アパート経営にはリスクが付き物です。しかし、どんなリスクがあるのかをきちんと理解し、あらかじめ対策をして臨めば恐れる必要はありません。アパート経営で失敗した人の多くは、リスクを甘く見たり無視したりしてしまった人です。ですから、アパート経営のリスクを正しく知ったうえで、できるだけリスクを小さくすることを考えましょう。ここではアパート経営にはどのようなリスクがあり、どのような対策をすればよいかについて解説します。

☆アパート経営を失敗しないために重視するポイントは?

まずは、アパート経営に関心がある人に、どんなリスクがあると感じているかを質問してみました。

【質問】
アパート経営で考えられるリスクはどのようなことがあると思いますか?

【回答結果】
★管理出来るリスクと管理できないリスクがある
・急に修繕が必要になったり、空き室になったりすること。(60代/専業主婦・主夫/女性)
・家賃滞納、身寄りの無い人の葬儀、ヤクザの入居、住人間のもめ事など(50代/会社員/男性)
・急な土地開発やマンション倒壊などの立ち退きに関するトラブル、住人間のトラブル(騒音や住人の質など)(30代/パート・アルバイト/女性)
・家賃の未納、近隣トラブル、大規模な災害です。(30代/会社員/男性)
・アパート内での火事、殺人、自殺など(40代/専業主婦・主夫/女性)
・思ったように収益が得られず借金が残ること。(20代/会社員/女性)

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:151サンプル

さまざまな意見が出ましたが、いずれのリスクも最終的には家賃収入が減るという点で共通しています。やはり、アパート経営で安定した家賃収入を確保するためには、しっかりとしたリスク管理が欠かせないようです。特に多くの人が挙げていたのは空室リスクでした。天災や事故のリスクはオーナー自ら対策するのは難しいものの、保険に入るなどの対処法があります。それに対して、空室リスクなど避けようのあるリスクは、どのように管理するかがオーナーの腕の見せ所になります。ですから、オーナーは工夫次第で避けられるリスクの管理を中心に考えて、アパート経営を行えばよいと言えそうです。では、ここからはアパート経営のリスクを具体的に見ていきましょう。

☆もっとも大きい空室リスク

アパートが空室になるのには理由があります。その理由は複数ありますが、入居者にとって他の賃貸住宅より何か魅力が欠けているということは間違いありません。なかでも空室になる最も大きい原因は立地です。いくら魅力的な建物を建てたとしても、賃貸住宅の需要がないエリアにアパートを建てたのでは誰も住むわけがありません。また、家族での転勤が多いエリアに単身向けのアパートを建てた場合も空室になってしまいます。空室を少しでも減らそうと思ったら、アパートを必要としている場所に、ニーズに合ったアパートを建てることが最低限必要な条件になります。賃貸アパートのニーズが高いところと言えば、駅周辺、大きな工場や大学の周辺などですが、住む人が違えば欲しい間取りも違ってきます。その点を見誤ると空室を作ってしまうことになるわけです。もうひとつ空室になる大きな原因として、家賃の設定ミスが挙げられます。家賃がエリアの相場に合っていなければ、入りたがる人は少なくて当然です。「新築だから」「設備がいいから」とあまり強気の家賃設定をしてしまうと、すぐに空室が出始めます。新築はしばらく経つと必ず中古物件になるからです。それに、高いお金を払ってまで最新の設備が欲しい人ばかりではありません。空室リスクを減らすためには、借りる人の目線に立つことが重要です。本当にアパートが欲しい場所に借りたいと思える物件を用意し、借りたいと思える家賃設定をすることが、空室リスクを限りなく0に近づけるためには必要です。

☆景気動向に左右されやすい金利上昇リスク

アパート経営の際に組むローンで変動金利を選んだ場合には、金利上昇のリスクがあることも忘れてはいけません。アパート経営ではローンの金額が大きい分だけ、金利が上昇すると返済額が増え、家賃収入だけでは支払えなくなる場合もあります。固定金利と変動金利のいずれかを選べる場合は、変動金利の方が低く設定されていることがほとんどのため、どうしても金利の安い変動金利を選びがちです。しかし、超低金利が続いている場合には、ローンを組んだ後でさらに金利が下がるということはまずありません。最低ラインの金利から始まったら、上がる可能性があるということを頭に入れておく必要があります。景気変動の予測はかなり難しいところですが、変動金利と固定金利の差があまりないのであれば、固定金利を選んでおくということも対策になります。ただし、金利がどれくらい変わるといくらぐらい返済額がアップするかをきちんとシミュレーションしたうえで選ぶということが大事です。また、変動金利と言っても毎月金利が変動するわけではありません。金利の見直しが5年ごとですから、最初に影響が出るとしても5年後です。変動金利でローンを組んだ後に金利が一旦上昇傾向になっても、その後下降して元に戻ったらほとんど返済額には影響しません。ですから、上昇傾向が見えた場合には、万が一のときでも返済できるようにお金を貯めておくのと同時に、どれくらい上昇したら借り換えをした方が得になるのかなどのシミュレーションもしておくようにしましょう。安易に家賃の値上げで乗り切ろうとすると、空室リスクが増えて失敗しやすくなります。

☆資産価値の下落リスク

アパート経営をする場合、オーナーとして家賃収入を得るだけでなく、タイミングを見て売り出すということも視野に入れて経営する必要があります。あまり物件が古くなってくると、家賃を下げても借り手が付かなくなる可能性があるため、一定の家賃収入が得られなくなる前に手放すという選択も必要なのです。そうして得た収益を次の物件購入の元手にすれば、長期間に渡って安定したアパート経営を続けることができます。その際に気を付けなければならないのが、資産価値が落ちてしまうリスクです。もちろん、新築物件が中古物件になれば資産価値は落ちます。経年だけでもリスクになり得ますが、それ以外にも、周辺の環境が変わることによって影響を受けるケースもあります。物件を探すときはもちろん、アパート経営を始めてからも、周辺の都市開発や工場、学校などの動向には目を配り、変化が起こる前に対策できるようにしておきましょう。建物の老朽化などによる価値の低下は、修繕やリフォームなどをすることで下落幅を小さくすることができます。もちろん、アパートが天災に遭った場合も資産価値が大きく下落します。ただし、こればかりは事前に予測できるものではなく、オーナーとしても対策のしようがありません。ですから、あらかじめ保険に加入しておきましょう。アパート経営者を対象にした保険であれば、そのようなリスクにも対応できます。

☆利回りの高さに潜むリスク

アパート経営において、利回りはいかに効率よく経営をしているかを表しています。ですから、利回りが高いほどアパート向きの物件だと思いがちです。しかし、業者などが言う利回りは実際の利回りではありません。ほとんどが満室を基準に計算した利回りです。そのため、自分が持っている土地に新築でアパートを建てればそれだけ利回りがよくなりますし、地方や郊外の中古物件も高利回りになります。逆に、東京23区の駅から近い新築物件は利回りが低くなりますが、これらの中で実際のニーズが高いのは東京23区の駅から近い新築物件であることは間違いありません。土地代や建築費が高い分利回りが低くなっているだけなのです。もし利回りが高いからと言って、自分で持っている土地にアパートを建てたり、郊外の中古物件を購入したりしても、そのエリアに賃貸のニーズがなければ、実際の利回りはかなり低くなってしまいます。満室を基準にした利回りに踊らされることなく、実質の利回りやエリアの将来性などを考えて投資することが大事です。

☆まとめ


アパート経営にはリスクがありますが、それを上回る大きなメリットもあります。リスクを甘く見てはいけませんが、ただ怖がっているだけでは旨味の部分も逃してしまいます。どんなリスクがあるのかを正しく理解したうえで、一つひとつしっかり対策をすれば、リスクは軽減することが可能です。金額が大きいためリスクも大きいと思われがちですが、不動産投資は金融商品への投資よりもリスクは小さめです。ですから、きちんとリスク対策をして挑戦してみましょう。
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