副業や将来に向けた資産形成のためにアパート経営を始めてみたいと思っている人は少なくないでしょう。アパート経営は景気の影響を受けにくく、計画的に経営を行えば長期に渡って安定した収入を期待できます。しかし、アパートには新築と中古があり、入居率や設定できる家賃などさまざまな点で差があります。もしも賃貸経営するとしたらどちらを選んだらよいのでしょうか?ここではアパート経営する際の新築と中古の違いについて解説します。

新築アパートVS中古アパート!不動産投資はどっちが人気?

まずは、アパート経営をするなら新築アパートと中古アパートのどちらを選ぶ人が多いかアンケートを取ってみました。

【質問】
自分で経営するなら、新築アパートと中古アパートのどちらがいいですか?

【回答結果】

新築アパート:98名
中古アパート:53名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:151サンプル

★新築アパートを選ぶという人が6割以上
今回のアンケートでは、新築アパートを選んだ人が全体の6割以上を占めました。

・購入する際は高額でも、新しい方が入居率を期待できるので。(60代/パート・アルバイト/男性)
・中古の場合、耐震性などを考慮する必要があるし、維持管理費がはじめから多くなりそう。そして、自分が借りる場合、もし家賃が同額で、立地条件も大差なしの条件でどちらを借りるかを選ぶなら、きれい(新築)を選ぶと思う。(30代/無職/男性)
・自分が住みたいと思える形(間取り等)のアパートを作りたいから。(20代/会社員/女性)

新築アパートを選んだ人は、中古アパートよりも新築アパートの方が高い入居率を期待できると考えているようです。自分が住むなら今どきの間取りの新築がいいし、同じ立地条件なら新しくてきれいな新築アパートを選ぶ人が多いだろうと考えるのもうなずけます。一方、中古アパートを選んだ人のコメントは次の通りです。

・まずは安い中古にしておき、儲かれば新築にする方がリスクは少ないような気がします。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・中古アパートを自分でリフォームして貸すのが一番コスパはいいからです。(40代/自営業(個人事業主)/男性)
・中古で安く購入し、女子学生向けのおしゃれなアパートにリノベーションしたい。(50代/専業主婦・主夫/女性)

中古アパートを選んだ人のコメントを見ると、コストパフォーマンスを重視している様子がうかがえます。新築アパートは初期投資の額が大きく、最初に手を出すにはリスクが大きすぎるという声も聞かれました。アパート経営の初心者が用意できる自己資金の額や手に入れやすさを考えたうえで、中古アパートから始めることを選んだ人が多いようです。

アンケートの結果、新築アパートにも中古アパートにもそれぞれ賃貸経営に向いている部分があるということが改めて感じられました。では、それぞれの特徴やメリットとデメリットを見ていきましょう。

新築アパートのメリット・デメリット

新築アパートとは、更地の上に基礎を築いて建てるアパートです。オーナーがどのようなデザインにするか、どのような建材を使うかなど、一から関わることができる点が特徴です。賃貸経営で新築アパートを選ぶメリットとデメリットを挙げると次のようになります。

【メリット】
・空室率が低い
家賃が多少高めでも新築を選ぶ人が多く、入居者の募集は割と楽です。
・資産価値が高い
減価償却が始まる前なので、当然資産価値は中古よりも高い状態です。
・資金が少なくても始められる
初期投資の額は高くなりますが、新築アパートは金融機関の評価も高いため、自己資金が少なくても高額なローンを組むことが可能です。

【デメリット】
・価格が高い
いちから建設していくため購入価格は高くなります。
・利回りが低め
いくら中古アパートよりも家賃を高く設定できても、購入時の価格が高い分利回りは低くなります。家賃の差よりも物件自体の差の方が大きいためです。

中古アパートのメリット・デメリット


新築以外のアパートはすべて中古アパートです。ですから、築1年でも築50年でも中古アパートという括りになります。既に人が住んでいる状態でアパートを購入した場合には、最初から家賃収入を手に入れられます。中古で安く購入したうえで、リフォームやリノベーションしてから貸し出すという方法もあります。このようにアプローチの仕方に幅があるのが中古アパートの特徴です。中古アパートのメリットとデメリットを挙げると次のようになります。

【メリット】
・利回りが高い
購入価格を安く抑えられるため、それなりの家賃を設定できれば利回りが高くなります。
・価格が安い
築年数や立地条件にもよりますが、通常は新築するより安く購入できます。

【デメリット】
・資産価値が低い
金融機関の評価が低いため、高額なローンは組みにくいと言えます。
・空室率が高まる傾向
立地条件がよければ別ですが、新築のアパートに比べると入居者の募集に苦労する傾向が見られます。
・耐震基準に未対応のおそれ
築年数が古いものは、最新の耐震基準には合っていない可能性があります。もし、耐震基準に合っていない場合は、補強のために余分な費用がかかることも覚悟しておく必要があります。

新築と中古のどちらを選ぶ?判断基準は5つ

新築アパートと中古アパートを比較するポイントは「初期投資額」「空室率」「資産価値」「利回り」「維持費」の5つです。これらの点をそれぞれ比較したうえで、自分が経営するにはどちらが合っているかをよく考える必要があります。

例えば、初期投資額を抑えたいのであれば中古アパートですが、少ない自己資金で購入できるのは新築アパートです。空室リスクを避けてできるだけ楽に収益を上げようと思ったら中古よりも新築がいいでしょう。立地がほぼ同じで家賃の差がそれほど大きくないのであれば、新築アパートを選ぶ人が多いため、空室率を低く抑えられるのはやはり新築です。将来売却することを考えているのであれば、資産価値が大きい新築アパートのほうがいいかもしれません。ただし、新築アパートは評価額が高い分だけ、固定資産税なども割高になります。利回りに関しては、郊外や田舎の中古アパートのほうが都心部の新築アパートよりもかなり高くなります。しかし、それは全室満室を前提として計算しているためです。この手の利回りは実際とはかけ離れていますから、実質的な利回りを計算して比較するようにしましょう。維持費に関しては中古アパートのほうが断然かかります。古くなった設備の取り換えやリフォームにお金がかかるからです。新築アパートはできたばかりですから、設備の取り換えやリフォームを考える必要がありません。これらのチェックポイントを総合的に見て、自分が経営するのにふさわしいのはどっちかを判断することになります。

最後に

アパート経営では、新築アパートを選ぶか中古アパートを選ぶかによってメリットとデメリットが逆になります。ですから、どちらのアパートを選んだほうがよいかは立地条件などにもよります。アパート経営を始める場合、購入価格が安い中古アパートから始める人が多いようですが、新築のほうは資産価値が高い分だけローンを組みやすくなります。空室リスクが低いのも新築アパートのため、どれだけ資金を用意できるかなども考えたうえで、慎重に選びましょう。
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