家の新築や、土地・住宅の売買、相続の時など人生の大事な場面に出てくるのが不動産登記。逆に、普段意識されることはありませんが、持ち家、賃貸に関わらず皆様が住んでいる住居も不動産登記されており、ある意味日常生活に密接に関わっているものでもあります。

ですが、不動産登記の内容や方法について多くの方が詳しく知らないまま過ごしているのではないでしょうか。今回は、そんな縁遠いようで身近な不動産登記について解説していきます。

不動産登記について

 

ここでは、不動産登記がなぜ必要なのか、どういった内容なのかをご説明します。

なぜ不動産登記を行うのか

さて、そもそもなぜ不動産登記は必要なのでしょうか。

法務局のホームページでは、下記のように説明されています。

“不動産登記は、わたしたちの大切な財産である土地や建物の所在・面積のほか、所有者の住所・氏名などを公の帳簿(登記簿)に記載し、これを一般公開することにより、権利関係などの状況が誰にでもわかるようにし、取引の安全と円滑をはかる役割をはたしています。”

出典:法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji02.html

つまり、土地や建物など不動産の所在等の詳細と、その所有者を登記簿に登記することで、その不動産に誰のどのような権利があるのかをはっきりとさせ、取引の際に非所有者から購入してしまうことを防ぎ、購入後きちんと自分が不動産の権利を取得したことを公的に主張することができるようになるわけですね。

不動産の購入後に登記をしていないと、登記簿には前所有者の名前が所有者として記載され続けます。不動産を売った・売ってない、譲った・譲ってないといったトラブルを回避するためにも、登記は必要です。

権利登記と表示登記

不動産登記には、権利登記と表示登記があります。

権利登記

所有権など不動産の権利に関する登記のことで、権利の現況、変動を公示し、登記簿の権利部に記載されます。権利部はさらに甲区と乙区に分かれており、甲区には所有権に関する登記が、乙区には所有権以外の権利に関する登記が記録されます。

下記に甲区のみ、乙区のみ、甲区・乙区共に記録される登記の一部を記載してみました。

【甲区】

・所有権保存登記:住宅を新築した際などにされる登記で、甲区に初めて記録される登記

・所有権移転登記:売買や相続などで所有権が移った(移転した)場合に行われる登記

・処分の制限の登記:税金の滞納による差し押えや、裁判所から処分禁止の仮処分が出た場合などに行われる登記

【乙区】

・抵当権設定登記:不動産の所有者が銀行から借入やローンを組む際、不動産を担保にするために設定される登記です。支払が滞った場合、銀行などの債権者は抵当権に基づいて不動産を競売し、借金の弁済に充てます。債権者が借金を取り立てる権利を第三者に譲った場合などに抵当権移転登記が行われることもあります。抵当権のような借入の担保として設定される権利を担保物権と言い、抵当権のほかに根抵当権や質権、不動産保存の先取特権などがあります。

・地上権設定登記:土地の所有者以外の人が、工作物又は竹林を所有するために、その土地を使用する場合に設定される登記です。第三者に地上権を譲渡した場合は、地上権移転登記を行います。地上権のように他人の不動産を使用・収益する権利を用益物権と言い、地上権のほかには永小作権、地役権などがあります。

・賃借権設定登記:所有者が不動産を賃貸に出した際に設定することができる登記です。ただし、建物所有を目的とした土地の賃貸や建物の賃貸は借地借家法でかなり賃借人が保護されるため、登記まで行われることはまれです。

【甲区・乙区】

・変更登記:登記名義人の住所が引越しで変わった場合や、登記名義人の法人が社名変更した場合などに行われる登記

・更正登記:登記した際の内容に誤りがあった場合に行われる登記

・抹消登記:売買の事実がなかったなど権利が最初から存在しなかった場合や、売買・登記後に契約が解除されたなど登記の原因が消えた場合に行われる登記

表示登記

権利の対象である不動産の物理的状況を公示する登記で、登記簿の表題部に記載されます

記載される内容としては、土地や建物の所在が記載されているほか、土地では面積(地積)、田・畑等の用途(地目)などが記載されています。建物では構造や床面積、建物の用途(種類)が記載されます

土地の場合、1つの土地を複数に分割する土地分筆登記や、測量によって登記簿に記録されている面積と実測した面積が異なる場合に土地地積更正登記を行います

建物の場合、新築の家を建てた時に建物に関する最初の登記である建物表題登記を行います。また、増改築を行って床面積や構造が変わった場合は、建物表題部変更登記を行い、建物を壊した時は建物滅失登記を行います

なお、表示登記は権利登記と異なり、建物表題登記や建物滅失登記など一部の表示登記について、所有者に法律上の登記義務があります(不動産登記法第47条)。この法律に基づいて処罰されたという話は聞かないため、中には表示登記をしていない建物も存在しますが、新築や増改築をする際にローンを組む場合、銀行が建物に抵当権を設定するための前提として建物表題登記が必要となりますので、ご注意ください。

司法書士と土地家屋調査士について

不動産登記に関わる専門家には司法書士と土地家屋調査士がいます。

どちらも所有者の代理人として不動産登記を行えるのですが、行える登記の種類に違いがあり、司法書士は権利登記のみ、土地家屋調査士は表示登記のみを行うことができます

不動産登記を行わなかった際のトラブル事例

表示登記の説明時にご説明したように法律上の登記義務があるのは表示登記の一部となります。つまり、建物の新築時に行う所有権保存登記や不動産売買の時に行う所有権移転登記などの権利登記は、法律的には必ずしも登記しなくて良いのです。

そのため、権利登記がされないまま相続や売買が行われることもあります。先祖伝来の土地に自費で建物を建てたといった場合は、そもそも表示登記すらないケースもあります。

ただし、これがときにトラブルを呼ぶことがあります。原因は様々ですが、おおよそ3つのパターンに分けられます。

  • 不動産売買・譲渡
  • 相続
  • 公共用地の買収

それぞれご説明していきます。

不動産売買・譲渡

こちらは比較的イメージしやすいかと思いますが、不動産の持ち主があなたに売却した後、あなたが不動産登記をする前に、前の持ち主がさらに第三者に売却するケースです。あとから購入した第三者は、先に購入したあなたの存在を知っているだけでは権利を失わず、両者の所有権が対立することになります。また、その第三者が先に不動産登記をしてしまった場合、第三者はあなたに自分が正式な所有者であることを主張できるようになります。

あなたは売主に対して代金の返金や場合によっては損害賠償も請求できますが、土地を手に入れることができない上に、解決までにかかる精神的な負担は計り知れません。ご自身を守るために売買で不動産を取得した際は速やかに登記しましょう。

また、祖父母や親の代で親しい人に口頭で土地を売買・譲渡したというケースもトラブルに発展しやすいでしょう。当人同士が存命の間にその事実を親族に周知していればよいのですが、先方の親族が当人から知らされておらず、さらに登記どころか契約書すらない場合、先方は単純に盗られたと感じ、大きなトラブルとなります。

相続

こちらは上記のケースよりもさらに身近なケースで、関わったことのある方も多いのではないでしょうか。通常、ご家族が亡くなられた際に被相続人(=亡くなった方)が不動産を所有していれば、被相続人から相続人への相続による所有権移転登記を行います。

ですが、権利登記である所有権移転登記は特に義務ではないため、この登記を行わないケースも多いのです。登記には手間もお金がかかりますので、仕方のないことともいえます。問題となるのはさらにその相続人が亡くなり、相続があった場合です。

祖父の名義のままとなった所有権を新たに相続人となった一人が自分名義にしようした際に、関わってくる人の多さにびっくりするのです。最初の所有者からみると孫の代になりますが、2度の相続ともに法定の遺言書がない場合は、最初と2度目の相続の法定相続人全員の協力が必要となります。また、法定相続人のうちのどなたかが認知症などで意思能力を失っている場合には、後見人制度で後見人を付けてもらう必要も出てきます。

公共用地の買収

こちらは上記の〈相続〉にも関係してきますが、突然降ってわいたように起こるトラブルです。国や県などの起業者が道路を新しく通す際にその敷地を用地買収しますが、その名義が祖父母、曾祖父母のままの場合、相続による所有権移転登記が必要になります。実はこの登記自体は用地買収の範囲内の土地であれば国や県が代わりに行ってくれることもあるのですが、問題となるのはその土地や建物の持分割合です。

遺言書や遺産分割協議で不動産の所有者を決めていない場合は、<相続>でご説明したように法定相続人全員の協力が必要となります。土地や建物の持分がさっと決まれば良いですが、合意できない場合は長期化することもあります。

なお、あまりに長期化して起業者が建設工事を始められない場合、土地収用法にもとづいて所有者不明として法務局にある供託所に補償金が供託されることがあります。そして供託されると土地の所有権は起業者に移るため、そこに現在住んでいる方はその持分に関するトラブルが解決までは供託された補償金を受け取ることができない上に、その土地や建物を引き渡すことになってしまうのです。

以上の3つのトラブルを避けるためには、ご家族と土地や建物について話をしておき、場合によっては生前贈与や遺言書の作成についても検討する必要があります。また、登記をしていない不動産をお持ちであれば、お子様等の次の世代のことを考え、登記を済ませておいた方がよいでしょう。

不動産の登記簿謄本について

ここまで不動産の登記簿にどういった内容が記載されているかをご説明してきましたが、ここからは不動産登記簿の謄本について、その見方や入手方法をご説明します。

登記簿謄本と登記事項証明書は何が違うのか

登記簿謄本や、似たような言葉で登記事項証明書という言葉を耳にした方もいらっしゃるかと思います。「え、何が違うの?」と思われる方もいるかもしれませんが、結論から言うと両者は全く同じものです。法務局に備え付けの登記簿謄本交付申請書にも「登記事項証明書・謄本」と一括りにしてあり、同じ扱いとなっています。

では、なぜ二つの呼び方があるかというと、登記簿の記録・管理方法が変わったことに原因があります。そもそも登記簿謄本とは登記簿が紙媒体で記録されている時代に、交付請求のあった不動産の登記簿を全部コピー(謄写)した上で、原本と相違ない旨を登記官が証明したものを指します。現在はコンピューターで記録されているため、名称も登記事項証明書へと変わり、法務局のホームページでもこの名称が主に使用されています。

なお、登記記録の一部が記載されたものを一部事項証明書といい、これが以前の登記簿抄本にあたります。

登記簿謄本の見方

ここでは登記簿謄本の見方を解説します。

表題部

前述の〈表示登記〉の項目でお伝えしたように、土地や建物など不動産の物理的状況が記載されています。所在地や地番は一文字違うと全く別の不動産となりますので注意が必要です。

権利部

こちらも前述の〈権利登記〉の項目でお伝えしたように、不動産の権利に関する登記が記載されています。抵当権の設定登記と抹消登記が複数ついていることもあります。売買する際は現在設定してある抵当権をすべて抹消する必要がありますので、いくらの負債の担保として、どの抵当権が残っているのかしっかりと確認しておきましょう。

登記簿謄本の効力とは

登記簿謄本は現在登記事項証明書と言われていることからも分かるように、「証明書」になります。つまり、登記所が現在のこの不動産はどういう物理的状況で、誰が所有者として登記簿に記載されているかを公的に証明してくれています。

登記簿謄本の取得方法

登記簿謄本の取得方法は以下の3つの方法があります。

  • 登記所(法務局など)の窓口および証明書発行請求機での請求による取得
  • 郵送での交付請求による取得
  • ホームページからのオンライン請求による取得

オンラインで請求した場合、受け取りは郵送のほか法務局窓口でも可能です。

なお、ここまで登記所という名称を何度か使いましたが、実際に○○登記所といった場所は存在しません。法律(不動産登記法第6条第1項、商業登記法第1条の3)で法務局や地方法務局などを登記をつかさどる場所として登記所と定義しているだけなので、実際には各地の法務局などで手続きをすることになります。

出典:不動産登記法(http://www.e-gov.go.jp/index.html

登記簿謄本の発行手数料と支払い方について

登記事項証明書の発行手数料は下記のようになっています。

  • 窓口で書面請求:600円
  • 郵送で書面請求:600円+往復の切手代
  • ホームページでオンライン請求(郵送で受領):500円
  • ホームページでオンライン請求(窓口で受領):480円

※ 1通の枚数が50枚を超える場合には、以後50枚ごとに100円加算

出典:法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html

つまり、オンラインで請求して窓口で受け取るのが一番安くなります。

支払い方法は下記の二通りあります。

窓口および郵送などの書面請求

請求書に収入印紙を貼る形になりますので、手数料相当の収入印紙を購入して貼り付けましょう(登記印紙がある場合は併用も可能です)。

なお、収入印紙は法務局で売っているほか、郵便局でも取り扱っています。また一部のコンビニでも少額の収入印紙ですが取り扱っていることがあるそうです。

オンライン請求

インターネットバンキング、モバイルバンキング、Pay-easy対応ATMなどを利用した電子納付が可能です。インターネットバンキングやモバイルバンキングは自宅に居ながら支払いができるため、対応した口座を持っていれば大変便利です。

登記は自分で出来るのか?

登記簿謄本の読み方や自分で登記簿謄本を取得する方法についてご説明してきました。ではそういった登記を自分ですることは可能かどうかについて、ここからは解説していきます。

不動産登記が必要になるケースとは

どういった場合に不動産登記が必要になるでしょうか。

まず、必ず必要となるのは家を建てた際の建物表題登記です。これは法的にも登記義務がありますが、ローンを組んで建てた場合、銀行が抵当権を設定しますので、その前提としても必要となります。また逆に、ローンを返済した後の抵当権抹消登記もあります。

その他には不動産を購入した際や、相続があった際の所有権移転登記が挙げられます。また、新居を建てて住民票を移した後、従前の持ち家を売却する場合、登記名義人の住所変更登記が必要となることもあります。

登記は自分で出来る

法律上は自分で登記をすることを制限するような規定はありませんので、することができます。また、本人からの委任状があれば第三者でも登記申請は可能です。ただし、各士業法で定められていますが、業として不動産登記が出来るのは司法書士、土地家屋調査士、弁護士のみとなります。資格がないのに仕事として他人の登記申請を反復して行ってはいけないということですね。

前置きが長くなりましたが、つまり、自分で登記申請はできるのです。ですが利害関係者の多い登記では、なかなか素人が登記をすると言っても他の人は良い顔をしません。場合によっては不安に思って協力してくれなくなることもあります。特にお金の絡むことではなおさらでしょう。

ではどういった登記ならば自分で登記を行ってもトラブルが少ないでしょうか。それはその登記で損をする人がいないケースが考えられます。

たとえば所有権の登記名義人住所変更登記や登記名義人氏名変更登記は、本人が当事者となりますので比較的登記がしやすいと言えます。また、間違いがあってもご自身で対応可能です。

その他には、ローンの支払い後に残る抵当権の抹消登記も比較的しやすい登記でしょう。実はローンが終わってもその抵当権の登記は残る上に、銀行も自らその手続きをしてくれません。ただし、銀行側で必要な書類は一通り用意してくれますので、割と簡単にできます。

表題登記も自分でできるのか?

新築の家を建てると建物表題登記をする必要があります。では、自分でできるかというと、ある程度時間と労力はかかりますが、できてしまいます。

登記申請するためには、登記申請書や建物図面・各階平面図、案内地図などご自身で用意する書類と、建築確認申請書などハウスメーカーに用意してもらう書類を揃える必要があります。特に比較的手間がかかるのが建物図面・各階平面図です。ハウスメーカーが家の図面を持っているかと思いますが、それを不動産登記法に則って描き直す必要があります。手書きも可能ですが、パソコンを使ってCADやパワーポイントなどで図を描いたほうが楽なようです。法務局でも相談に乗ってくれますので、まずは窓口に相談に行ってみましょう。

一点注意が必要なのが、ローンを組んで新築する場合です。建物表題登記と所有権保存登記は自分のみでできますが、抵当権設定登記は銀行との共同申請ですので、銀行の協力が必要となります。また、銀行側もこの抵当権設定登記が遅れたり誤りがあると融資が不安定になるため、この登記だけは司法書士への依頼を譲らないケースがあります。

自分で不動産登記をするメリットとデメリット

ここでは自分で登記をする際のメリットとデメリットを解説いたします。

メリット

自分でするメリットはやはり専門家へ支払う報酬分を節約できる点でしょう。

地域や個別内容にもよるため一概に報酬額は言えませんが、日本司法書士会連合会と日本土地家屋調査士会連合会がホームページに報酬に関する地域別のアンケート結果を載せています。多少調査時期が昔のものもありますが、下記にURLを記載しておきますので、ご参考になればと思います。

日本司法書士会連合会:http://www.shiho-shoshi.or.jp/consulting/remuneration.html

日本土地家屋調査士会連合会:http://www.chosashi.or.jp/gaiyou/disclosure.html

デメリット

デメリットは、手間と労力がかかることもですが、一番は利害関係者がいるときに協力が得にくい点でしょう。

司法書士などの専門家であればある程度信頼して印鑑証明書や書類への署名・捺印をいただけますが、全くの赤の他人であり、かつ信頼関係のない取引相手には重要書類や実印を押した書類を渡すことに抵抗を感じるはずです。

また、書類にミスがあり、再度印鑑が必要となった場合、次も押してくれるとは限りません。逆に単独でできる登記ではそういったデメリットは減りますので、自分での登記をしやすいと言えます。

特に慎重さが必要な所有権移転登記

所有権移転登記、その中でも売買による所有権移転登記は特に注意が必要です。前述しましたが、重要書類を預からなければならない売買による所有権移転登記はミスが許されません。何か書類を紛失などした場合、そこで売買は頓挫する可能性が高くなります。

また書類の記載間違いで申請が通らなかった場合、再度相手方から署名・捺印がもらえるかは運任せとなります。できれば専門家に頼み、確実を期したほうがよいでしょう。またどうしても自分でするという場合は、法務局の相談窓口を積極的に利用して、ミスや記載漏れのないようにしましょう。

なお、同じ所有権移転登記でも自分が単独で相続する際の所有権移転登記は、当事者も自分のみのため、自分でされる方も比較的多いようです。ミスがあっても再度書類を用意すればよいだけですので、時間があれば自分でしてみてもよいかもしれません。

専門家に依頼した場合の費用は?

さて、不動産登記を専門家に依頼した場合はどの程度費用が掛かるのでしょうか。

登記にかかる費用

新築の場合、不動産登記にかかる費用には下記のものがあります。

  • 建物表題登記:新築した建物の表題登記です
  • 住宅用家屋証明書:登録免許税の軽減を受けるために市町村長から交付してもらう書類で、一般的に司法書士が代理人として取得してくれます
  • 所有権保存登記:建物の所有者を登記名義人とする登記です
  • 抵当権設定登記:銀行ローンを組んだ際に借入を担保するため、通常は土地と建物両方に設定・登記されます
  • 不動産登記情報:登記前の土地の権利関係を調査のために取得する登記情報です
  • 全部事項証明書:登記完了後に金融機関に提出するために取得する登記事項証明書です

このほか、土地を売買で取得する場合は、土地の所有権移転登記の費用もかかります。

司法書士に依頼した場合の相場

  • 売買による所有権移転登記(土地・建物):5.4~8.2万円
  • 相続による所有権移転登記(土地・建物):5~6.7万円
  • 所有権保存登記:1.8~2.9万円
  • 抵当権設定登記:3~4万円
  • 抵当権抹消登記:1.2~1.7万円
  • 所有権登記名義人住所変更登記:1~1.3万円

前述した各日本司法書士会連合会のアンケート結果より全体平均値を抜粋しました。あくまで平均値のため、個別案件によっても変わってきます。

登録免許税について

不動産登記の際に必ず必要となるのが登録免許税です。これは国税で、登記の種類や不動産の評価額、抵当権などで担保する債権の額によって必要な額が変わってきます。金額は小さくないため、住宅用家屋証明書による軽減などをしっかりと活用しましょう。

登記原因によって税額が変わる登録免許税

登録免許税は登記原因によって税額が変わるので注意が必要です。土地を売買によって取得して所有権移転登記をする、つまり登記原因が「売買」の場合、登録免許税は下記のようになります。

登録免許税=固定資産税評価額 × 1.5%(H31年3月31日以降は2.0%)

これが、遺産相続によって土地を相続して所有権移転登記をする、つまり登記原因が「相続」の場合ですと下記のようになります。

登録免許税=固定資産税評価額 × 0.4%

なお、相続に似ていますが、遺言書などにより相続人でない者に相続財産を送る「遺贈」を登記原因として土地の所有権移転登記をする場合、下記のようになります。

登録免許税=固定資産税評価額 × 2.0%

本来土地の売買は軽減税率が適用されていないと2.0%であることから、相続人でない者への遺贈は、第三者への売買と同等の税金がかかることとなります。

最後に

今回、不動産登記の必要性や登記簿謄本の内容・見方、さらに自分で登記しようとした場合の注意点などをご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

頻繁ではないですが、マイホームの取得や相続など人生で一度は触れる機会のある不動産登記。急にすることになっても大丈夫なように少しだけ予習をしておくと、必要となった時に冷静に準備ができることでしょう。

監修:三上 隆太郎 (宅地建物取引士)