サラリーマンオーナーも少なくないマンション経営。不労所得を得る方法として、副業や定年後の生活設計のために始めようと考える人も少なくありません。なかにはマンション経営を一攫千金のギャンブルのように考えている人もいるようですが、マンション経営は短期間で巨額の利益を得られるようなものではありません。では、マンションオーナーはどれくらい稼いでいるのでしょうか?ここではマンション経営者の収入について解説します。

マンション経営者の収入イメージ調査

まず、ワンルームマンションの経営者がどれくらい稼いでいると思っている人が多いのか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
ワンルームマンション経営者の年収はどれくらいのイメージですか?

【回答結果】


0~30万円:15名
30~100万円:65名
100万円以上:64名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:144サンプル

★マンション経営は儲かるイメージを持っている人が多い
今回のアンケートでは、30万~100万円と回答した人がもっとも多いという結果でした。

・ワンルームだと1室あたりの単価が低いので年間収入はあまり高くはならないと思う。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・1ヶ月の家賃を5万円とすれば、年間の賃料収入は60万円程度なので。(60代/会社役員/男性)

30万~100万円と答えた人は、家賃収入をそのまま年収として考えている人が多いようです。ワンルームマンションの家賃を想定してそれを12ヶ月分で計算している人が目立ちました。次に多かったのは1票差で100万円以上という回答でした。

・1部屋8万円だと考えて、最低1階に2部屋3階建てだとしたら。1ヶ月48万なので×12ヶ月だと100万はこえそうなので。(40代/専業主婦・主夫/女性)
・ワンルームのオーナーになると、1部屋と言う事は無いので、4~5戸は買って運用するので、300万円程度だと思います。(40代/自営業(個人事業主)/男性)

100万円以上を選んだ人のコメントを見ると、複数戸経営している前提で答えている人が多いようです。1棟丸ごと経営していることを想定している人や、ワンルームマンションは立地のよい場所にあるという前提で答えている人も目立ちました。選んだ人がもっとも少なかったのは0~30万円を選んだ人です。この選択肢を選んだ人のコメントは以下の通りです。

・ワンルームだと、家賃も安いので、家賃収入からローンをひいてはそれくらいかなと思います。(30代/パート・アルバイト/女性)
・1つの部屋であればさほど多くないと思いますが、数を多くすることで収入が増えます。(50代/会社員/男性)

0~30万円と答えた人は、ワンルームマンションのオーナーが1部屋しか持っていない前提で、ローンの返済や諸経費を払うと儲けは少ないだろうと考えているようです。最初は借入金の返済ばかりで儲けは出ないと答えている人もいて、かなり現実的な経費を想像しながら答えていることがうかがえました。

今回のアンケートでは、それぞれの回答者が頭の中に思い浮かべたワンルームマンションオーナーのイメージに差があったようです。では、一般的なマンション経営者の収入について見ていきましょう。

マンションオーナーの収入実態

1室8万円のワンルームマンションを1室だけ持っているオーナーの年収を計算してみましょう。1ヶ月8万円の家賃収入は12ヶ月分で96万円です。しかし、そのまま全額が手取り収入になるわけではありません。そこから管理費、修繕積立金、管理委託料が引かれてしまいます。月々の管理費が4,000円、修繕積立金が1,000円、管理委託料が3,000円だとして、この3つの費用だけでも年間9万6,000円かかります。そのため、手取り家賃収入は年収で86万4,000円です。しかも、その手取り額から、最初のうちはローンの返済を行うケースが多いはずです。ですから、月々いくらローンを返済していくかにより収入の額が変わります。

このように、家賃の額が小さいワンルームマンションを経営する場合、1室だけの経営では、空室リスクなども考えるとあまり大きな収入は見込めないことがわかります。まとまった収入を期待するのであれば、複数の部屋を所有して経営する必要があるでしょう。複数の部屋を持つことで、ローンの金額も増えますが、空室リスクを補って収入がゼロになってしまうのを防げます。取得する時期や売却する時期をずらすなどすれば、大きな収益を上げることも可能になります。

年収は低い?でもメリットは多い!


マンションを1室しか持っていない場合は、数万円から数十万円の年収になることが少なくありません。しかし、景気変動に強いマンションという現物資産を手に入れられることや、ローン完済後はキャッシュフローが改善され、経費を抜いた分は全額収入となることを考えると決して損ではありません。売却するタイミングを考えれば、収益を次の物件の購入資金に充てることもできるため、複数の部屋を所有・経営できれば、収益性は大幅にアップします。

見逃せない節税メリット

副業としてマンション経営を行うと、給与所得から所得税を源泉徴収されている会社員も経費を計上できるようになります。もちろん、経費として計上できるのはマンション経営に関わる経費だけですが、もともと経費の計上が認められていない給与所得者にとって、余分に払った税金を取り戻すチャンスがあることが大きいと言えます。マンション経営には細かな経費がいろいろかかるため、それらを必要経費として計上することで課税対象額を減らすことができます。

また、土地以外の資産は減価償却することができるため、一度に支払った費用でも数年に分けて経費として計上することができます。資産の減価償却費をどのように計上するかという点が最大のポイントになりますが、耐用年数に応じて少しずつ経費として計上できる点は、給与所得者にはメリットになります。

それ以外にも、経営で赤字が出たときには、本業の給与所得と合算して損益通算できるため、それによっても所得税を下げることが可能になります。所得税の評価額が安くなれば、その額をもとに計算される住民税も当然安くなりますから、両方合わせれば大きな節税になります。

収入を増やすためのコツ

家賃収入を増やすためには、できるだけ入ってくる金額を増やした上で、可能な限り支出を減らすことが基本です。

例えば、周辺の相場よりも家賃を1,000円だけ高めに設定することも、収入を増やすためには有効です。周りに合わせて横並びにするか、他よりも下げたくなるところですが、あえて1,000円高めに設定します。全く差がないと物件を探す人の目には留まりにくくなりますが、1,000円の差だけで候補から外す人はあまりいません。逆に1,000円高い方が周りの物件より価値が高いようにも感じさせられます。月々たった1,000円だけですが、その分で経費の一部を賄うことができるかもしれません。いざとなったら、その1,000円を値引きすることが空室対策になるかもしれません。

基本的には支出をいかに減らし、空室対策をどこまで徹底してできるかが収入を増やすためのポイントになります。経費に無駄はないか、税制の特例等の対象になっていなか、周囲の相場と比べて家賃や設備は魅力的かどうかなど、常にアンテナを張り巡らして、経営に活かすようにしましょう。

最後に


マンション経営は、どこにいくつの物件を持つか、物件の種類はワンルームかファミリー向けかなどによって、大きく収入が変わってきます。また、ローンを組んで物件を購入した場合には、経営を始めてすぐに儲けが出るようになるわけではないため長期計画が必要です。しかし、複数のマンションを計画的に経営できれば、収入を増やすことができ安定もします。長期スパンでプランを立てた上で、複数マンションの経営を考えてみましょう。
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