賃貸物件を借りる場合家賃数ヶ月分の初期費用が必要です。この初期費用は引っ越し代なども含めると結構高額な金額になってしまいお悩みの方も多いのではないでしょうか?今回はこの賃貸物件入居時に必要な全初期費用について解説します。
入居時はどんな費用が必要なのでしょうか?また、この初期費用を安くする物件選びのポイントもご案内します。引越し代金や初期費用など移転に関わる金額にお悩みの方は、ぜひ参考になさってくださいね。

賃貸を借りる時に必要な初期費用とは


賃貸でお部屋を借りる時に必要な初期費用とはどのようなものがあるのでしょうか。
具体的に見ていきましょう。

敷金とは何に必要なお金?

敷金とは、法律上は賃料その他賃貸借契約上の債務を担保する目的の金銭です。また一般的には、部屋の退去時の清算の為の金額と考えると良いでしょう。
退去する際には、一般にルームクリーニング代を入居時に支払った敷金の中から大家さんが支払います。

例えば7万円の敷金があり、退去時にルームクリーニング代や諸経費が5万だったとすると差額の2万円は入居者に返金されます。このために、敷金は大家さんからみて「預かり敷金」と呼んでいます。大家さんの税金申告上も収入とはなりません。

以前は、敷金の相場は1カ月~2カ月くらいが多かったのですが、最近は敷金・礼金共に0円という物件も増えてきました。
その際は退去時に支払う金額(主にクリーニング費用等)を契約書に明記してあり、かならず退去時の支払金額に同意した旨の契約書が作成されます。

礼金はなんで支払う必要があるの?

礼金は大家さんへの「謝礼金」と言われており、「謝礼金」が短くなって「礼金」と言うようになりました。この礼金は、入居する大家さんへの「お礼」という金額です。敷金のように戻ってくることはありません。

仲介手数料とは

これは物件を紹介していただいた、不動産会社へ支払う金額です。
家賃の0.5~1カ月分+消費税を請求されます。上限は一カ月分(+消費税)となります。

火災保険や鍵交換代とは

火災保険は火事を出したときだけの保険ではありません。集合住宅で火事を出せば他の部屋にも類焼が及びます。賃貸入居者向けの保険をかける内容としては以下の3種類のものがあります。

①火災保険(家財保険)
火事や自然災害などで家財が被害を受けた場合の保証の保険

②借家人賠償責任保険
自分が火災を起こし建物に損害を与えた場合の大家さんへの保証の保険

③個人賠償責任保険
自分の不注意で周りの部屋に損害を与えた場合の保険

①火災保険(家財保険)と②借家人賠償責任保険は賃貸契約し、敷金と礼金などを払うときに一緒に契約して支払います。
金額は補償の範囲により異なりますが、必ず保険をかける必要があります。不動産会社からの保険が高く、自分で探すという方もたまにいますが不動産会社や大家さんからは断られる場合があります。何故かというと、費用がかさむのを嫌がって、そのまま保険に入らない方もいるからです。

また、初年度加入しても継続手続きをしない方もいるので、事故が起きても莫大な金額を払えず、大家さん側が大変な損害を受けることになります。その為賃貸契約は保険とワンセットにして加入すること場合がほとんどです。

*カギの交換代
玄関のカギの使い回しはとても怖いものですよね。入居者が変わる度に必ず交換する物件が多く、防犯上もベストです。
このカギの交換代はかなり金額に差があるようです。鍵のシリンダー部分だけ変えると5,000円~8,000円位ですがピッキングできない高セキュリティだと1万円~3万円位は必要です。この金額も初期費用とお考えください。

引越し代も忘れてはいけない

初期費用の中で、大きな金額になるのがこの引越し費用でしょう。単身や学生さんなど住人の数が少ない引越しであれば、数万程度になりますが、4人家族や長距離の移転ともなると十数万以上の金額になります。

最近大手運送会社では、人手不足で引き受け件数を減らす傾向にあります。「引越し難民」という言葉が最近目に付くようになりました。引越ししたくとも、繁忙期では引き受ける引っ越し会社がない。または通常価格より割増になったという声も聞かれます。時期をずらすか可能な限り、荷物を減らしての引っ越しをおすすめします。

前家賃とは

入居する前に支払う家賃を前家賃と呼びます。賃貸物件の契約は、契約した日から発生します。

例えば、6月1日に入居する前提で5月15日に賃貸契約をしたとします。
この場合は、契約時には5月15日から5月末日までの日割り料金と6月分の家賃の1カ月分を契約時に支払います。この場合は、実質1カ月半分が前家賃となります。

保証料とは

賃貸物件の契約には、物件の契約と火災保険の契約、そして家賃保証会社も一緒に契約することになります。
もし、家賃が支払えない場合の肩代わりや滞納する入居者への対応などをする会社です。最近は連帯保証人を立てる代わりに保証会社を利用するケースが増えてきています。

保証金額は家賃により金額が異なります。この保証会社は初回契約に家賃の約30~100%を支払い1年毎または2年毎の契約更新時にも同等の金額を支払うことになります。

地域によって違う?初期費用の相場

関東と関西でも違う

関東地域の賃貸契約の初期費用(例)

費目 家賃に対しての目安
敷金 1カ月~2カ月
礼金 1月~2カ月
前家賃 1カ月
仲介手数料 0.5~1カ月
火災保険+保証料+鍵 1~2カ月
引っ越し費用 1カ月~3カ月(※物件や広さによる)

 

関西地域の賃貸契約の初期費用(例)

費目 家賃に対しての目安
保証金(敷金+礼金) 3~8カ月
敷引き(礼金) 1~2カ月
前家賃 1カ月
仲介手数料 0.5~1カ月
火災保険+保証料+鍵 1~2カ月
引越し費用 1カ月~3カ月(※物件や広さによる)

※関西は敷引きがある

 

関西地域は初期費用が高くなる傾向があります。

関西は最初に保証金としてかなり高額な金額を預かります。
保証料は関東の敷金と礼金を足し合わせたもので契約時に退去する場合は
この保証金から退去費用を清算することは関東と同じです。

「敷引き」は、「保証金」の中から、退去時に入居者に返す必要がない金額を決めたものです。敷引きは更新料も含まれており、関西は更新料という請求がない場合があります

関西の方が関東より初期費用が高い傾向があります。しかし、その代わり更新料がないことを考えると長く契約するのであれば関西式の方が割安になるかもしれません。

最近は礼金を支払わない?

以前はほとんどの物件で礼金がありました。しかし、今や全国に賃貸物件があふれている状況です。少しでも入居者の初期費用の負担を下げて、入居しやすくするために改訂されたのが礼金です。敷金は退去時の為に必要な金額のために、いただく物件が多いのですが、大家さんへの礼金を請求する物件は徐々に少なくなりつつあります。

敷金が0円の物件もある

最近の賃貸物件では敷金が0円という物件もあります。この敷金0円という物件はどういう物件でしょうか?初期費用の安さに惹かれて契約しても後から高額な金額となるのでは困ります。契約し入居するにあたりどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか、以下にまとめました。

敷金0円物件のメリット

*初期費用が安く済む

最大のメリットはこの初期費用が安く済むということでしょう。
関東では敷金は1カ月~2カ月ですが、関西は高額です。

この金額がないということだけでも関西地域の引越しは楽になりますね。不動産検索サイトで本当に関西でも敷金0円の物件があるのか?
検索したところ、かなりの数がヒットしました。初期費用にお金をかけられない人ならこの敷金0円物件は嬉しいですね。

敷金0円物件のデメリット

 *人気がない物件の可能性もある

入居者には嬉しい敷金0円物件ですが、大家さんにとっては退去時にトラブルになるのが不安です。大家さんにとって、敷金を0円物件にするのは何故でしょうか?やはり1番は「早く入居者を入れたい」この理由が1番多いでしょう。何ヶ月も部屋が空室のままでは収入が減るだけです。それなら退去時は必ずルームクリーニング代や諸経費は払うと契約時に約束して貰い少しでも入居しやすくする方が良いという判断です。

でも、なぜそんなに部屋が空くのでしょうか?空室が埋まらない部屋にはやはり理由があります。

駅から遠い・部屋が古く大家さんが手を入れて補修する気がない・高いビルだが昔の建築でエレベーターが付いていない。または事故物件であるなどという可能性があります。条件にあえばお得なので、かならずよく物件条件を確認し、内見しましょう。

*家賃相場が適切か調べる

賃貸物件の募集広告を見るとき敷金0円物件はかなり目を引く事だと思います。しかし、ただ単純に「敷金0円物件、安い!」ではないかもしれません。敷金0円物件は大家さんにとっては不安のある物件です。

そのために、敷金を0円にする分家賃を高く設定している場合もあるのです。敷金0円物件でも相場より5000円、1万円程度家賃を高く設定されているとしたらホントに特になるでしょうか?

見極めとしてはまず、間取りや条件・家賃が相場かどうか確認します。相場と同等で敷金0円物件なら良いでしょう。似たような物件で相場より高い家賃で敷金0円物件だと、ちょっと検討が必要かもしれません。

*単純に名目が敷金でないだけの物件も

敷金0円物件でも、よく見ると「その他初期費用0円」という場合もあります。敷金という名目ではなく、初期費用でクリーニング代や諸経費などがあるという物件もあります。こんな場合は不動産会社へ初期費用の見積もりを取り、内容を確認してみましょう。

初期費用を抑えるには


賃貸物件の契約時には、さまざまな名目があり多くの費用が必要です。この高額な初期費用を抑えることはできるのでしょうか?初期費用を少しでも安くするポイントをいくつかご紹介しますね。

大家さんと交渉をしてみる

金額次第ですが、多少の交渉は可能となるでしょう。特に数ヶ月空室が続いている部屋、また時期がはずれていて、なかなか入居者が見つからず不動産会社も困っている時期を選ぶと交渉の余地が大いにあります。

転居の繁忙期シーズンは年末から5月のゴールデンウィーク位までです9~10月にも移転期がありますが、それ以外の6月7月、8月、11月は移転のオフシーズンの為、この時期に引越しする方は少ないものです。空いている部屋を一刻も早く満室にしたいという大家さんに対してであれば、前家賃0円の交渉をしてみると意外に了承してもらえる場合があります。

フリーレントを設けている物件を選ぶ

このフリーレントとは、入居から数ヶ月間は無料期間が有る物件のことをいいます、期間は1~3ヶ月くらいが多いようです。初期費用を抑えるためにも、このフリーレント期間がある物件は嬉しいですよね。

しかし、敷金0円物件でもお伝えしたとおりフリーレント期間1カ月の家賃を別の名目で請求されているかどうか?また家賃に上乗せしていないかは、必ずチェックする必要があります。

安い引越し会社を選ぶ

引越し業者の一括検索サイトでは1度入力するだけで何社も見積もりがとれます。引越し業者は人材不足で引き受ける件数を減らしたり、割増にしたりという条件が多いものです。しかし、なるべく引越し会社の都合にあわせることや、荷物を減らしして自分で運べる部分は自分で運ぶことが有効です。友人や家族で運搬を手伝うなど、出来る部分を増やすことが出来れば安い引越業者が見つかる場合もあります。

また、最近は物件により不動産会社が引越し会社を斡旋してもらえる場合もあります。条件があえばぜひ紹介して貰いましょう。

仲介手数料半月分、0円の不動産会社もある

仲介手数料0円なら不動産会社への手数料がない?どこで利益をだしているいのでしょうか?いくつかの理由が考えられます。

・大家さんから仲介手数料を貰っている場合
・大手アパートメーカーが自社の仲介事業を行い少しでも入居率を上げたい場合
・不動産会社が大手アパートメーカーを多数仲介すると歩合が入る場合

いずれの場合も入居率を上げる為なので、物件の見極めは先にご紹介した敷金0円物件やフリーレント物件と同じです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?引越しの初期費用は高額ですよね。でも、賃貸物件が飽和状態の今はむしろ借り手市場です。敷金0円物件やフリーレント物件などむしろ借りやすくするために業者さんが様々な手を尽くしています。

しかし、どんな場合でも自分の条件に合った部屋か?家賃は相場に適しているか?このあたりは物件をいくつか比較検討しないと分からない部分です。
いろんなサービスを使いお得で満足できる引っ越しが出来ると良いですね。皆様へのご参考となれば幸いです。

監修:大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)