アパート経営は株などと比べると、家賃収入を安定して得ることができますので、比較的安全な投資と言われます。しかしアパート経営の鉄則を知っておかないと、経営破綻してしまう場合も多々あります。この記事では、まず、「なぜアパート経営が失敗するのか」、「失敗する人の何が問題であったのか」という観点でいくつかご紹介いたします。そして問題点への対策を一つずつ解説致します。この記事を参考にしていただき、アパート経営の基本を身につけて頂けたらと思います。

アパート経営の失敗とは


アパート経営により安定した収入を得たいと思っていても、必ずしも成功するとは限りません。アパート経営に失敗する理由はいくつかのパターンがあります。まずその原因を探ってみましょう。

入居者が集まらない

アパート経営において、当然ですが、空き室が多くては利益を得ることはできません。入居者が集まらない原因は、立地条件が良くないこと、物件そのものに問題があることの2つに大別することができます。いくら立派なアパートを建てても、周辺環境がターゲットになる入居者の望む条件と合致していなくては入居者は集まりません。またアパートの物件自体の問題点として、は建物が老朽化している、入居者が望む設備がついていない、家賃が高いなどの理由があげられます。

家賃の滞納が頻繁に起こる

家賃を滞納する理由は、支払うことを忘れていた場合と払う気がない場合に大きく分けることができます。たまたま忙しくて払うのを忘れてしまったような場合は、あまり心配はありませんが、お金がなくて支払えない場合や最初から支払う気持ちがないような場合は家賃回収がうまくいかなるなる可能性が高く、アパート経営に影響してきますので大きな問題です。

管理する時間がない

アパートを購入した後、アパート管理を委託せず、自分一人でアパート経営しようと考える方もいます。忙しくて管理業務がおろそかになる場合には、アパート経営は失敗してしまいます。例えば、家賃が滞っている入居者に対しは、催促ができないのでは収入が落ち込み、アパートのローンを支払えなくなる可能性も出てきます。また設備が故障したという連絡や、居住者同士やと近隣に住む人のトラブルなども頻繁に起こり得ます。そのようなアクシデントに対して、すぐに対応できなくては居住者の不信を招き、家賃の未払いや退去などの原因になりかねません。

物件が古く、修理費用がない

アパートに限らず建物というものは、建築してから年数を経ると劣化してきます。内部の傷や外壁・屋根の塗装の劣化など、建物のあらゆる部分に修繕が必要になってきます。また建物だけでなく設備も古くなれば、買い替えや修理の時期が必ず訪れます。その様な時に修理費用がないと入居者を集めることができず、空き室率が上がり収益が下がってしまいます

節税のために買ったのに、節税効果がない

節税目的でアパート経営をするサラリーマンや自営業者の方がいますが、所得税の節税効果があるのは初めのうちだけです。初年度は購入資金や登録費用、仲介手数料などの支払いもあり、不動産所得の赤字で損益通算することができます。しかし次年度からは損失を計上できるのは減価償却費やローンの利息、修繕費など限られてきます。やがて 減価償却できる期間を過ぎてしまうと黒字になります。これにより給与等所得と不動産所得を合算するために、所得税率が大幅に上がることになります。ローンを借りてアパート経営をしている場合には、返済ができなくなる可能性もあります。

また、相続税の節税対策としてアパート経営を検討される方も多くいます。所有している現金でアパートを購入し、小規模宅地の特例 (※)を利用して税金を圧縮することができます。しかしやみくもにアパートを建設しても、入居者が集まらず赤字になってしまったら、何のための税金対策かわからなくなります。
※出典:国税庁:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

返済額が想定より上がってしまう

アパートは一棟単位で購入しますので、金額が高くなります。それゆえ借入金額も多くなってしまう場合があり、ローンを金利には十分気を付けなければなりません。レバレッジを効かせて、融資を目いっぱい受けている場合には、金利上昇時にはローンの返済が不可能になってしまうこともあります。

アパート経営で失敗する人はここが甘い!


以上のようにアパート経営には空き室や滞納。修繕費。金利上昇などさまざまなリスクが存在します。各々のリスクを十分認識して対策を考えておかなければ、失敗することになるでしょう。

表面利回りを見て、収入を勝手に判断してしまう

表面利回りとは物件価格に対する年間賃料の比率で、これが高ければ利益を多く獲得できるということになります。しかし表面利回りだけで判断をしてしまうのは危険です。実際には空き室が多かったり、修繕費用がかさんだり、表面利回りでは想定できない損失が発生する場合が多々あります。

どんな人が住むのかを考えていない

アパート経営をする際には、入居者はどんな人になるのか?エリアの特性や入居者ニーズを把握することが重要です。たとえば交通の便利なところにあるアパートであれば、単身者の1Kや1DKの需要が高いと考えられます。郊外であれば、家族用の2DKや2LDKなどの比較的広い物件へのニーズが高いと言えます。また設備面においても、性別や住む人の生活スタイルなどによって好みも異なります。ターゲットをきちんと見極めてアパート経営をしないと、空き室が増えて入居率が下がってしまいます。

全て自分で管理しようとする

一言でアパート管理と言いますが、その業務は多岐にわたります。入居者の募集や契約の手続き・更新・家賃の回収・退去手続き・室内クリーニング・トラブル対応など、やるべき仕事は多くあります。これらの業務をすべて自分で管理しようとするのは大変です。特に、働きながらアパート経営をする場合は無理が生じる可能性があります。

物件の状態を確認せず、保険にも入らない

アパートを購入した場合には、物件の状態を確認する必要があります。設備等の欠陥については経営者の管理責任となり、それがもとで事故が起きた場合には損害賠償責任が発生することもあります。また火災や地震は何の前触れもなく突然起こり、建物に甚大な損害を及ぼします。火災保険や地震保険に加入していないと、アパート経営を放棄しなければならないことも起こりえます。

節税効果は永久的に続くわけではない

アパート建てた年は、不動産取得税や登録免許税などが発生しますので、損益通算をすることで節税の効果があります。また新築時には減価償却費も大きく、仲介手数料や入居者を募集するための費用も計上することができます。しかし年月が経つと損益通算をする項目も少なくなり、減価償却した後は節税効果は薄れてしまします。

金利リスクについて考えない

現在は超低金利の時代であり、低い利率でローンを利用することができます。しかし低金利の時代がいつまでも続くとは考えられず、やがて金利が高い時代も来るでしょう。レバレッジを効かせて目いっぱいローンを組むと、金利上昇局面では多大の返済金を支払うこととなります。また固定金利は変動金利より利率が高く、繰り上げ返済を行うと違約金がかかることもありますので注意しなければなりません。

不労所得ばかりを期待して、勉強しない

株でもFXでも投資というものは、リスクがつきものです。アパート経営は比較的安全とは言いますが、投資であることに変わりはありません。アパート経営にも様々なリスクがあります。アパートを建てただけで収入が得られると勘違いし、経営や管理に関する勉強を怠っていると失敗することになるでしょう

アパート経営で失敗しないためには


アパート経営での問題点を挙げてきましたが、それではアパート経営を成功させるにはどうしたらよいのでしょうか。

立地や家賃、人口などのデータを調査して、需要のある場所を選ぶ

アパートの部屋を埋めるためには、購入したアパートに需要がなければなりません。入居者ニーズに適合させるためには駅までの距離やエリアの生活環境・鉄道の利便性・周辺の人口・近くのアパートの家賃などの要素を調査することが大事です。近年は入居者のニーズも細分化していますので、そのエリアに不足している住宅の間取りや建物の構造や築年数なども調査事項になります。調べる方法としてはアパートを経営しようと思う地域の不動産会社に話を聞いてみるとかインターネットで情報収集するとか、賃貸住宅情報誌を参考にするなどの方法があります。

火災保険や家賃保証会社などを必要に応じて利用する

アパート経営で火災が起こると建物自体に損害があるだけでなく、近隣の人に大きな迷惑を及ぼすことになります。火災保険の特約の家賃保証に加入していれば、アパートが元通りになるまでの間、家賃についても補填してくれます。しかし建物の時価を超えては補償されませんので、保険金額の設定に当たってはよく考えて決める必要があります。
アパート経営で空き室が多くなったり、入居者が長い間決まらないと当然経営が成り行かなくなります。空き室リスクを回避するためには、家賃保証会社と契約をするのも一つの方法です。しかし家賃保証会社を利用すると、家賃を下げざるを得ない場合もあり、アパートの収益が悪化する恐れもあるので注意しなければなりません。

良い管理会社を探して、時間の余裕を作る

サラリーマンなどを兼業してアパート経営をする場合、多岐にわたる業務を全ての管理をご自身で行うことは難しいでしょう。現在は所有と管理を分離することが主流であり、良い管理会社を見つけ、業務を任せて余裕を作ることが必要です。管理の方法については一括借り上げて任せる方法と、一部の業務のみを任せる方法があり、ご自身の予算や余力を考えながら契約すると良いでしょう。

節税目的で購入しない、利益を出せる物件を買う

節税を目的でアパートを購入すると、経費を使うことが目的となってしまい、節税にはなっているが手元には少しもお金が残らないということがあります。むしろ無駄な経費を使わずに、税金を支払った方が利益を得られるということはよくあることです。目先の税金ばかりにとらわれず、アパートの経営で利益を得られる物件を購入するようにしましょう。

表面利回りではなく、実質利回りを重視する

表面利回りは年間の家賃収入を物件価格で割ったもので次の数式で表せます。
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
一方実質利回りは年間の家賃収入から、管理費や固定資産税都市計画税・火災保険・修繕費などの必要経費を引き、実際の収入額で計算した利回りを言います。
実質利回り=(年間家賃収入-年間必要経費-空き室損)÷物件価格×100
実質利回りを採用することにより、実際のアパートの収益力を把握することが可能になります。

できるだけ自己資金を用意し、借入金を増やし過ぎない

自己資金を十分に用意できず、借入金が多いと支払利息は当然多くなります。予定していた通り部屋が埋まれば良いですが、空き室が多くなれば金融機関への支払いが大変になります。また老朽化したアパートでは、考えていなかったような修繕費が必要になることもあり、極力借入金を少なくしておくことが必要です。

不動産会社やアパート経営の仲間を作り、勉強する

アパートの経営については、予め一般的な知識や情報が必要とされます。また金利の情勢や設備・周辺の建物・交通などの状況は日々変化しています。このような日々変化する環境に、アパート経営も対応していかなければなりません。そのためには不動産会社から情報を得たり、アパート経営仲間で勉強会などを実施するのも有効でしょう。

最後に


いかがでしたでしょうか?

アパート経営も投資の一つでありリスクは当然つきまといます。着実に利益を得るためには、アパート経営について勉強し努力することが大事です。