リートとは不動産投資信託のことで、投資家から集めた資金や借入金で不動産投資を行い、賃貸収入を原資に分配を行うものです。安定的な分配金を受け取れる点が特徴ですが、株価にあたる投資口価格の騰落は大きく価格変動リスクがある投資です。リートに投資をする場合は、この価格変動の特徴と対処法を知っておく必要があるでしょう。
☆リートが急落する原因とは投資
リートの価格の変動の原因を分析する場合、リート市場全体の動きと各投資法人の価格変動を分けて考える必要があります。
リート市場全体の価格変動は、東京証券取引所が公表しているリート指数で確認できます。
市場全体の価格が変動する理由は、金利変動と株式投資などを含めた投資環境の変化が主なものです。
リートは借入金がありますので、金利が急上昇すると価格が急降下する傾向があります。
また、株式などを含めた投資環境全体が悪化するとリートへの投資資金は
リスク回避のため売却されることが多く、この場合も急落します。
各投資法人の価格変動は、これらの要因に加えて、投資法人の投資環境の変化の影響も受けることになります。
☆リートの急落の仕方には特徴がある
リート価格の急変の仕方には特徴があります。1つは日本の株式市場が急落すると、それに連動する形で急落することです。
株式投資とリートへの投資は、それぞれ投資対象が違いますが、どちらもリスクマネーとして投資されている点で共通していますので、株式市場の悪化はリートの売却につながりやすいという特徴があります。
もう1つは、変動幅の大きさです。
リーマンショック時にはリート全体の価格が約3分の1まで低下したこともあり、
債券投資などと比較すると急落時の変動幅が大きいという特徴もあります。
さらに、株式市場と比べてリートの市場規模は小さいため、少しの需給変動でも急落が生じる可能性があります。
☆リート急落の前触れとは
リートの価格が急落すると、投資家は大きな含み損を抱えてしまうことになりますので、できれば急落する前に売却したいと考える人もいるでしょう。
そのため、リート価格急落の前触れがわかれば売却判断の役に立ちます。
もちろん、投資において万能の判断要素はありませんが、一般的には、世界経済や日本経済の不調が原因で株式市場が低迷を始めると、リート市場も低迷するといった傾向があります。
また、日本銀行の金融政策決定会合での金融政策判断が変わり金利上場が
予測されることもリート指数急落の前触れとなることがあります。
☆急落した時に注意すべきこと
保有しているリートの銘柄の価格が急落すると、投資家としては焦ります。
株式投資の場合は、
損切ラインをあらかじめ決めておいて、下がり始めたら比較的早く売却して次の銘柄を探すのが得策とされることも多いです。
しかし、
リートへの投資は、長期的に安定した分配金を得ることを目的としているケースもあります。
そういった目的で投資をしている場合は、すぐに売却しないように注意する必要があります。
リート市場全体からリスクマネーが逃げ出したことが原因で価格が急落した場合は、売却せず分配金をもらい続けるという手もあります。
ただし、各投資法人固有の原因で急落した場合は、
見切りをつける必要があるケースも多いですので、
急落の原因によって対応を変える必要がある点に注意が必要です。
☆対処法には何がある?
リート価格が急落する場合の対処法は、あらかじめ自分の投資スタンスを決めておくことです。リートの値動きで売却益を狙う投資スタンスの場合は、損切ラインをしっかり決めて投資に臨むことが重要です。また、分配金を長期的に受け取って投資回収することを目指す場合は、
投資した銘柄の物件状況の悪化やスポンサーの変更による信用の低下など投資法人固有の理由による価格急落以外は落ち着いて保有を続けるのが良い対処法といえるでしょう。
価格が急落すれば誰でも焦ってしまいがちです。あらかじめ投資方針を決めておくことで冷静に対処できるでしょう。
【記事筆者】
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