不動産投資をこれから始める人だけでなく、既に不動産投資を始めている人にとっても、海外不動産への投資には興味がそそられるでしょう。ただし、海外不動産に投資をする場合には、現地の不動産市況や取引慣行、さらには税制の違いがありますので注意が必要です。そこで、居住地の違いも含めた海外不動産投資の税制についてご紹介します。

☆まずは国内不動産投資の税制を理解しよう

海外不動産投資の税金の仕組みを理解するには、まず国内不動産投資の税金の制度を理解する必要があります。日本の居住者が不動産投資をする場合には、所得税や住民税などが課税されます。

賃貸不動産から生じる利益は不動産所得として総合課税の対象です。

必要経費や所得控除を引いた後の所得に対して5%から45%の所得税と10%の住民税などが課税されることになっています。

また、売却益は譲渡所得として分離課税されますが、所有期間によって税率が違います。

短期譲渡に該当する場合は、所得税・住民税等合わせて約20%

 

長期譲渡に該当する場合は約39%の税率

 

となっています。

不動産所得の赤字は、土地の借入金の利子を除いて損益通算できますので節税につながる場合もあります。
相続があった場合には相続税が課税されますが、預金や株式などの金融資産と比較すると、

賃貸不動産の場合は、借地権や小規模宅地等の特例によって相続税評価額が低くなるため、不動産投資は相続対策としても有効です。

☆非課税の国も!?海外の不動産投資における税制

次は、海外不動産から賃貸収入を得たり売却益が生じたりした場合に対する課税についてです。

日本の居住者として海外不動産投資をして所得を得た場合は、日本の税金が課税されます。

課税のルールは国内不動産の場合と同様です。

国外に一定以上の財産を所有している場合は、毎年、国外財産調書の提出も求められるようになっていますので、注意が必要です。

また、不動産の所在地である外国で課税されるケースもあります。

その外国からみたら日本の居住者は非居住者ということになりますが、非居住者であっても課税される国があることは知っておくべきでしょう。逆に、不動産から生じた所得は非課税の国、日本より低い税率で課税される国もあります。
海外不動産投資をする場合は、現地の不動産会社等からの情報を活用して、現地の税制を正しく理解するとともに、国内での確定申告もしっかり対処することが大切です。

海外と日本両方で課税される場合は、日本の確定申告の際、一定の外国税額控除を受けられる場合もあります。

☆国内と海外の居住地で変わる不動産投資税制とコスト

最後に、日本人であっても日本に住んでいない非居住者に該当する場合の不動産投資に対する税制をご紹介します。

まず、日本人が一定の要件を満たした外国の居住者となると、一定の場合を除いて、日本で課税されなくなります。

外国で稼いだ不動産所得を日本に送金した場合等は日本で課税されますが、外国を居住地にすることで、その外国での課税だけで済ますことができる可能性があるのです。

各国の不動産に対する税制はまちまちです。

例えばアメリカの場合賃貸収入に対して一定の税率で課税される形をとっていますし、シンガポールの税率は日本と比較するとかなり低く設定されています。

 

不動産投資をする場合は、日本の物件に投資するか海外物件に投資するか、また、日本を含めたどの国を居住地にするかによって、投資効率は大きく変わってきます。

税制だけを考えて居住地を決めるのは本末転倒になってしまいますが、できるだけ投資効率を上げたい場合は、海外の税制にも詳しい専門家に相談しながら投資戦略を考えてみることをおすすめします。