリです。銀行の入出金やクレジットカード履歴をもとに、食費などのカテゴリーに自動で分類して、オリジナルの家計簿を作成してくれます。レシートをスマートフォンで撮影するだけで、レシートの内容を認識して家計簿に反映する機能も搭載されています。

【出典】マネーフォワードhttps://moneyforward.com/

Moneytree

口座、クレジットカード、電子マネー、ポイントカードなどの様々な情報を登録することで、収支の状況を素早く確認することができるアプリです。2600以上の主要なサービスに対応しています。通知機能に優れているのも特徴の1つです。給料の振込み、クレジットカード支払い、残高低下、ポイントの有効期限など、様々な情報をプッシュ通知やメール通知でアラートしてくれます。

【出典】Moneytreehttps://moneytree.jp/

じぶん銀行スマートフォンアプリ

外貨預金を利用している場合に便利なアプリです。換算額の推移が時系列で表示されるので、損益の程度を短時間で把握することができます。先々の取引予定を確認できる機能も搭載されています。口座引落としの予定、ローンの返済予定、定期預金の満期などのスケジュールを通知してくれます。

【出典】じぶん銀行https://www.jibunbank.co.jp/service/jibun_app/

SBI証券のMoney Look

複数の金融機関の口座を一括で管理することができるアプリです。1つのアカウントで、銀行や証券などの口座情報をワンクリックで照会することが可能です。銀行の残高を照会するだけでなく、クレジットカードの引き落とし金額と日付も表示されるので、延滞の危険性を減らす事にも役立ちます。

【出典】Money Lookhttps://www.moneylook.jp/

日本最大級750万人が利用するザイム

オーソドックスな画面と分かりやすい操作が魅力のアプリです。資産管理だけでなく、日々の収支の管理や分析など、様々な機能を利用できるのが特徴です。優れた読み取り機能によって、カメラでレシートを撮影するだけで、品物、金額、店舗などの情報をアプリに反映させることができます。

【出典】Zaimhttps://zaim.net/

まとめ

自分の資産を効率よく管理するためには、長期的な計画となる資産管理だけでなく、日常のお金の流れを把握することができる家計簿をつけることが有効です。資産管理と家計簿を手動で行うことは困難ですが、優れたアプリを活用することで、両方を効率よく実施することが可能になります。情報収集に優れたアプリや、資産を自動で運用してくれるものなど、様々な特徴があるので、ニーズに合わせて選択することができます。