最近、上場リートや日本版リートという言葉をよく耳にします。これは低リスクで安定した利回りが期待できる不動産投資信託として、リート投資法人が注目を集めているからです。リート投資法人とは、どのような仕組みになっていて、その魅力はどこにあるのでしょうか。またリート投資法人を選ぶ際には、どんな点に注目すべきなのでしょうか。今回はリート投資法人の特徴と、選択する際にチェックすべきポイントについてまとめてみました。

☆リート投資法人とは?

リート(Reit)とはReal Estate Investment Trustの略称で、不動産投資信託型の金融商品のことです。リート投資法人とは不動産投資信託の銘柄名でもあり、投資家から資金を集めてそれを元に不動産を運用し、そこで得た賃料収入などを投資家に分配します。リート投資法人は不動産への投資・運用を目的に設立される特別な法人で、それ以外の業務を行うことはできません。リート投資法人は役員のみで構成され、不動産の選定や管理などの業務は資産運用会社に委託されます。

また原則として賃貸事業が専門で不動産開発を行うことはありません。そのため開発まで行う不動産会社と比べると収益が安定している傾向があります。リート投資法人は利益の90%を超える分配をすれば法人税が課税されないため、普通の株式よりも高い配当金が期待できるメリットがあるのです。リートは証券会社を通して株式のようにその時の価格で売買することができます。

☆投資法人の中身をチェック!

どのリート投資法人を選ぶかにあたっては、投資法人の中身をチェックすることが重要です。詳細で信頼できる情報としては「目論見書」と「有価証券届出書」があります。「目論見書」は投資口を新規発行する際の説明書類として交付されるもので、新規発行の引受証券会社から入手することが可能です。「有価証券届出書」は投資口を売り出す際に内閣総理大臣に提出される届出書で、関東財務局の証券閲覧室で閲覧することができます。

またほとんどのリート投資法人はホームページ上で有価証券届出書をはじめとした投資家向けの情報を公開していますので、こちらの情報も参考にするとよいでしょう。これらの資料をみることで、「投資の基本方針」「分配方針」「運用報酬」「投資不動産物件」などの情報を得ることができ、投資法人の中身をチェックすることが可能になります。

☆リート投資法人の投資先をチェック!

リート投資法人の分配金は投資した物件から入る賃料が原資となります。そのためリート投資法人がどんな不動産に投資しているのかチェックすることもとても重要です。オフィスビルなのかマンションなのか、どの地域にあるのかなど、不動産の用途や立地もリート投資法人を選択する際の判断基準となるでしょう。

例えばオフィスビルや商業施設ですと立地によっては大きな賃料収入が期待できますが、景気や企業の業績などの影響を受けやすいというリスクがあるのです。一方、居住用の賃貸マンションであれば、オフィスビルに比べて景気変動の影響を受けにくいというメリットがあります。また不動産がどの地域に立地しているかも重要なチェックポイントです。ある特定のエリアに集中しているような場合には、地震など自然災害が起こった場合のリスクも高くなります。

☆NAVとNOIにも注目しよう!

リート投資法人を選択する際には、NAVNOIの2つの指標にも注目しましょう。NAVとは純資産価値を表し、資産から負債をマイナスしたものです。現在の価格を1口あたりのNAVで割ったものがNAV倍率となります。NAV倍率が1未満であれば割安であり、1を超える場合は割高ということになるのです。NOIは不動産の収益性を表す指標で、不動産賃貸収入から不動産賃貸費用をマイナスして、それに減価償却費を加えることで求められます。さらに、年換算NOIを不動産額で割ったものがNOI利回りです。NOI利回りが高いほど収益率が高い不動産を保有しているリート投資法人といえるでしょう。

リート投資法人は複数の不動産物件を集めてファンドを形成しているためリスクも低く、高い利回りも期待できます。しかし元本が保証されているわけではありませんので、今回紹介したチェックポイントを参考に慎重に選択してください。