アパート経営によって生まれた利益には所得税が課税されますので、毎年、所得税の確定申告をする必要があります。この確定申告を青色申告者として行うことによって、所得税の節税につながる各種恩典を活用できるようになります。そこで、アパート経営で生じた所得について青色申告で確定申告するメリットについてお伝えします。
☆給与の支払いができる!家族や親族と一緒に経営するなら…
所得税は、原則として同じ家計単位で生活している家族に対する支払いを経費とは認めてくれません。
同一生計家族間の支払いは、同じお財布の中をお金がぐるぐる回っているだけとみられるからです。
そのため青色申告で確定申告をしない場合、家族従業員に対する給料やボーナスの支払いは、ほとんど必要経費として認められません。しかし、青色申告で確定申告をすると、給料やボーナスとして常識的な金額であれば、全額必要経費として認められ、不動産所得を圧縮し節税できます。
世帯主がアパート経営をして配偶者を従業員として雇い、家賃回収管理やアパート共用部の清掃などの業務をフルタイムでやってもらう場合には、青色申告をするメリットは大きいでしょう。この場合の家族従業員は、青色事業専従者という扱いになります。専従者はフルタイムで働くことが条件ですので、フルタイムの業務として認められるように業務内容を明確にしておくことがポイントです。
☆損失の繰越で挽回できる!?アパート経営には必要不可
青色申告をする2つ目のメリットは、不動産賃貸経営で生じた赤字について、損益通算だけでなく、損失の繰越控除も認められることです。賃貸経営をしていると、空室率の上昇や経費の増加などによって赤字になることもありえます。その赤字は、青色申告をしていなくても、同じ年の給与所得や事業所得、雑所得などと相殺できます。これを損益通算といいます。
しかし、賃貸経営によって生じた赤字額が大きいと、その赤字をその年の他の所得で相殺しきれないことも考えられます。この相殺しきれない赤字を、翌年以降3年間に渡って繰り越すことができるのが損失の繰越控除です。
この損失の繰越控除は、青色申告者だけに認められている恩典で、青色申告していなければ、赤字を繰越ことができず、相殺しきれなかった損失はなかったものとみなされてしまいます。そのため、賃貸アパート経営をする場合は、青色申告で確定申告することが不可欠といえるのではないでしょうか。
☆特別控除がある?青色申告だからこそ受けられる恩恵
アパート経営をする場合に青色申告をする3つ目のメリットは、青色申告特別控除による節税ができることです。
賃貸アパート経営による利益は、所得税の計算上、不動産所得に分類されます。
不動産所得は、原則として、家賃などの総収入金額から建物の減価償却費や管理会社へ委託管理料の支払い、アパートの修繕費などの必要経費を引いた差額として求めます。
しかし、青色申告者の場合は、そこからさらに10万円か65万円の青色申告特別控除を引くことが認められているのです。
所得が圧縮される分、所得税も減少しますので節税できます。
賃貸アパート経営以外に事業所得が発生している場合は、事業所得と不動産所得合わせて65万円の控除が可能ですが、事業所得がなく不動産所得しか発生していない場合は、賃貸事業の規模によって10万円か65万円かが決まります。戸建であれば5棟以上、アパートやマンションであれば10室以上で賃貸事業を行っていれば65万円の控除が得られます。
その規模に達していない場合は10万円の控除となります。青色申告は帳簿をつけて決算書を作成する必要がありますが、それほど難しい作業ではないでしょう。賃貸アパート経営をする場合は、青色申告することをおすすめします。
【記事筆者】
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