自分が持っている土地を有効活用したいと考えている人は、アパート経営についても一度くらいは考えたことがあるかもしれません。しかし、本当にアパート経営でよいのか迷い始めると、なかなか前へ進めなくなってしまうことも少なくないようです。それなら、この機会に自分の持っている土地がアパート経営に適しているかどうかチェックしてみましょう。ここでは、自分が持っている土地でアパート経営するときの手順について解説します。

☆所有する土地でアパート経営をするメリット

まずは、既存の土地でアパート経営をすることのメリットについて考えてみましょう。土地は持っているだけでも固定資産税や都市計画税がかかります。もしも更地の状態で土地を持っていると、建物が建っているときの最大で6倍の固定資産税と3倍の都市計画税を支払わなければなりません。正しくは、建物が建っていると特例でそれぞれ6分の1、3分の1になるのですが、建物が建っていないというだけで余分な税金を支払わなければならないのです。だからと言って、誰も住まない古い家屋をそのままにしておくと、その建物にも固定資産税がかかるうえに、維持費もかかります。維持せず空き家の状態で放置した場合、万が一放火されたり、不法に占拠されたりしたときには、所有者として責任を問われることにもなります。その点、土地の上にアパートを建てると、200平方メートル×戸数分の面積の土地の固定資産税が6分の1に、それを超えた面積に関しては3分の1になります。都市計画税も同じように特例の対象になるため、土地の課税額が大幅に減ります。もちろん、アパートに人が住めばその分家賃収入も期待できるのですから、活用せずに放っておく手はありません。

☆街の声を調査!アパート経営する際に重視したいポイントとは?

では、アパート経営するとしたら、どのような点に注意したらよいのでしょうか?ポイントがどこにあるのか、アンケートを取って調べてみました。

【質問】
アパート経営で高収益を望むならどんなことに注意したいと思いますか?

【回答結果】


周辺エリアの将来性:80名
現在の立地条件:58名
購入資金:13名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:151サンプル

★どこに土地を持つかがいちばんのポイント
今回のアンケートでは、「周辺エリアの将来性」を選んだ人が過半数を占めました。

・現在立地がよくても、今後過疎化や学校の閉校など人口の減少に関する変化が出てくる場合が考えられる。それよりも人口の減少や経済活動の縮小など、将来起こりうるリスクに耐えられる土地を探したほうがいいと思う。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・アパートに入居してもらわないと収益が見込めない。近隣に今後、駅が出来る、スーパーが出来る、病院が出来るなどの地域としても発展が望まれる。(40代/パート・アルバイト/女性)

周辺エリアの将来性を選んだ人のコメントを見ると、将来性という言葉をプラスに捉えている人とマイナスに捉えている人がいることがわかります。しかし、いずれも情報をしっかりとつかんで、長期間高い入居率を期待できるエリアでアパート経営することが重要と考えている点では一致しているようです。次に多かったのは「現在の立地条件」を選んだ人でした。この選択肢を選んだ人は次のようにコメントしています。

・ニーズの無い場所にアパートを建てても、入居者が見込めないなら、家賃収入が期待できない。(60代/会社役員/男性)
・初期投資では、将来性まで考える余裕がなさそうなので、現在の立地条件でどのくらいの収益が見込めるかが気になります。(30代/専業主婦・主夫/女性)

「現在の立地条件」を選んだ人は、最初の段階で入居者がいないのでは経営自体が成り立たないと考えているようです。需要のある土地でアパート経営を成功させない限り、将来性を考えるところまで行けないという意見もうなずけます。最後に、もっとも少なかった「購入資金」を選んだ人のコメントをご紹介します。

・立地条件や将来性も大切ですが、リスクを管理する上で、購入資金が高すぎると、なにか不意の出費により経営破たんする可能性があると思えます。(40代/会社員/男性)
・高収入が見込める物件を選ぶと、購入や改築にかかる費用も高額になるのではないかと不安。(50代/パート・アルバイト/男性)

「購入資金」を選んだ人は、購入資金として手持ちの資金のほとんどつぎ込んでしまうと、不測の事態が起こったときに対処できないと考えているようです。特に、高い収益を上げられる物件は購入費用も高いため、無理して購入すると後々破たんしてしまいかねない点を不安視する意見が目立ちました。

今回のアンケートでは、土地と賃貸物件の関係性がよく分かりました。では、アパート経営をする際の土地活用について、その進め方を見ていきましょう。

☆まずはアパートを建てられる立地か確認

自分が持っている土地を活用したいと考えた場合、その土地が何に使える土地なのかを確認する必要があります。なぜなら、アパートを建てることが認められない土地もあるからです。土地は都市計画法によって用途が細かく分類されています。都市計画法とは、街づくりを計画的に進めるための法律です。その中で、土地は「都市計画区域」と「都市計画区域外」の2つに分けられます。そのうち都市計画区域はさらに、「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」に分けられ、「市街化区域」はさらに12の用途地域に分けられます。この中で、アパートを建てられないのは「市街化区域」の中の「工業専用地域」と「市街化調整区域」、そして「都市計画区域外」の3つです。ですから、そのような区域内に土地を持っている場合は他の活用方法を選ぶしかありません。それ以外の区域に土地がある場合でも、建物の高さや面積に法的な制限があるかもしれません。都市計画法や自治体の条例と照らし合わせて、アパートが建てられる土地なのか、建てられるなら細かい条件がないかをチェックしましょう。

☆需要のある立地条件か調査

自分が所有している土地にアパートを建ててもニーズがなければ入居者は現れません。ですから、周辺の賃貸物件の状況を確認してみることも大切です。アパート経営は賃貸物件のニーズがある場所で行うのが大前提です。人通りの多いエリアに広い土地を持っていても、そこに住んでいる人が持ち家に住んでいる人ばかりでは、賃貸住宅を建てても入居者が集まらないかもしれません。逆に土地の広さはそれほど広くなくても、入居待ちの人が多い地域なら、建物を用意さえすればすぐにでも入居者を確保できる可能性があります。持ち家の人にとって理想的なエリアかどうかではなく、賃貸住宅を探す人が住みたいと思うエリアなのかという点が重要です。不動産会社に問い合わせたりインターネットで検索したりして、どんなニーズのある土地なのかという情報をできるだけ多く集めて検討しましょう。

☆周辺土地の将来性を確認


長期に渡って安定した家賃収入を期待するのであれば、周辺土地に将来性があるかどうかをチェックすることも欠かせません。過疎化が進んでいる地域でアパート経営をしても、アパートを借りる年齢層の人が年々減っていくようでは入居率が下がっていく心配があります。逆に、都市部でも将来性が安心とは限りません。自身が思っている周辺環境の未来が、実は予測されているデータとかけ離れているかもしれません。そのような方が確認しておきたいのが「国立社会保障・人口問題研究所」のサイトです。こちらでは、全国の市区町村に関する今後の人口推移予測データが掲載されています。アパートを建てる前に、将来性を判断する目安として活用してみるとよいでしょう。

☆複数の不動産業者や金融機関と相談してみよう
情報を収集・分析した結果、アパート経営を決めたら、次は不動産会社に相談する段階です。土地の上に建物を建てなければならないため、相談先は不動産会社ですが、このとき最初から1社に絞らず、複数の業者を比較するということが大事です。それぞれの業者に事業計画を出してもらい、業者ごとの提案を細かくチェックしましょう。ポイントは現在だけでなく、将来も考えた計画になっているかどうかです。比較の結果1社に絞ったら、契約手続きをします。その際、融資を受けるなら、銀行への相談も必要になります。契約後アパートの設計が行われ、不動産会社からデザインの提案があります。デザインが無事に決まったら、今度は行政機関に対して建築確認の申請を行います。ただし、建築確認の申請は設計者が代行してくれることが普通です。行政機関の認可が下りたら建築がスタートします。建設中もできるだけ、足を運んで工事の状況をチェックするようにしましょう。完成の日程が決まったら、仲介業者を通じて入居者の募集を始めます。

☆まとめ


土地を所有している場合、その上にアパートさえを建てればアパート経営ができると思いがちです。しかし、所有している土地がアパートを建てられない土地である可能性もあります。アパートを建てられる土地なのかどうかという確認をすると同時に、周辺エリアのニーズも確認するようにしましょう。現在だけでなく将来性もよく考えて活用法を選ぶことが大事です。
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