資産を作る為の不動産投資。投資する金額も高額となり、投資する方にとっては「失敗」は許されないものとなります。しかし投資にリスクはつきもの、100%安全な投資というものは存在しないものです。慎重に物件や投資対象を決めたとしても、いざはじめて見たら思わぬトラブルや誤算があり計画通りにいかなかったといっても責任を取るのは全て自分です。どんなリスクも想定内なら次の手が打てるもの、不動産投資失敗の原因について考えていきましょう。

不動産投資で失敗するということは

基本的に不動産投資で失敗するということは、家賃収入が入らない、入っても資金繰りがうまく回らず返済が滞ることを言います。不動産投資の失敗にはどんな要因が有るのでしょうか?

 入居者が入らずにローンが支払えない

不動産投資で多い失敗例には、入居者が入らず家賃で返すつもりだったローンの返済のめどが立たないということでしょう。アパートやマンションローンの支払いは、入居者の有無にかかわらず毎月必ず返済が待っています。最初の数ヶ月は入居者が入らなくても、返済に回せる運転資金が必要となりますね。

修繕費ばかり掛かる

中古物件を購入された投資家によくあるパターンです。木造物件の方が利回りが高いということに注目しても築年数が経っている物件ではやはり修繕費が年々上がってくるものです。また、退去の際の原状回復における年劣化はすべて投資家持ちです。入退去の頻繁な物件では修繕費が高額になっていきます。

 退去者がたくさん出てしまう

大きな大学や企業が近くにある物件の場合、一時的にこのような状況になりやすいです。学生さんだと、3月に卒業で退去される方が増えたり、企業が独身寮や借り上げ社宅などを建築するとそちらに引越しをしたりと退去者が発生します。大学や企業が近隣にあればすぐ入居者が決まる場合も多いのですが、一旦空室になると、次の入居者の賃料が入るまでの資金繰りが大変となります。

最終的に不本意な形で物件を手放す

入居者が入らず、ローン返済もままならないのであれば最終的には損失を覚悟のうえで売却となります。また、担保物権となっていることから差し押さえになる場合も考えられます。

不動産投資失敗の実体験談

実際不動産投資をしてみて、失敗したという実体験談から主な失敗体験をピックアップしてみました。

セミナーで言われたとおりの利回りにならなかった

セミナーでは10%越えの利回りだったが、実際に不動産投資をしてみたら実質は5%程度だった。

なぜ、このような事が起こるのでしょうか?
それは、利回りには表面利回りと実質利回りの二つがあるからです。

表面利回りは

   年間家賃収入(満室想定時) ÷ 購入価格 ×100

にて算定される利回りでこの表面利回りには税金や管理費など諸経費は一切含まれていません。

実質利回りは

(年間家賃収入(満室想定時)-年間諸経費)÷ (物件価格+物件購入時の諸経費)×100

で購入時や年間諸経費を含めた利回りです。

この実質利回りを確認しないと思わぬ損をしてしまいます。

実際に購入をしたら劣化のひどい物件だった

購入する前に物件を見ておくことも大切です。写真だけでは内部は分かりません、外回りは外壁の塗り直しだけでもキレイに見えますが築年数が建っている物件なら水回りを含め劣化している部分があるはずです。必要であれば専門家の方にお願いし物件の適正評価額をだしていただくのも一つの手段です。

金利が借り入れ後から急に上がって返済が苦しくなった

ほとんどの投資家はアパートローンなど不動産投資ローンを組むと思います。金利については変動金利・固定金利とありますが長い返済期間を見越すのならば固定金利で資金繰りを計算すると見込みが立てやすいです。資金繰りが順調であれば繰り上げ返済も可能です。本当に返済が厳しくなってきたのであればリスケジュール略してリスケと呼ばれる「返済条件の見直し」を銀行へ提案してみましょう。銀行にとっても貸し倒れになるよりはと、相談に応じていただけるはずです。

サブリース契約をしたのに、契約更新で収入が下がった

サブリース契約とは家賃の何割かをサブリース会社に支払い、建物の管理・入居者付け関連業務を行ってもらい、空室時の家賃保証もして貰える契約のことです。
建てたアパートやマンションがなかなか満室にならない場合、投資オーナーから見れば「1室や2室空いても家賃保証してもらえる」と考える方が多いですが、このサブリース契約は、部屋の空室率があがれば契約更新時に家賃保証額が減額される可能性が高くなります。サブリース会社も何時までも損を出し続けてはいられません。

そして、このサブリース契約は投資オーナーからの契約解除は非常に困難ですがサブリース会社からの契約解除は可能な点が問題視されています。また、サブリース契約期間中に定期的な補修を行う場合、その費用は全額オーナー側が負担することがほとんどです。サブリース契約は良い話ばかりではないことをご認識ください。

地震で被害が出たのに修繕金がなかった

大きな地震が発生した場合の被害ははかり知れないものです。大規模な修繕を行おうとすると、多額の資金が必要となります。
このような場合は、投資オーナーの味方になるのが保険の加入です。

入居者向けの保険だけでなく、アパートやマンションオーナー向けの保険もあります。内容にもよりますが、区分所有の地震保険は年間2万~、賃貸アパートの場合は年間12万~となっています(2018年3月時点)。普通の火災保険よりは高額ですが、被災リスクを考えると加入しておくことも一つの方法です。

出典:三井住友海上(www.ms-ins.com/personal/kasai/gk/example.html

不動産投資で失敗しないための対策

不動産投資に関する失敗原因は多くありますが、対策を立ておけば大きな損失を防ぐことも十分可能です。ここでは具体的な対策をご紹介いたします。

自己資金を2割は用意する

住居用の住宅ローンでも言われることですが、頭金は最低でも2~3割を準備しておくとその後の返済等に余裕を持てます。また、投資マンションを購入後すぐ空室になった場合を想定して1年くらいの運転資金も確保しておくとさらに安心ですね。

人口動態を見て需要が続きそうなエリアを選ぶ

アパートやマンションを購入するのなら、その立地条件を考慮に入れる必要があります。日本は高齢化になってきていますが、アパートやマンションの周辺の人口動態はいかがでしょうか?近くに大きな企業がある、都心部から電車で30分以内の好立地にある等、いろんな条件があるでしょう。郊外でも近くに大学があれば、学生さん向けのワンルームマンションや1LDKの単身者向けのアパートやマンションの需要が見込まれます。学校や医療機関が整っている場所ならファミリー向けの不動産投資を検討する。このように、立地条件により投資する不動産物件を考慮しましょう。

ノウハウがなければ古すぎる物件を購入しない

木造アパートの中古物件など、かなり安く売られている場合があります。木造アパートの中古物件では、10年以上経つと徐々に劣化がはじまります。退去時の経年劣化部分は投資オーナー持ちになります。全面改築を前提とした購入か、何棟も所有していてアパートを経営した経験がある方で無い限りは、築年数の経った物件はあまりおすすめしません。

最後に

不動産投資の失敗の原因をお伝えしてまいりましたが、失敗には多くの要因があり、すべての要因に対策を立てることはなかなか難しいことです。
最終的に自分の資産として収益を生み続ける物件を見つけるために、妥協せず情報収集し正しい判断ができるよう、時には専門家に相談することも検討してみましょう。不動産投資をご検討されている皆様へのご参考となれば幸いです。