住宅ローンの借り入れを検討する際に、普段から取引のある銀行からよほど有利な条件を提示されない限り、2つあるいは3つほどの金融機関の提案を比較してから、契約する住宅ローンを決定するのではないでしょうか。住宅ローンのプランによっては支払い総額が数十万円~数百万円変わるため、「どの住宅ローンを選ぶか?」という問題は熟慮すべき問題だと言えます。住宅ローンを比較する際のチェックポイントをまとめましたので、後悔のない選択にぜひ役立てて下さい。

住宅ローンを比較する際の5つのポイント

住宅ローンを比較するとき、単に金利だけに注目していませんか?もちろん金利も大切な要素ですが、金利だけに注目していると間違ったプランを選択してしまうこともあります。住宅ローンを比較する上で絶対にチェックすべき5つのポイントを紹介します。

金利はどれくらいか

金利は、かならずチェックすべきポイントです。また、契約直後の金利だけでなく、返済中にどの程度の範囲内で金利が動くのか、万が一、返済が遅れてしまったときの遅延損害金利率についてもチェックしておきましょう。

固定なのか、変動か、固定金利期間選択なのか

「年利率1.5%の住宅ローン」と言っても、返済期間を通してずっと年利率1.5%で利息が発生するわけではありあせん。“固定金利型”の住宅ローンなら返済期間中の借入利率は一定ですが、“変動金利型”であれば、定期的(一般的には年2回)に適用利率が見直され、ローン開始当初よりも高い利率が適用されてしまうこともあるのです。

また、最初にの決められた期間(2~30)年だけ固定金利で、その後は変動金利または再度期間等を設定した固定金利が適用される“固定金利期間選択型”の住宅ローンもあります。融資担当者の話をしっかりと聞き、ベストの住宅ローンタイプを選択しましょう。

ローン提案時に返済総額を計算できるのは“固定金利型”だけ

ローン提案時には、金利だけでなく返済期間や返済総額の数字も提示されますが、正確な返済総額を計算できるのは“固定金利型”のみです。“変動金利型”や“固定金利期間型”のローンタイプの提案書に記されている返済総額の数字は、あくまでも予定額という点を忘れないようにしておきましょう。

返済期間は最長何年か

返済期間が何年なのかもチェックしておきましょう。例えば、借入利率が高くても、返済期間が短いなら低金利の住宅ローンよりも返済総額が少なくなる可能性があります。また、返済期間を変動できるローンプランを提示されることもありますが、最長何年まで返済期間を延長できるのかについても確認しておきましょう。

金利だけでなく諸費用も加味して考える

金利が低くても諸費用が高いなら、結局、金融機関への支払い総額は大きくなってしまいます。ローン保証料や融資手数料、登記手数料などは金融機関ごとに異なりますので、いくら金利が低いローンを選択したとしても諸費用が高くなり、お得ではなくなってしまう場合があります。

ローンの見積もりを出してもらうときに、諸費用の細目ごとの価格も出してもらえますので、かならず総和がいくらなのか確認するようにしてください。

繰り上げ返済の費用にも注目!

余裕があるときは繰り上げ返済を実施して、借入残高を減らします。繰り上げ返済を実施すると、返済期間を予定よりも短縮して早期完済を目指すことも、月々の返済額を減らして毎月の返済にゆとりを持たせることもできますね。

しかし、金融機関によっては、繰り上げ返済時に手数料がかかる場合、変動金利か固定金利かによって手数料が異なる場合があります。繰り上げ返済を実施したいと考えている人は、かならず繰り上げ返済の手数料についても確認しておくようにしてください。

一括返済と部分返済によって手数料が変わる

繰り上げ返済には、残債を一括で返済する“一括返済”と一部だけを返済する“部分返済”の2つの種類があります。金融機関によっては、部分返済は手数料不要でできても一括返済には手数料が請求されたり、部分返済と一括返済とで手数料が異なったりすることもあります。かならずどちらの返済手数料についても、事前にチェックしておくようにしましょう。

金利だけに注目をすると損することもある

住宅ローンを比較するときは、金利だけでなく返済期間や諸費用、金利タイプ、繰り上げ返済の手数料をかならず確認しておかなくてはなりません。しかし、住宅ローンを比較するときには、他にも知っておくべきことがいくつかあります。

住宅ローン控除を使えば税金が戻ってくる

“住宅ローン控除”を利用すると、年に最大40万円、最長10年間で400万円の所得税が還付されることになります。(長期優良住宅、認定低炭素住宅の場合は最大50万、最長10年間で500万円(※))所得税で還付しきれないときは住民税の一部が還付されますので、住宅ローン支払い中の家計には助かることでしょう。

なお、住宅ローン控除は新築物件だけでなく特定の中古物件(耐火建築物は取得時点で築25年以下であること、耐火建築物以外は取得時点で築20年以下であること等の条件があります)にも適用されます。

※居住の用に供した年:2014年1月1日~2021年12月31日まで(2018年5月末時点)

団体信用生命保険の加入費用は?

ローン返済中に契約者が死亡あるいは高度障害状態になったときに、以後の返済が免除されつつ住宅の所有権は契約者のものになる“団体信用生命保険(団信)”。住宅ローンを組むときは、金融機関側から団体信用生命保険に加入することを条件として提示されることがあります。何十年ものローン返済期間中に契約者が常に元気で働けるとは限りませんので、団体信用生命保険に加入しておくと、いざというときも家族を守ることができるのです。

金融機関によっては団体信用生命保険料を負担してくれることもある

団体信用生命保険は“残債の返済免除”と“所有権の確保”という保障内容ですから、当然のことながら保険料がかかります。フラット35を例にとると、団体信用生命保険に加入される方と加入されない方とでは借入利率が少なくとも0.2%違います。返済期間にもよりますが、数十万円~数百万円もの保険料になるのです。

金融機関によっては団体信用生命保険料が安くなっていることや全額負担してくれること、また、保険料は契約者が負担しなくてはならないものの保証内容が手厚い(ガンや脳疾患の診断を受けたらローン返済免除される等)ものもありますので、比較する際にしっかりとチェックしておきましょう。

団信が適用されるのはどんな時?

団体信用生命保険が適用されるのは、通常は、契約者が亡くなったときと高度障害によって働けなくなったときです。しかし、先程も触れましたが、契約内容やオプションによっては、ガンの診断を受けたときや脳疾患・糖尿病などの長期療養が必要な疾病にかかった時などにも適用されることがあります。団体信用生命保険の適用条件はローンプランごとに違いますので、かならず条件と保証内容を確認しておきましょう。

手数料の有無も重要

融資手数料や登記手数料は、大抵の金融機関で請求されます。しかし、金融機関によっては、それ以外にもさまざまな手数料が請求され、手数料だけでも100万円を超えてしまうことも珍しくありません。

保証料は繰り上げ返済で戻ってくるのでお得

住宅ローンの諸費用の中で、高い割合を占めるのが“ローン保証料”です。(フラット35のように、保証料ではなく、融資手数料がかかるものもあります)高額ですので支払い方法を一括か分割(金利上乗せ)か選択できるようになっているのですが、一括支払いを選択すると、繰り上げ返済をしたときにローン保証料の一部が返って来ることもあるのです。繰り上げ返済を実施するときは、保証料の返還についても確認するようにしておきましょう。

元利均等返済と元本均等返済を選ぶならばどっち?

ローンには、返済元金と利息とを合わせた金額が毎月一定の“元利均等返済方式”と返済元金が毎月一定の“元金均等返済方式”の2つの返済方式があります。毎月の返済金額が一定の元利均等返済方式の方が返済計画を立てやすいですので、住宅ローンのような長期ローンには適した返済方法だと言えるでしょう。総返済額の少なさを重視する場合は、元金均等返済方式を選ぶのも一案です。

金融機関によってお得な特典があることも

金融機関によっては、住宅ローンを組むことでお得な特典が適用されることがあります。似たような条件の住宅ローンを比較するときは、「お得な特典があるか」と言う点もチェックしてみて下さい。

※2018年5月末時点の情報です。

イオン銀行の住宅ローン特典は「買い物が割引」

イオン銀行で住宅ローンを組むと、返済期間中いつでもイオングループでのお買い物が5%オフになります。普段からイオングループを利用している人には嬉しい特典ですよね。

参考:イオン銀行住宅ローン

楽天銀行のフラット35の特典は「楽天ポイント付与」

楽天銀行では、フラット35を利用すると楽天スーパーポイントがもらえるキャンペーンや融資事務手数料優遇キャンペーンを実施しています。キャンペーン内容は頻繁に変わりますので、こまめに公式サイトをチェックしておきましょう。

参考:楽天銀行住宅ローン
楽天銀行住宅ローン 楽天ポイントキャンペーンの例

新生銀行の特典もユニーク

新生銀行では、住宅ローンの審査に申し込むだけでANAのマイルをプレゼントしてくれるキャンペーンを実施していることがあります。こちらもキャンペーン内容は頻繁に変わりますので、お得に住宅ローンを組みたい人はこまめにサイトをチェックして下さい。

参考:新生銀行住宅ローン

入院時の保障がセットになった住宅ローンも

死亡保障だけでなく入院時等の保障がセットになった住宅ローンもあります。例えばじぶん銀行の住宅ローンはガンと診断されるとローン残高が50~100%減額されるプランを提供していますし、住信SBIネット銀行では入院中のローン返済を保証してくれるプランを提供しています。

参考:じぶん銀行 団体信用生命保険
住信SBIネット銀行 住宅ローン全疾病保障

最後に

住宅ローンを決めるときには、金利だけでなく多角的な要素を比較し、納得できるプランを選択するようにしましょう。途中で他の住宅ローンに借り換えることもできますが、借入残高によっては100万円程度の手数料が発生することもあり、必ずしもお得に借り換えが出来るとは言い切れません。最初からベストの選択をするためにも、ご紹介した要素を比較吟味するようにしてくださいね。

監修者:上津原 章(ファイナンシャルプランナー)