不動産投資を考えるとき、資金づくりや将来的なリスクが気になりますよね。「個人で物件を持つのはリスクが大きくて不安」しかし不動産投資は興味があるという人に向いているのが不動産投資信託リートです。投資を始める前にリートの仕組みや歴史を紹介します。

リートの仕組みとは?

リートを簡単に説明すると、たくさんの投資家が資金を出し合い不動産に投資し、不動産経営で得られた利益から分配金を受け取る仕組みになっています。投資する対象は商業施設やオフィスビル、マンションなど家賃収入や売買益が得られるような物件が主なものです。

不動産に投資はしますが、投資した人が物件のオーナーになれるわけではなく、不動産の投資を管理する「投資法人」という団体が不動産を運用し利益を分配しています。不動産投資法人のことを「REIT(リート)」と呼び、日本のリートのことをJ-REIT」です。

不動産は簡単に売買できない商品ですので、投資をした人が資金を回収したくても途中で解約しにくい性質があります。そのためリートは株式証券と同じように「投資証券」を発行しそれを売り買いすることで流動性を保証しているのです。この仕組みがあるので、不動産投資信託に投資をする人は自由にリートを売買することが可能になっています。

リートが歩んできた歴史!

そもそもリートとはアメリカで生まれたシステムで「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の頭文字を取ったものです。リートの発想は1880年にはあったそうですが、課税の問題が解消できず定着しませんでした。世間に定着しだしたのは1960年にREIT法という法律が制定され、1963年に第一号のREITが誕生してからになります。

その後多くの銀行がリートに参加し投資資金が増えますが、1970年代になってオフィスビル不況が起こり、多くのリート物件が不良債権になりました。そのためリートの利率が大暴落しますが、投資家を守る法整備が進み、リート市場は徐々に回復し1990年代に入って急拡大しました。

海外での動向を受け、日本でもリートの整備が始まり、2001年にJ-REITが始まったのです。アメリカでの教訓を受け不動産市場の安定化に向けた法整備を行いながら、J-REIT市場は拡大の一途をたどっています。

 

株やFXとは何が違うの?

リートと株式投資では、証券会社を通じて証券を購入して配当金(分配金)や売買益で利益を得る仕組みは変わりません。

リートと株、FXの一番の違いは、投資する対象の安定性にあります。株やFXでは景気の動向や企業の業績、政策の転換などで日々価格が大きく変動します。為替は秒単位で価格が変動しますし、株式もニュースの良し悪しで資産価値が大きく上下するということも珍しくありません。

リートの場合は投資対象が不動産で、家賃収入などを元にした安定した利益が分配される仕組みなので、日々の情勢の変化で価格に大きな変動が起こる可能性は少ないです。FXのようにデイトレードなど短いスパンで収益を上げるような投資にはなりませんが、株やFXに比べて比較的リスクが少ない投資といえます。

賃貸物件の経営とは何が違うの?

実際の不動産物件に投資する場合とリートでは何が違うのでしょうか。まず投資額ですが不動産を購入する場合には数百万円から数千万円と巨額の費用がかかります。リートであれば数万円から購入できるものがあり誰でも気軽に始められます。

投資で得られる収益は同じ家賃収入が元ですが、投資額が大きい分賃貸経営の方がリターンは大きいです。リートは得られた賃貸収入の一部が分配金となります。投資にかかる税金は、賃貸物件を保有すると不動産の規模に応じた固定資産税や所得税が必要です。リートなら得られた利益の約20%を所得税として納めることになります。

商品の流動性では自由に売買できるリートが圧倒的に有利です。不動産は初期投資が大きく、時間が経つごとに資産価値が減り売値が下がるので簡単には手放せません。賃貸経営では空室リスクや設備の修繕費などで収益が大きく下がり損失を出すことがあり、この先も安定して入居があるかどうかも未確定です。利益は大きいですが、その分リスクも大きいのが賃貸物件の経営、リートはプロの運用する不動産に運用を任せられるので安定して利益を得られるという違いがあります。