マンション経営を成功させるためには、経費についての知識も必要です。マンションを経営するにあたって、どのような経費がいつ頃かかるのかということを知っておかないと、いざ経費がかかる時期になったとき、お金がなくて払えないという事態にもなりかねません。必要な経費を必要な時に支払えるようにしておくことが、マンション経営を成功に導きます。そこで、マンション経営を成功させるために、知っておきたい経費に基礎知識をご紹介します。

マンション経営の経費はどれくらい重要?


まずは、マンション経営を行う上で、何の金額を重視する人が多いのか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
マンション経営で収入を得るために重視したい費用はどれですか?

【回答結果】


家賃収入額:74名
借入金返済額:36名
諸経費:34名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:144サンプル

★家賃収入を重視する人が過半数
今回のアンケートでは、家賃収入の額を最も重視すると答えた人が過半数を占めました。

・家賃の収入が多ければいろいろなことがうまくいくのではないかな、と思いました。(20代/専業主婦・主夫/女性)
・自身の生活に直結してくるので家賃の収入額は最優先事項だと思います。(40代/会社員/男性)

家賃収入額を重視すると答えた人のコメントを見ると、「収入を得るためにマンション経営をするのだから当然」という意見や「家賃収入が多ければ、他の費用に充てられるはず」という意見が目立ちました。何をするにも家賃収入がなければ始まらないと考えている様子がうかがえます。次に多かったのは借入金返済額と回答した人でした。

・マンションの価値は年々下がる。しかし、借入金があまりにも多いと売却することによって損が発生し、売却出来なくなってしまうから。(40代/専業主婦・主夫/女性)
・最初は、返済をしっかりしていかなければ、プラスにもならないので返済額を重視したいです。(20代/会社員/男性)

マンション経営では、ローン返済が終わらなければ、家賃収入があっても返済に充てるだけで消えてしまいます。利益を少しでも多く出すためにも、ローンを早く完済させなければと考えるのも頷けます。無理なく返済できる金額でありながらも、できるだけ早くローンを完済させられる金額という意味で重視している様子がうかがえました。最後に選んだ人が最も少なかった諸経費を選んだ人のコメントです。

・家賃収入額と借入金返済額は決まっているが、諸経費は増減がある。(40代/パート・アルバイト/女性)
・維持していくために諸経費を重視していきたいと思います。(50代/会社員/男性)

諸経費を選んだ人のコメントには、諸経費の額が築年数などによって変動する点を気にする声が目立ちました。マンションを維持していく費用に注目しないと経営は成り立たないと考えている人が多いようです。

今回のアンケートでは、経費に注目している人は少ないという結果になりましたが、経費について詳しくなれば収入額を増やすことが可能になります。では、どのような経費について知っておくべきなのか、詳しく見ていきましょう。

管理運用に伴う毎月の経費

マンション経営の場合、普段の管理を管理会社に委託することがほとんどです。そのため、家賃の集金代行、設備の工事や修繕の手配、入居者対応などを委託した管理会社に支払う管理手数料を計算に入れておく必要があります。マンション全体の管理費ではなく、管理会社に大家の仕事を代行してもらうための費用です。管理運用のための経費は毎月発生するため、契約時に1回支払ったら終わりというわけにはいきません。毎月いくら必要なのかをしっかり把握して、支払えるように用意しておきましょう。

 

突発的な臨時の経費

室内設備の修理・交換費用、退去後のリフォーム工事費用などの費用も想定しておく必要があります。室内設備というとエアコンの取り換えや畳の張り替えなど大掛かりなものを思い浮かべるかもしれませんが、蛍光灯の交換のような小さなものも含みます。少額でも回数が頻繁になればトータルでの金額は高くなるため、どれくらいかかっているのかは詳細な報告を受けて、はっきりさせておくことが大事です。退去後のリフォーム費用も、すべて敷金・礼金で賄えると思っていると失敗します。入居者の責任によらない、経年による汚れや傷みなどは入居者に費用を請求できません。オーナー負担の修繕やリフォームもあるため、そのことを理解して、万が一の費用に備えておくことが大事です。

その他の経費も知っておこう


マンション経営をしていたら、確定申告をする際に、旅費交通費や通信費、新聞図書費、接待交際費、消耗品費、外注費なども経費として計上できます。
・旅費交通費
物件視察を行ったときの交通費や宿泊費。
・通信費
マンション経営の際に使用した郵便切手代や電話料金など。

・新聞図書費
世の中の経済状況や不動産市場の動きなど、マンション経営を行う上で必要な情報を収集するための新聞や書籍の購入費用。

・接待交際費
マンション経営をする上で欠かせない不動産会社や管理会社との打ち合わせ、税理士との相談などの際の手土産や飲食代。

・消耗品費
チラシ作成のために購入した印刷用紙やインクはもちろん、カメラやプリンターの購入費も計上が可能。

・外注費
マンション経営に関わる作業を依頼した税理士や、トラブル解決のために依頼した弁護士などに対して支払った報酬。
他にもマンション経営のためかけた費用であることが立証できる場合、経費として計上できる可能性があります。

減価償却費を理解して手元にお金を残そう

土地以外の資産は使い続けることによって資産価値がだんだん減っていき、最終的には価値が無くなってしまいます。しかし、購入費用の額が大きく、収益を得るために何年にも渡って使うことができる資産の場合、最初の1回しか経費として計上できないのでは損が大きくなってしまいます。そこで、資産を購入するときに1回だけかかった費用を、耐用年数に応じて分割して費用として計上できるようにしたものを減価償却費といいます。賃貸マンションを経営する場合、部屋そのものはもちろん、部屋の備品についても減価償却費として経費計上することが可能です。家具・家電付きで貸し出すなら、家具や家電なども減価償却費の対象になります。建物と設備とでは耐用年数が異なるため、初年度から合算せずに、建物と設備に分け、設備も各設備に細分化して計上するのがコツです。

経費として認められない費用

いくら建物の修繕に使った費用であっても、自分が住んでいる家の修繕費は経費として計上することはできません。地震保険料なども同様です。あくまでもマンション経営をするためにかかった経費であることが条件です。ですから、自宅を売却したときの譲渡損も経費として計上することはできません。

まとめ

マンション経営で成功するためには、経費についての理解が欠かせません。収益物件を経営するということは、定期的に入ってくる家賃収入でマンションを購入したときのローンを返していって完済するというような単純なものではないからです。入居者に入居し続けてもらうためには、魅力的な状態を維持しなければなりません。そのためにかける費用は常日頃から準備しておく必要があります。逆に払わなくてもよい経費まで支払う必要もありません。減価償却費など経費を攻略できれば、それだけ収益を増やすことにも繋がります。
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