不動産投資にはメリットもありますが、リスクがあると言われますが、いったいどんなリスクがあるのでしょうか?またリスクについて、対策が立てられるのかどうかについても知っておくべきです。今回は不動産投資のリスクである経済に関わるリスク、運用に関するリスク、建物に関するリスクについて解説します。

不動産投資にかかる税金についても解説していきますので、ぜひ参考になさってくださいね。

経済に関わるリスク

不動産投資は、経済の状況によっては悪影響を受けてしまう場合があります。ここでは経済に関するリスクについて主な2つをお伝えします。

 金利上昇リスク

不動産投資は、たいてい自己資金だけでは物件の購入ができないため、金融機関からの融資を受けて物件を購入します。その借入の時期によって、また固定金利を選ぶか変動金利を選ぶかによっての収益性において影響を受けます。まずは「固定金利」「変動金利」について解説します。

固定金利とは?

固定金利とは、金融機関からの借り入れ時に選択した期間中、金利の見直しは行われない一定の金利であるしくみのことです。低金利のときはずっと同じ金利なので、とても有利ではないかと思いがちですが一般的に変動金利よりもやや高い金利があらかじめ設定されてしまう傾向があります

変動金利とは?

変動金利とは金融機関から借り入れた後、定期的に見直される金利のしくみのことです。金利の見直しは一定期間ごとに行われますが、実際に金利が上昇しても元利均等払いの場合、あらかじめ決めた期間、返済額自体はそのままで、利息と元金の割合のみが変わります。
また元利均等払いでは金利の上昇によって返済額が増えてしまった場合でも、今までの返済額の1.25倍までが上限として定められている場合があります。

金利上昇による変動額を把握しておこう

例えば毎月10万円を返済していて、金利の上昇によって上限まで返済額が増えてしまった場合、毎月12.5万円に返済額が増えます。年間で30万円も支払いが増えてしまうことになります。このことからも変動金利型で借り入れした場合、金利上昇のリスクに対する対策として、余裕ができたら早めに元金を返済することが有効です。

人口減少によるリスク

世界的に人口が減少しているため、今後の不動産投資には人口減少のリスクも存在します。地方部では大幅な人口減少の結果、需要も減少することが予想されます。
しかし都心部には依然として人が移住してくることが予想されるため、人口が減少しても需要はあると考えられます。そのため対策としては、都心部周辺の物件やターミナル駅へのアクセスが便利な駅に近い物件を選ぶことが有効です。

運用する際のリスク

ここでは運用する際のリスクを3つあげていきます。

居者が入らないリスク

1つ目のリスクは入居者が入らず、空室が出てしまうリスクです。物件の築年数が古かったり、設備が充実していなかったりする場合はリフォームをすることで、設備などを整えるという対策があります

また相場よりも家賃が高い場合は家賃を下げることや、管理の面で十分な管理ができていない場合は、管理会社を変更するなどなんらかの対策をうって改善することもできます。

ただし物件によっては、もともとの立地などの条件が悪く上記の対策をしても効果がでないこともあります。したがって特に立地が悪い場合は、経営努力をしても空室続きになってしまうリスクがあるということになります。

家賃滞納のリスク

2つ目のリスクとして家賃を滞納されてしまうリスクがあります。家賃収入を得ることが不動産投資の目的なので、不動産投資をする意味が根本的になくなってしまいます。もしも家賃が遅れて支払われたらすぐ連絡をとって滞納を放置しないことが重要です。

一度家賃の支払いが遅れ出すと2ヶ月、3ヶ月と滞納が続く可能性もあるため、連絡が取れないからといって放置してはいけません。結果的に弁護士などの専門家に依頼しなければ解決できないこともあり、思わぬ出費が発生してしまいます。

このような状態にならないように、入居する前に入居者の情報をよく調査し、検討することが必要ですが、ただし、あまりにも入居審査を厳しくしすぎると空室のリスクが高まるのでバランスよく検討しなければいけません。

資産価値が下落してしまうリスク

3つ目のリスクは所有している不動産の資産価値が下落してしまうリスクです。不動産は新築から年数が経過すると、価値が少しずつ下落していく場合があります。また価値が下落すると家賃も同様に下がっていきます。

他にも、周辺地域の環境により賃貸需要が低下してしまい、家賃が下がってしまう場合や、駅から10分以内の好立地でないことや近くにスーパーなどがなく生活用品が揃いにくいことなどの立地条件や利便性が良くないことが原因で家賃が下がってしまう場合があります。

運用に関するよくある質問

*リスクの少ない定期預金等を運用する方がよいのでは?

ここでリスクが少ない定期預金などで運用する方がよいのでは?という疑問をお持ちの方もいるかと思います。確かにリスク面が少ない点では定期預金で運用するという考え方もあります。しかし一方で定期預金ではリスクも少ないことのかわりにそれに対応するリターンもまた少なくなります

資産形成のためにリターンを大きくするのであればリスクも同様に取る必要が出てきます。不動産投資は、株式投資のようにハイリスクハイリターンではありませんが、ミドルリスクミドルリターンの投資手法です。そのためバランスよく資産形成をしていきたい方におすすめしたい投資手法になります。

*空室や滞納のリスクから回避する方法は?

ここで空室や滞納のリスクについて回避する方法を解説していきます。空室や滞納のリスクについては家賃保証会社を利用する方法があります。まず空室のリスクに対しては、家賃保証サービスという月々の保証料を家賃保証会社に支払う代わりに空室がでた場合の家賃の保証を受けられる保険のようなサービスがあります。

次に滞納のリスクについては、保証会社に委託すれば仮に家賃滞納が発生しても家賃を保証してくれます。また滞納分の家賃も保証会社のほうで、督促して回収も行なってくれます。そのためご自身の手間を省いて(手をわずらわせされることなく)滞納のリスクに備えることが可能です。家賃の滞納があった場合は、滞納者と連絡をとりあうのが重要なポイントではありますが時間がなく、なかなか難しいと思う方は保証会社を利用するのもひとつの方法です。

建物に関するリスク

ここでは建物に関するリスクについて3つあげていきます。

地震などの自然災害

日本は他の諸外国に比べ、地震大国ともよばれ地震がとても多い国です。このため地震や地震が原因である火災がおきてしまったりすると建物に被害が及ぶ可能性もあります。対策としては、そのような地震などの被害に備えて地震保険に加入する必要があります。

地震保険は火災保険とセットで加入する保険です。また建物については、1981年以降の新耐震基準以降につくられた建物であれば建物構造として、地震に強い建物であるといえます。このように新耐震基準以降につくられた建物とそうでない建物では耐震強度に違いがあるため耐震強度が強い建物を選び取得することも地震などの対策には有効です。

修繕費用はオーナー持ち

不動産投資では、建物を貸して家賃などの賃料収入を得る代わりに建物の一部が故障し、または老朽化により破損したにはオーナーが修繕費を出さなければいけません。具体的には次のような費用がかかります。

<屋外>
・屋根・屋上などの防水加工費
・外壁補修費
・鉄部分の防錆加工費
・機械設備等の修繕費
・給排水管の補修、交換費
・外構修繕費

<屋内>
・冷暖房設備の修繕費
・給湯設備の修繕費
・電気設備の修繕費
・その他こわれた箇所の修繕費

これらのメンテナンス費用が必要になってきます。おおむね家賃収入の5%くらいを修繕費として準備しておくべきと一般的にいわれています。

建物に関するよくある質問

建物に関しては次のような質問がよくあります。

実際に地震が起きてしまったら?

もしも実際に地震が起こってしまったら、どうなるでしょうか?確かに建物が倒壊してしまったら賃貸契約は無効となり、家賃収入は途絶えてしまいます。地震保険に加入していれば、保険金などで新たに建物を建て直すことができます

ただし、建物が崩壊してしまった場合の入居者への損害賠償については、天災などが原因であれば免責となります。免責となるためには、建物に瑕疵がないことや、賃貸借契約書に、天災その他の不可抗力による損害の負担に関して記載しておくことが必要です。

老朽化によって建物の価値は下がるのでは?

一般的に建物の価値は老朽化によって下がります。しかし、価値が下がる分は減価償却という形で費用化され所得税などの税金計算上では差し引かれるため、ただ単純に価値が下がってしまうだけではありませんのでご安心ください。

アパートとマンション、寿命が短い方はどっち?

結論からいうとどちらも同じくらい維持することができます。建物寿命というのは一般的にいうと法定耐用年数で考えられます。法定耐用年数でいえば木造22年、鉄骨34年、RC47年になりますのでこの観点ですと木造が多いアパートの寿命のほうが短いといえます。また、実際に20年前に建築された建物では、木造建物は耐久性が短い傾向があります。しかし法定耐用年数については、その年数が終わったら建物がなくなるわけではありません。

定期的なメンテナンスによって法定耐用年数以上に建物をもたせることもできます。また、最新の木造建物技術も向上しています。その結果、アパート、マンションのどちらも定期的なメンテナンスによって同じくらいの期間維持できるようになりました。

不動産投資にかかる税金

ここでは不動産投資にかかる税金についてお伝えします。

投資物件購入の際にかかる税金

投資物件購入の際は、主に上記のような税金がかかります。

  • ・投資物件購入の際の契約書にかかる印紙税
  • ・投資物件の不動産登記にかかる登録免許税
  • ・投資物件の取得にかかる不動産取得税 

など

投資物件売却の際にかかる税金

投資物件売却の際は、上記のような税金がかかる形になります。

  • ・投資物件売却は譲渡にあたるため、譲渡益が出た場合の利益分の所得税、住民税
  • ・投資物件の抵当権抹消のための不動産登記にかかる登録免許税 

など

運用する際にかかる税金

投資物件運用の際は、上記のような税金がかかります。

  • ・投資物件保有のための固定資産税
  • ・投資物件による収入で利益が出た場合の上乗せ分の所得税、住民税

など

最後に

ここまで不動産投資のリスクについて、解説してきましたがいかがでしょうか?上記から主なリスクとして

  • ・経済的な事情に関するリスクとして、金利上昇によって利息が上がってしまうリスクや人口減少により不動産需要が減少するリスク
  • ・不動産運用に関するリスクとして、空室が発生するリスクや、家賃滞納が発生するリスク、そして物件の資産価値が下落するリスク
  • ・建物に関するリスクとして、地震などの自然災害のリスク、修繕費などはオーナー負担になってしまうリスク
  • ・不動産投資にかかる税金を支払う負担があります

・このように不動産投資においてリスクが存在します。

しかしどのような投資であっても収益を得るためには、それぞれに応じたリスクがあります。リスクに対する対策を準備しておくことで不動産投資におけるリスクを極力減らしていくことは可能です。きちんとリスクを把握して失敗しないように不動産投資について勉強をすることがとても大切です。

監修:大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)