不動産投資と聞いてどのようなイメージを思い浮かべられるでしょうか?ワンルームマンションやアパート一棟の投資オーナーという印象でしょうか?しかし、不動産投資はマンションやアパートだけではありません。駐車場やトランクルームなど最近は不動産投資の種類も多くなってきました。今回はアパートやマンション投資におけるそれぞれのメリット・デメリットやその他の不動産投資の種類についてご紹介いたします。

不動産投資の対象

不動産投資の投資対象それぞれについてのメリット・デメリットをみていきましょう。

区分マンションのメリット

・小額からでもはじめられる

アパート1棟などと比べるとマンション投資は数百万単位で比較的少額から投資可能です。ワンルームマンションなら数百万単位で始められるケースもあります。投資金額が低ければ返済の負担が比較的少なくなり、安定した投資となります。

・物件数が多く選びやすい

マンション投資は首都圏を中心に多くの物件があります。多少物件価格が高くても空室率が低く、家賃が高めの首都圏のマンションを選ぶか地方にお住まいの方ならば手始めに、お住まいの地域の都市部で少額なものから始めることもできます。

 ・地域を分散することでリスクヘッジしやすい

もし投資家がマンションを1室しか所有していなかったら、その部屋が空室となると家賃が全く入らず返済なども厳しくなるでしょう。しかし、何部屋が所有しているのであればたとえ1室空いたとしても他の部屋の家賃でカバーすることができます。

 区分マンションのデメリット

・空室の影響が大きい

1棟アパート経営のように何部屋も所有しているのであれば、10部屋所有していた場合1部屋空いても空室率は10%です。しかし、1部屋か2部屋所有して1部屋空けば空室率は50%または100%となります。

・管理費修繕積立金等のコストがかかる

一般的にマンションには管理組合があり、修繕費や積立金が必要となります。ランニングコストとして経費がかかりますので、中古物件・新築に限らず購入する際は必ず管理費や修繕積立金等を確認しましょう。

 1棟アパート(木造)のメリット

木造アパート1棟には概ね4部屋から10部屋前後の部屋数で、建築資金も4千万位から始められ宇ケースもあります。その前提でみていきましょう。

出典:建築着工統計調査 住宅着工統計 年次 2017年 | ファイルから探す | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口(https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&tstat=000001016966&cycle=7&year=20170&month=0&result_back=1&second2=1&tclass1val=0)

 ・空室リスクを分散できる

先にご案内したとおり、部屋数を複数所有している場合、たとえ空室が出ても他の満室の部屋で家賃回収のカバーが可能です。

 ・建築費・修繕費が比較的安い

木造アパートはRC・鉄骨マンションと比較すると建築資金が安くすみます。一般的なRC・鉄骨マンション構造なら建築資金は階数や部屋数にもよりますが少なくとも1億の建築資金が必要です。区分マンション投資よりは資金が必要ですが、収支が見込める敷地やすでに土地を所有している人の場合は取り組み安い不動産投資です。

・固定資産税が安い

空き地のまま所有している土地であれば、アパートを建築することにより土地の固定資産税の軽減措置が認められます

*固定資産税の算定計算*

課税標準額 × 1.4% = 固定資産税額 となります。

このような遊休地にアパートを建築し、小規模住宅用地(1戸当たりの敷地面積が200㎡以下の住宅)の減額特例の適用となれば課税標準額が6分の1に軽減されます。遊休地所有し、固定資産税の支払いに悩んでいる方にとってはアパート経営をはじめることで、税制面でメリットを得られるでしょう。

  ・減価償却費を大きくとりやすい(耐用年数が短いため節税効果が高い)

減価償却費とは建物の劣化を見込み、年間の建物の劣化分を計算し経費として計上することです。木造アパートの場合は耐用年数が22年となります。

(例)木造アパートを建築し、建物部分が1億円の場合の初年度の減価償却費

木造:1億円×償却率0.046(耐用年数22年)=減価償却費460万円/年

同じく1億円でRC・鉄骨構造マンションを建築した場合では

1億円×償却率0.022(耐用年数47年)=減価償却費220万円/年

となり年間の減価償却費としては木造アパートの方が年間240万円もの経費を計上できる計算になります。
この経費計上により全体の課税額が低くなる効果があります。所有地を空き地のままにしておくよりも、アパートやマンション経営をおこなうことで、固定資産税を減額し、減価償却費の効果を得られて、税金の負担を減らすことができます。

出典元:国税庁
URL:https://www.keisan.nta.go.jp/survey/publish/34255/faq/34311/faq_34354.php
URL:https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/070914/pdf/06.pdf

・マンションに比べて利回りが高い

部屋数にもよりますが、マンションの建築費と木造アパートの建築資金は大きく違います。しかし、家賃設定をする場合においてマンションがアパートの場合よりも2倍以上の差をつけられるか?となると同じ間取り、立地条件においてはそれほどの差がでてきません。木造アパートの利回りが高いのは建築資金からみて家賃設定が高いためです。不動産投資にて利用されている利回りは粗利という表面利回りである場合が多いです。

*表面利回りの計算式*

年間利益(1年分の家賃収入) ÷ 物件購入費× 100  = 表面利回り

1棟アパート(木造)のデメリット

・節税期間がマンションに比べて短い

先の減価償却費にてご説明したとおり木造アパートの原価償却期間は22年となります。

・音や振動が伝わりやすい

木造アパートの入居者同士のトラブルというと音や振動による騒音問題が起こりやすくなります。

 

一棟アパート経営について詳しく知りたい方はこちらから
⇒ 失敗しない為の賃貸アパート経営 メリット・デメリット、空室リスク対策

1棟マンション(鉄骨・RC)のメリット

次は、マンション1棟を経営する不動産投資のメリット・デメリットです。

・家賃が下落しにくい

マンションでは、建物構造が強固であり、また同じ条件のアパートよりは仕様や設備が良い場合が多いので、家賃を多少高く設定できます。

・融資がつきやすい

銀行からの融資においては木造アパートよりはRC・鉄骨マンションの方が評価は高く融資が付きやすいといわれています。建物の耐久性も見込まれてのことでしょう。

・木造よりも高い建物にできる

3階建て以上にする場合には、耐火建築物にしなければならず、木造ではコストがかかることと技術が必要であるため敬遠されがちです。しかし、RC・鉄骨マンションならば階数を高くして部屋数多くすることでコストとの釣り合いがとれます。

1棟マンション(鉄骨・RC)のデメリット

*建築費・修繕費が高くなる

RC・鉄骨マンションの建築資金は約1億円以上という試算があります。修繕費もその分高くなり経費が上がることになります。階数が高い建物ならばエレベーター設置も必要となりますし点検の費用も発生します。

*固定資産税が高い

RC・鉄骨マンションは木造アパートに比べて一般的に、固定資産税が高くなります。コンクリート造や鉄骨造のため、木造よりも耐火性や耐震性に優れていることが理由の一つにあげられます。参考までに東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表からも木造より鉄筋コンクリート造は建物課税標準価格が高いことがわかります。

*建て替えが困難である

RC・鉄骨マンションが老朽して立て替えとなると高額な解体費用が必要となります。建築資金や解体費用においてもRC・鉄骨マンションは高額な費用が必要となります。

出典:東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表
URL:http://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/content/001142072.pdf

戸建てのメリット

・利回りが期待できる

戸建て賃貸は比較的家賃を高く設定できるため高い利回りが期待できます。

・1度入居すると空室になりづらい

戸建て賃貸はファミリー層が入居する場合が多く一度入居するとお子さんを転校させたくないなどとの理由もあり長く契約していただける場合が多いです。

・間取りの変更をしやすい

RC・鉄骨マンションより、戸建住宅はリフォームなどをしやすいというメリットがあります。庭なども付いており敷地に余裕があれば駐車スペースを広げることも可能です。

戸建てのデメリット

・空室の影響が大きい(100%)

戸建て賃貸のため退去されれば家賃は入らなくなります。アパートやマンションの1棟経営よりは空室リスクが高くなります。

・退去時の修繕費が割高

長い入居後の退去は建物が広い分修繕費やクリーニング代が高額になりがちです。経年劣化による汚れ等の修繕費用は投資家が負担するために一部屋のみクリーニングするだけでよいアパートやマンションよりも割高になります。

 

一戸建て賃貸経営について詳しく知りたい方はこちらから
⇒ 一戸建て賃貸経営はこんな人にお薦め!メリット・デメリット丸分かり

その他の投資方法

不動産投資は、アパートやマンションの賃貸経営だけではありません。
不動産投資には多くの種類があります。

REIT(J-リート・不動産投資信託)

J-REITとは多くの投資家から集めた資金でビル建築や大型ショッピングモールなどにの不動産に投資し、その賃料や売買益を投資家に分配するものです。

 

リートついて詳しく知りたい方はこちらから
⇒ 不動産投資信託(リート)って何?

駐車場・駐輪場

メリットは初期費用が少なく済み、建物がないため、ランニングコストが低いことです。デメリットは、立地条件が限られることとやはり駐車場が増えて
きており競争が厳しくなってきていることです。また建物を建てないために、税制上の優遇措置はほとんどありません。

トランクルーム

日本ではあまりメジャーではありませんが今後に期待できる投資方法です。需要のある都市部やオフィス街で収益が見込まれます。

高齢者住宅(介護系)

アパートやマンション経営と内容は同じですが、建物を介護施設として利用する設備投資が必要です。普通のアパートやマンションより投資金額が高くなる可能性もあります。

シェアハウス

最近流行のシェアハウスですが、各戸を独立させる必要がなく投資効率が良いという反面、盗難や家賃未払いなど入居者のトラブルも多くノウハウが必要となります。

民泊

民泊投資のメリットは手軽に始められるという点でしょう。所有するアパートやマンションの空室対策として利用される方も多いです。デメリットは、外国人の方など風習も違い日本語も通じないという場合トラブルが起きたときの対応が大変です。また、管理規約として法的に認められている物件がまだまだ少ない現状です。民泊のポータルサイトのURLも追記しましたので、ご興味のあるかたはこちらをご覧ください。

出典:民泊制度ポータルサイト
URL:http://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html

最後に

いかがでしたでしょうか?不動産投資と一言でいってもアパートやマンション投資だけでなく、現在は不動産投資の選択肢が多くあります。それぞれにメリット・デメリットがあり、経験の有無や投資金額によりご自身にあった投資対象をご検討いただければ幸いです。

監修:大長 伸吉(不動産投資アドバイザー)