不動産投資ローンを上手に活用できれば、それだけ投資を有利に進められます。よい収益物件の購入にはそれ相応の元手が必要ですが、条件のよい物件はどうしても価格が高くなります。それを自己資金だけで手に入れようとすると、元手を貯めるだけで何年もかかってしまい、結局手に入れられないということにもなりかねません。ですから、よい物件を最適なタイミングで手に入れられるように、不動産ローンの上手な活用方法を知っておきましょう。

☆不動産投資の資金はどうする?

まずは、不動産投資を始めるときに、どのような資金調達の仕方を想定している人が多いのかを調べてみました。

【質問】
不動産投資を始める際の資金はどうやって準備したいと思いますか?

【回答結果】


頭金を用意してローン活用:77名
100%自己資金:41名
100%ローン:3名

【調査概要】
調査地域:全国
調査対象:20代以上・男女
調査期間:2017年3月28日~2017年3月29日
有効回答数:121サンプル

★頭金とローンの併用を考えている人が多数派
アンケートの結果、頭金を用意してローンを活用すると答えた人が過半数を占めました。

・ローンを全く利用せずに投資するのが理想ですが、実際は無理だと思いますので、極力ローンの割合を減らしつつ、ローンも上手く活用したいです。(40代/会社員/男性)
・自己資金でやりたいのが本音だが、実際のところはできるだけ頭金を用意してローン額を減らしたうえで、早い段階(資産価値が下がらないうちに)で不動産を手に入れるのが現実的なやり方だと思う。(30代/専業主婦・主夫/女性)

この回答を選んだ人は、100%自己資金ということは現実的に厳しいけれど、100%ローンを組むのは危険だと考えている人がほとんどでした。頭金として想定している割合には差があるようですが、少なくともある程度の頭金を用意したうえで投資を始めるべきだと考えていることがうかがえます。次に多かったのは100%自己資金という回答です。こちらを選んだ人のコメントは次の通りです。

・こうでなければ投資したいとすら思いません。借金を気にする生活はしたくないです。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・自己資金の範囲内であれば失敗しても借金を作るリスクが大幅に減るから。(20代/会社員/男性)

100%自己資金を選んでいる人は、ほぼ全員が借金だけは避けたいという意見です。借りると利子を加えて返さなければならないため、その分だけ儲けが出にくくなると感じている人もいるようでした。最後に、最も選んだ人が少なかった100%ローンを組むと答えた人のコメントです。

・初期投資だけで多額のお金がかかるので、全てローンの利用が良い。(30代/会社員/男性)
・ほとんど貯蓄が無いので、全額ローンで工面したいです。(40代/自営業(個人事業主)/男性)

100%ローンを選んでいる人でも、貯蓄が全くないから全額ローンでと考えている人と、不動産投資をするなら全額ローンで始めたいと考えている人がいるようです。確かに、元手が全くない人が今始めようと思ったら全額ローンを組むしかないでしょう。しかし、そのようなことは関係なく、100%ローンが理想と考えている人もいることがわかりました。

今回のアンケートでは、全体的に理想は100%自己資金ではあるものの、ローンを組まざるを得ないなら頭金を入れて返済のリスクを減らしてからという意見が目立ちました。やはり、実際に不動産投資を考えるときには、ローンの利用は念頭に入れておいたほうがよさそうです。では、不動産投資ローンについて詳しく見ていきましょう。

☆不動産投資ローンの基礎!住宅ローンとはどう違う?


不動産投資ローンと住宅ローンの大きな違いは、「何のために借り入れるのか」という目的と「何を使って返済するのか」という財源の2つです。住宅ローンは個人が生活する住居を購入するための資金調達が目的です。そして、返済の財源には居住する人の給与や事業収入などが充てられます。そのため、審査の際には物件そのものの資産性よりも、借りる人に返済能力が重視されます。借りる人の属性によって借りやすさや借りられる金額の上限に差があるのはそのためです。それに対して、不動産投資ローンは不動産賃貸業を行うための事業ローンという形になります。ローンを組む目的は不動産経営ですし、返済のための財源は家賃収入だからです。そのため、審査の対象も借りる人の返済能力だけではなくなります。物件がどれだけ収益を上げられるか、物件自体にどれだけの価値があるかという点が重視されるようになります。例えば、ローンを組みやすいとされている医師が、周辺の相場から見て5,000万円の価値しかないマンションを6,000万円で購入するためにローンを組もうとしたとします。この場合、住宅ローンならおそらく審査は通りますが、不動産投資ローンでは通りにくくなります。不動産投資ローンでも、家賃収入が滞ったときには個人資産から返済するため、借りる人の属性は重視されますが、物件の収益性の方が審査に大きく影響します。

☆少ない自己資金でも投資できるメリットを活かそう!

不動産投資をするなら貯金してからと考える人が多いようですが、実はその考えで損している部分があります。貯金してから投資をするよりもローンを組んで投資を始めたほうが、早く資産形成することができるからです。例えば、毎月5万円ずつ貯金している人が不動産投資をしようと考えた場合はどうなるでしょうか?家賃収入は月8万円、ローン金利は2.5%の30年ローンを組み、1,500万円の不動産に投資すると仮定します。1,500万円のローンの返済に、毎月8万の家賃収入と5万円の貯金を充てると、月々の返済額は13万円です。そうすると、ローンは10年弱で完済でき、後は丸々家賃収入と物件そのものが資産になります。逆に、全額自己資金を貯めてから投資を始めようと考えた場合、毎月5万円ずつの貯金しかできないわけですから、1,500万円貯まるまでには25年もかかってしまいます。結果的に1,500万円の貯金には成功していますが、25年もかかってしまったのでは、そこから不動産投資を始めるというわけにはいかないかもしれません。ローンを組むことは、収益性の高い物件が見つかったタイミングで、小さな負担で不動産投資を始めることができるというメリットがあるのです。

☆マイナス金利が不動産投資のプラス材料

マイナス金利とは、各金融機関が日本銀行に預けるときの金利がマイナスという意味です。つまり、日本銀行にお金を預けておくと各金融機関は損することになります。マイナス金利は、通常は日本銀行にお金を預けておくことで利益を上げていた金融機関が、収入源を失っている状態でもあります。そのため、融資を積極的に行って、貸付の金利で収益を上げようとする金融機関が目立ちます。金利を低く抑えてでも融資を行うことで利益を上げようとする傾向が強いため、不動産投資用の資金調達をするには追い風が吹いている状況です。ですから、不動産投資を始めるのであれば、マイナス金利はプラス材料と言えます。

☆変動金利と固定金利ではどちらを選択するべき?

変動金利と固定金利のどちらが良いとは一概には言えません。それぞれメリットとデメリットがあります。例えば、変動金利ですが、半年に1度金利が変動するタイプのローンです。返済額の見直しが5年ごとに行われるパターンが多く、半年に1度金利が変動していても、実際の返済額に影響するのは最初の計算から5年後です。しかも、再計算の結果、月々の返済額が大幅に上がってしまう場合でも、最大1.25倍までしか上がらないように激変緩和措置がとられていることがほとんどです。それに対して固定金利は、最初の契約時の金利がそのまま続くタイプです。金利が低い時期に契約した場合には、固定金利が得になりますが、どちらが最終的に得になるかをあらかじめ正確に計算することは不可能です。ですから、自分の年収やライフスタイルに合わせて借入額や期間を決め、借入時の年齢や将来のライフプランに合わせて固定金利にするか変動金利にするかを選ぶことが大事です。

☆不動産投資ローンの審査ポイント3つ

不動産投資ローンでは、申込者本人の審査とは別に、物件に対する審査も行われます。審査の際に特に重視されるポイントは、今後の収支見通しと融資期間と融資金額の3点です。収支見通しについては、物件そのものの築年数や構造、設備などだけでなく、物件のあるエリアや周辺環境の将来性なども併せて妥当かどうか判断されます。また、融資期間と融資金額は、その物件から得られる収益や申込者の返済能力と見合っているかどうかという点が審査の対象になります。ただし、これらの審査ポイントは金融機関によって若干異なります。どんな点が重視されるのかが気になる場合は、金融機関に問い合わせてみるのがよいでしょう。

☆柔軟な姿勢でローンを活用しよう!


不動産投資ローンは、うまく活用できれば少額の負担で大きな利益を生むことが可能になります。ですから、自己資金による投資にこだわるのではなく、頭金の額を変えてシミュレーションしてみるとよいでしょう。金利も審査基準も金融機関によって差がありますから、複数の金融機関のローンを比較してみることも大切です。途中で返済が滞るリスクを避けるためにも、十分なシミュレーションをしたうえで、最適なローンの組み方を考えましょう。
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