住宅ローンの金利が分かると、返済額を計算することが可能です。計算方法さえ分かれば、どの程度の返済額なら支払えそうなのかをシミュレーションすることができるようになるでしょう。金利から返済額を計算する方法、そして、月々の返済額からいくらのローンが組めるのか計算する方法について解説します。

返済額シミュレーション

ローンを組む前に、まず検討しなくてはいけないことは、「毎月の返済額がいくらになるか」ということです。銀行が低い金利を提示してくれたとしても、毎月の返済額が支払い可能な金額を超えているなら、ローンを組むことは現実的ではありません。

反対に、毎月の返済額が少なすぎるのも考えものです。月々の負担が少ないに越したことはありませんが、ローン期間を長くとっている場合は、毎月の返済額を少し多めに設定して、返済期間を短くすることで利息総額が減り、結果として支払総額も減らすことができるため、バランスを考えることも大切です。

【例】住宅ローン、金利0.5%、借入れ額2,700万、返済年数35年の計算

例えば、2,700万円の住宅ローンを組んだとしましょう。通常、住宅ローンは元利均等返済(毎月の支払い額が一定)ですので、毎月の返済額は次の式で求められます。

毎月の返済額=借入れ額×月利×(1+月利)返済回数/{(1+月利)返済回数-1}

全期間固定金利0.5%(月利は0.5%÷12)で、返済年数35年(返済回数は420回)、ボーナス返済なしとすると、毎月の返済額は、次のように計算できます。

2,700万円×0.5%÷12×(1+0.5%÷12)420/{(1+0.5%÷12)420-1}=70,088円

 返済額を出すことができるサイトやページ

計算式は簡単でも、何乗もの数を手計算でするのは骨が折れます。借入れ額と金利、返済年数を入力すれば瞬時に毎月の返済額が表示されるページを活用して、簡単に返済額を求めましょう。

出典:フラット35「借入希望額から返済額を計算」

フラット35のページではボーナス返済の割合も設定できますので、ボーナスで多めに返済しようと考えている人は、ボーナス割合の数字も設定して下さい。例えば年間の返済額のうち4分の3を月々の返済で、4分の1をボーナスで返済しようとするときは、ボーナス割合は25%になります。先程の例(金利0.5%、借入れ額2,700万円、返済年数35年)でシミュレーションしてみると、毎月の返済額は約53,000円、ボーナス払いは約106,000円と表示されます。

 返済額からいくらまで借りられるかの割り出し方法

毎月支払える金額から借入れ額を計算するのも、手計算では大変です。フラット35のページを使って、簡単にローンを組める金額を計算してみましょう。例えば、毎月10万円くらいなら返済できると思えるときは、金利0.5%の場合なら、35年ローンなら3,852万円、25年ローンなら2,819万円のお金を借りることが可能です。もちろん、実際には手数料などが加算されますが、どの程度のローンを組めるのかを把握する目安になりますね。

出典:フラット35「毎月の返済額から借入可能金額を計算」

金利が高く、返済年数が短いと返済額も大きい

同じ金額のローンを組む場合でも、金利や返済年数が変わると毎月の返済額や返済総額が変わります。金利や返済年数が変わると毎月の返済額や返済総額にどの程度影響が及ぶのかシミュレーションしてみましょう。

金利はなるべく低めに

金利が低ければ低いほど、毎月の返済額や返済総額は少なくなります。しかし、実際にはどの程度低くなるのでしょうか。借入れ額2,700万円で35年返済する場合でシミュレーションしてみました。

適用金利(年利) 毎月の返済額 返済総額(元金+利息総額)
0.5% 70,088円 29,436,981円
0.8% 73,726円 30,965,110円
1.0% 76,217円 32,011,198円
1.5% 82,670円 34,721,315円

※元利均等返済方式で計算しています。

金利が0.5%から0.8%に増えると、毎月の返済額が3,600円強ほど増えます。「3,600円くらいなら、毎月の負担が増えても構わないかな?」と考えるかもしれませんが、これが35年も続くと150万円以上の違いになってしまうのです。150万円もの金額を無駄にしないためにも、少しでも低金利のローンを選択したいものですよね。

また、金利が1%増える(年0.5%→1.5%)と、35年後には500万円以上もの違いが発生します。つまり、1%高いローンを組むと、平均的な年収にも匹敵する金額を無駄にしてしまうことになるのです。賢くお金を使うためにも、できるだけ金利の低いローンを組むようにしましょう。

返済年数は返済額に無理のないようにしよう

では、返済年数による返済額の違いについてもシミュレーションしてみましょう。借入れ額2,700万円で金利0.5%の住宅ローンを組む場合で、返済年数だけを変えて比較してみます。

返済年数 毎月の返済額 返済総額(元金+利息総額)
15年 155,727円 28,030,777円
20年 118,242円 28,378,116円
25年 95,761円 28,728,264円
30年 80,781円 29,081,220円
35年 70,088円 29,436,981円

※元利均等返済方式で計算しています。

15年で完済すると利息総額は103万円強のみで済みますので、お得にローンを組むことができます。しかし、毎月の返済額は15万円以上になってしまいますので、家計が厳しくなってしまう恐れがあります。

一方、35年かけてゆっくりと返済すると、月々の返済額は70,000円ほどと少額になります。しかし、利息総額は243万円強と多額になってしまい、無駄な支出が多くなると言わざるを得ません。

返済額チェックおススメのアプリ一覧

計画的に返済するためにも、少しでもお得に返済するためにも、こまめに月々の返済額や返済総額をチェックすることは大切です。返済額を簡単にチェックできるアプリをスマートフォンにインストールして、ちょっとしたスキマ時間にローンの見直しをしてみましょう。おススメのアプリを紹介します。

アプリ名:ローン電卓

住宅ローンやカードローンなどのローン計算だけでなく、普通の計算機としても利用できるアプリ「ローン電卓」住宅ローンにおいて一般的な元利均等返済方式だけでなく、元金均等返済方式でも計算できますので、利用予定の金融機関で元金均等返済方式を採用している場合も、簡単にシミュレーションすることができます。

「ローン電卓」を使えば、ちょっとややこしいボーナス併用返済の計算もスムーズに行えます。また、ボーナス開始月の設定もできますので、家計管理にもズレが生じにくくなるというメリットもあるのです。

ローン電卓(Android):https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.eegg.loancalc&hl=ja
ローン電卓(iPhone):https://itunes.apple.com/jp/app/id445300213?mt=8&ign-mpt=uo%3D4

アプリ名:ローンメモ繰上 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーター

返済期間が短ければ短いほど、利息総額を減らすことができます。まとまったお金ができたら、何度か繰り上げ返済を実施して、返済期間を短縮してみてはいかがでしょうか。しかし、繰り上げ返済を実施すると、返済期間や月々の返済額も変わってしまいます。「ローンメモ繰上 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーター」アプリを使って、繰り上げ返済を実施することでどの程度お得になるのかチェックして下さい。

また、繰り上げ返済を実施する前に、「ローンメモ繰上 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーター」を使って返済期間や月々の返済額をチェックするのも良いですね。どの程度お得になるのかがはっきりと分かりますので、繰り上げ返済のモチベーションもアップしますよ。

ローンメモ繰上 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーター(Android)
ローンメモ繰上 住宅ローン繰り上げ返済シミュレーター(iPhone)

みんなの質問

インターネットで公開されている住宅ローンシミュレーションのサイトやアプリを使えば、簡単に金利計算を行うことができます。ローンの金利計算において、よくある質問と答えを見ていきましょう。

Q1:金利を計算する場合は年数と金利、借入れ額以外に必要ですか?

返済年数と金利、借入れ額だけでは、毎月の返済額や返済総額を計算することはできません。どのような返済方式で返済するかによって計算方法が変わりますので、かならず、元利均等返済方式なのか元金均等返済方式なのかをチェックしておきましょう。ただし、住宅ローンの場合は、元利均等返済方式であることが一般的です。

Q2:車のローンや住宅ローンの計算などは基本的に同じですか?

車のローンであっても住宅ローン、カードローンであっても、返済方式が同じなら計算方法も同じです。

Q3:支払い日より20日遅れてしまった場合の金利なども計算できるサイトなどはありますか?

既定の支払い日から遅れてしまうと、遅延した日数分は、通常の金利よりも高金利の遅延損害利率(ローン契約書に記されています)が適用されます。しかし、遅延損害金を含めた返済額を計算するサイトはありませんので、遅延損害分だけを別途手計算で算出してください。

Q4:元利均等返済と元金均等返済のシミュレーションできるアプリはありますか?

大抵のアプリは、元利均等返済方式にも元金均等返済方式にも対応しています。返済方式をいずれかに合わせてから、シミュレーションしてください。

無理のない返済額を考えましょう

返済総額を少しでも減らしたいと考えるのは自然なことですが、毎月の返済額が高額になってしまうと、返済が滞り、高額の遅延損害金を請求されてしまう可能性もあります。アプリやサイトを活用して、無理のない返済額を決めていきましょう。

監修:吉野 裕一(ファイナンシャルプランナー)