インターネットを利用すれば、自宅に居ながらにして不動産取引価格を知ることができます。不動産取引価格が瞬時に分かる便利サイトを紹介し、今後の不動産価格の見通しについて解説します。

不動産の取引価格が分かる土地総合情報システム

国土交通省が提供している“土地総合情報システム”を利用すると、不動産取引価格を手軽に調べることができます。土地総合情報システムの利用法と土地総合情報システムでできることについて探っていきましょう。

土地総合情報システムとは?

“土地総合情報システム”には、不動産の取引価格や地価公示、都道府県地価調査価格についての情報がすべてまとめられています。国土交通省が提供しているサイトであるため特定の不動産会社に偏った情報ではないという点と、約310万件という膨大なデータを活用できるという点が土地総合情報システムの特筆すべき強みです。

しかも、この土地総合情報システムは、不動産業者などの特別な資格を保有していない一般個人でも利用できます。また、登録料や利用料も不要ですので、気になったときに気になる場所や物件だけをチェックすることも可能です。不動産業者のスタッフや個人から1ヶ月に平均760万回チェックされている人気サイトでもあるのです。

住宅や土地の”実際に売買された価格”が確認できる

各不動産会社のサイトで公開されているのは、不動産会社が希望する“売価”です。実際に取引が成立した値段については公表されていませんので、単に不動産会社のサイトを見ているだけでは売買取引の本当のところを知ることができません。

しかし、土地総合情報システムで公開されているのは、“実際に売買された価格”です。つまり、土地総合情報システムを使えば、不動産業者が希望する価格ではなく、本当の取引価格を知ることができるのです。本当の売買価格を知れば、「どのくらいの予算でこの地域に不動産を購入できるのか」ということや「この地域の不動産は今が購入・売却に適した時期か」ということを具体的に理解することができます。

土地総合情報システムでできる3つのこと

不動産の実際の取引価格を、一般個人はどのように活用することができるのでしょうか。土地総合情報システムの具体的な活用方法を3つ紹介します。

システムその1:予算内でどんな家が買えそうか調べる

例えば家を買うための予算が5,000万円のとき。住みたい地域の手頃な広さの物件がすべて6,000万円以上なら、地域か広さかいずれかを見直さなくてはいけませんよね。しかし、不動産会社が希望している取引価格は6,000万円でも、実際に取引が行われているのは5,000万円前後という可能性があります。土地総合情報システムを使えば実際の取引価格が分かりますので、予算内でどのような地域でどのような広さの家が買えるのか、より具体的に知ることができるのです。

また、調べたい地域を選ぶだけでなく、土地や建物付きの宅地、中古マンション等、物件の種類も選べますので、より詳細な検索ができることも特徴です。希望する価格の物件が見つからない場合は、地域を拡大して検索してみましょう。

システムその2:自分の家や土地がいくらで売れそうか参考にする

保有する不動産の売却を検討しているときも、土地総合情報システムを活用できます。310万件ものデータが収録されていますので、お持ちの土地や建物と似た条件の不動産情報を探し、その売買価格から、おおよその売却価格を予想することができます。不動産業者に依頼する前に売却価格を知っておけば、次の不動産取得のための計画も立てやすくなるでしょう。

なお、土地総合情報システムでは、取引時期を変えて検索することもできます。過去の取引価格を知ることで、今後の価格推移や今が売りどきなのかどうかを予測することも可能です。手放すタイミングに迷ったときも、土地総合情報システムを活用しましょう。

システムその3:地図を表示して物件が多いエリアを探す

土地総合情報システムでは、地図からでも不動産情報を引き出せる仕組みになっていますので、不動産売買が活発に実施されているエリアを調べることができます。不動産売買が活発に実施されているエリアは不動産投資に適したエリアとも言えますので、流動性が高い物件を探している人はチェックしておくべきでしょう。

不動産価格が下がらない『5つの理由』

不動産価格は今後も大きく下がることはないと予想されます。不動産価格が下がらない根拠として次の5つの点を挙げることができるでしょう。

理由その1:民泊の賃料が上昇する

民泊新法が成立し、合法的に民泊ビジネスを実施できる時代になりました。今後もますます日本への旅行者は増えると考えられており、民泊へのニーズも高まり、同時に民泊の賃料の上昇も予想されています。民泊の賃料に直結する不動産価格も上昇すると見ることができるでしょう。

理由その2:金融緩和は今後も継続する

日銀では長らく金融緩和政策を続けています。金融緩和によって市場に出回るお金が増えると金利は下がりますので、不動産を購入しやすい(=銀行等から低金利で融資が受けられる)状況が続いています。不動産が購入しやすくなると、当然ですが不動産購入に対するニーズが高まり、不動産の価格は高くなります。

金融緩和政策は今後も続くとされていますので、低金利時代が続き、不動産価格は高くなります。つまり、不動産を保有している方にとっては、価格低下のリスクも低くなるということを意味するのです。

理由その3:都市部の人口増加

日本では、都市部への人口集中は続いています。そのため、都市部の不動産価格は今後も上昇し続けることが予想されます。一方、過疎部は一層の過疎化が予想されるため、リゾート化の計画などがない限り、不動産価格も右肩下がりになる可能性は否めません。

理由その4:世界的に見ると東京は安い

世界に誇る大都市・東京ですが、不動産価格だけを見ると、ニューヨークやロサンゼルス、香港、ロンドンといった世界の他の大都市と比べてかなり低い水準です。物価水準の国家間の差がなくなってきていることを考えると、不動産価格も世界水準に合わせて上昇することが予想されます。

理由その5:高齢者の節税対策

日本の個人資産の大半は、高齢者が保有していると言われています。しかし、高齢者もいつまでも資産を保有し続けることは不可能ですので、折を見て、相続について考えなければいけません。

そこで重要になるのが相続税対策です。金融資産を相続するときは金額に対して10~55%の相続税がかかりますが、不動産として相続するときは、土地に対しては公示価格の70%に対してのみ相続税が発生しますので、金融資産と比べて大幅に相続税を削減することができます。そのため、今後も、相続税対策のために現金を不動産に換える高齢者が増えると予想され、不動産に対するニーズは上昇し、不動産価格も上がることはあっても下がることはないと言えるのです。

不動産価格”だけ”が上昇している3つの理由

日本では、物価も給料もここ数年大きく伸びてはいません。しかし、不動産価格だけは、年々上昇を続けています。不動産価格が上昇し続ける理由としては、次の3つが考えられます。

理由その1:低金利

金融緩和政策により、低金利状態が続いています。銀行に資産を預けてもほとんど利子がつきませんので、資産を増やしたいのなら預貯金ではなく不動産投資などを積極的に行う必要があります。

低金利のときは預貯金で資産を増やすことは困難ですが、借りるにはベストのタイミングと言えます。低金利を活かして不動産を購入し、資産運用する個人投資家が増えるにつれ、不動産価格も上昇し続けているのです。

理由その2:需要と供給

あるお菓子が爆発的人気を得たからといって、価格が突然高くなってしまうことはありません。大抵のお菓子は工場で生産されますので、生産量を増やせば上昇するニーズに対応することができるからです。しかし、すでに製造を終了した限定もののスニーカーが爆発的な人気を得たときは、どうなるでしょうか?限定ものですから新たに製造することはできませんので、スニーカーの価値は上昇し、流通価格が一気に高くなると予想されます。

土地も同じです。人気が出たからといって、ニーズがあるからといって、土地自体を増やすことは不可能です。「ここの土地を買いたい!」と希望する人が増えれば、その分、その土地の価格は高くなりますし、周囲の価格もそれに合わせて高くなる可能性があります。数が増やせない不動産だからこそ、価格が急激に下がらず、人気によっては上昇し続けることもあるのです。

理由その3:建築費の高騰

現在、人材不足と建築材料の高騰により、建築費が軒並み上昇しています。そのため、土地は所有していても家を建てられないケースも少なくなく、賃貸住宅に対するニーズが高まっています。人気のエリアでは賃貸物件の数が慢性的に不足していますので、少々駅から遠い物件や築年数が10年以上の物件でも満室になることも珍しくありません。

また、建築費と土地価格の高騰により、家賃相場も徐々に高くなってきています。すでに収益用物件を所有している人にとっては、同じ物件でも今までよりも収益増(低金利+家賃増)が見込める状態になっているのです。

まとめ

低金利と不動産へのニーズ増、家賃増等、不動産投資に有利な状況が揃っている現在。不動産投資を活用して資産運用をするには絶好のタイミングと言えます。不動産投資は管理会社や不動産会社の力を借りれば、会社員などの本業がある人でも充分に実施できる投資方法ですので、本業が忙しい方もぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

監修:小林 弘司(不動産コンサルタント)