J-REITは、投資家から集めた資金を、国内の賃貸不動産に投資し、賃料から経費を引いた残りを投資家に配当するタイプの不動産投資信託です。上場されていますので、需給状況によって時価は変動します。J-REITは数十種類の銘柄が上場されていて、それぞれ特徴が違います。J-REITの物件や配当の特徴と今後の見通しについてご紹介します。
☆オフィス系と商業系物件で異なる銘柄
J-REITの投資対象となる賃貸不動産は多岐にわたります。賃貸オフィスビルに投資する場合もあれば、賃貸マンションを購入することもあります。また、ホテルやショッピングセンター、賃貸倉庫などを投資対象にする場合もあります。上場不動産投資信託は銘柄ごとに投資対象が違います。
オフィスだけ、マンションだけに投資する銘柄もあれば、投資対象がミックスされている投資信託もあるのです。オフィスの場合は、利回りが高くなる反面、空室リスクも高くなるデメリットもありますが、多くの物件に投資することによって平準化されます。
ファミリーマンションに投資するタイプの物件は比較的空室リスクが低いという特徴があります。
それぞれの特徴を理解した上で、自分の投資目的に合った銘柄を選択することが大切です。
また、J-REITの銘柄は、投資対象地域にも特徴があります。自分が直接不動産を所有するわけではありませんが、災害等があると物件がダメージを受けて配当金が少なくなるリスクはあります。そのため、地域分散を考えて銘柄選びをすることも重要でしょう。
☆J-REITの配当性向は海外と比べてどうなっている?
続いて、配当に関するJ-REITの特徴をご紹介します。
配当については、2つの切り口があり、1つは配当性向、もう1つは配当利回りです。特に、配当性向については大きな特徴があります。
配当性向とは、投資法人が生み出した利益のうち何割を配当に回すのかを表す指標です。
J-REITの特徴は、この配当性向がほぼ100%であることです。
投資法人が生み出した利益には、株式会社の利益と同様に法人税が課税されます。
しかし、J-REITの場合は、配当の支払いは損金計上が認められているのです。そのため、利益のすべてを配当してしまえば法人税の課税所得はゼロになり、実質的に法人税は課税されません。
海外のREITは、それぞれの国によって税制が違いますので一概に言えませんが、日本のJ-REITは最高レベルの配当性向であることを知っておくといいでしょう。
もう1つの配当利回りは、1口当たりの年間配当金を投資口の価格で割った率で、投資金額に対して何%のリターンがあるかがわかる指標です。定期的に入ってくる賃料から生まれる利益が配当の原資になりますので、株式の配当利回りと比較すると高めであるという特徴があります。
☆今後の国内不動産市況の見通しと投資スタイル
最後は、今後の不動産市場の見通しと投資スタイルについてです。
今後の不動産市況に影響を与える要素としては、金利動向や物価動向が挙げられます。
日銀の金融緩和政策、特にマイナス金利政策によって、長期金利まで含めた金利水準は低下傾向にあります。上場されている投資法人は、どの銘柄も投資家から集めた資金以外に借入金によって物件投資資金を調達しています。
そのため、金利が低下すると支払利息が減少し、利益が増加することが予想されます。つまり、金利が低水準で推移すると予想される現状は、J-REITにとって追い風の環境だといえるでしょう。
また、地価も上昇傾向にあります。
年に一度公表される公示価格は下げ止まり上昇傾向が見えてきました。これは、土地の需要が大きくなってきて不動産市況が改善していることを意味していると考えられます。その点を考えても、J-REITの投資環境は悪くないといえます。今後は、J-REITに対する投資割合を引き上げる投資スタイルをとることも有効な選択肢だと思われます。
【記事筆者】
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