不動産投資をやりたいと思っても、実物不動産への投資には多額の資金が必要です。一方、J-REITの投資法人に投資する場合は、銘柄によっては10万円程度から投資できるものもあります。しかし、50銘柄程度が上場されていますので、銘柄選びが大変です。そういった悩みがある場合はJ-REITファンドへの投資を検討してみるとよいでしょう。ここではJ-REITファンドについてお伝えします。

☆J-REITファンドってどういう資産運用?

J-REITファンドとは、投資家から集めた資金でJ-REITの投資法人に投資するファンドです。J-REIT自体も不動産投資信託ですから、J-REITファンドは、ファンドを買っているファンドということになります。J-REITファンドの資産運用の特徴は、J-REITと比較してみると良く理解できるでしょう。J-REITは、投資家から集めた資金で直接賃貸不動産に投資をします。そして、賃貸経営を行うことによって得られた利益を投資家に分配します。分配可能額は、原則として利益の範囲内で行うことになっています。

決算期間はほとんど半年です。
一方、J-REITファンドは、J-REITに投資をします。投資した資金が直接どの賃貸不動産に投資されているかを特定することはできませんが、投資した複数のJ-REIT全体の平均的な利益を分配金として受け取ることができるファンドです。ファンドの利益の原資は、J-REITからの分配金と売却益です。また、分配金は、一定の条件のもと、利益の額を超えて分配することができることになっています。そのため、決算ごとの利益に関わらず定額配当をするファンドもあります。

決算期間は、半年のものもありますが、毎月決算を行うファンドも多いです。

☆J-REITファンドの魅力とは?

J-REITファンドの魅力は、実物資産に投資した場合に近い形で定期的に安定収入が得られることと実物不動産に比較して流動性が高いことです。この点に関しては、J-REITに直接投資をしても同様のメリットが得られます。
J-REITファンドならではの主な魅力は2つあります。

まず1つ目は、J-REITの個別銘柄選択をする必要がない点です。すべてのJ-REIT銘柄を対象とするファンドや特定のコンセプトに基づき銘柄選別を行うファンドなどがありますので、投資目的に合ったファンドを1つ選ぶだけで、間接的ではありますが、J-REITへの投資が可能になります。

2つ目は、組み入れられているJ-REIT銘柄の平均的な収益が得られる点です。J-REITは複数の物件を保有して分散投資を行っていますが、J-REITファンドは既に分散投資が行われているJ-REITを複数保有しますので、収益や資産価格の変動に対する分散効果が優れている点が魅力です。

☆J-REITファンドを始める前に!考えなければならないリスク

J-REITファンドへの投資は魅力がありますが、リスクもあります。投資を始める前にリスクについてもしっかり理解しておく必要があります。主なリスクは3つです。

1つ目は、分配金は変動する可能性があることです。定額配当を続けているファンドであっても基準価格の下落などで突然分配金が減少するリスクがあります。

2つ目は、受け取った分配金は利益ではなく元本払戻金の場合もあることです。自分の投資額を上回る含み益部分について分配金を受け取ると課税される普通分配金となりますが、定額配当をしている場合、投資家にとって含み益でない部分も分配される可能性があります。この分は課税されない特別分配金と呼ばれますが、受け取った分配金はただ投資元本が戻ってきただけであることを正しく認識することが重要です。

3つ目は、基準価格が変動するため評価損や売却損が生じる可能性があることです。分配金だけに注目するのではなく、評価損益を含めたトータルリターンで収益評価を行うように心がけることが大切でしょう。